一生旅行生活してえ

最近は主に資格取得関連のメモとか勉強法とかを整理

民法について整理

中小企業診断士の経営法務における民法について整理する。

自分の勉強用にまとめたものに過ぎず、正確性や網羅性を担保したものではない。

基本原則

民法の基本原則

  • 権利能力平等の原則:人は生まれてから死ぬまで、誰でも等しく権利を有し、義務を負うことができるという原則
  • 所有権絶対の原則:国家と言えど、所有権は侵害することはできないという原則
  • 私的自治の原則(契約自由の原則):誰とどんな契約をしても自由という原則

上記に加えて、私的自治の原則から、過失責任の原則:故意・過失がなければ損害賠償責任を負わされることは無いという原則、が導かれる。

民法の構造

民法は総則、物権、債権、相続、親族と分かれているが、ここでは中小企業診断士試験で問われる債権・物権・相続について整理していく。

能力

意思能力

自分の行為の結果を判断することができる能力のこと。意思能力がない人のことを無意思能力者という。無意思能力者が行った行為は無効となる。例えば赤ちゃんが重要契約書に捺印しても、それは無意思能力者が行った行為なのでその契約は無効である。

行為能力

契約などの法律行為を自ら単独で行う能力のこと。判断能力に欠ける者や不十分な者は制限行為能力者として保護される。制限行為能力者が行った法律行為は取り消しすることが可能となる。例えば未成年(18歳未満)が保護者の同意を得ずに行った法律行為は後から取り消すことが可能である。

具体的な制限行為能力者は、未成年、成年被後見人被保佐人、被補助人が該当。

権利能力

法律上の権利・義務の主体となることができる資格のこと。人間(自然人)は生まれながらにして、このような権利能力を有するとされている。出生前の胎児については、原則として権利能力を有しないこととされているが、相続・遺贈・損害賠償については、出生前の胎児であっても権利能力を持つ。

意思表示

意志を表明して相手方に伝えること。売買契約において、A/Bそれぞれが「売ろう」「買おう」と意志を表明して互いに相手に伝えること。意思表示が相手に到達したときに効力が発生する(到達主義)。

意志と公開した表示行為が一致していないことを意思の不存在という。具体的には心裡留保、虚偽表示、錯誤などがある。

心裡留保

表意者が自分の内心の意思と外部に表示されたものが食い違うことを知っていること。この場合、信頼した人を保護するため、契約は原則として有効である。つまり、表意者(売り主)が嘘をついて「この物件を売ります」と言って、それに対して相手方が買う意思表示をした場合は、その契約は有効で、売り主はその物件を売らないといけない。

ただし、嘘をついていることを相手方が知っていたり、知らないことについて相手方に過失がある場合までは保護しなくても良い(無効となる。) また、善意の第三者に対しては無効を主張することができない。

つまり、売り主が未成年であるにも関わらずそれを偽って家を売ったとき、買い主が身分証明書などを確認せず(過失がある状態で)それを購入し、そしてその家をさらに善意の第三者に売った場合、買い主に落ち度があるため売り主は買い主との契約を無効とすることはできるものの、善意の第三者からその家を取り返すということまではできないことになる。

虚偽表示

相手方と示し合わせてした嘘の意思表示のことであり、原則として無効となる。

例えば、本人も相手方も土地の売買契約を締結するつもりがまったくないのに、お互いに相談のうえで、土地の売買契約を締結したかのように見せかける場合など。このとき、表意者と相手方々意思表示が虚偽であることを認識しているので無効となる。

また、善意の第三者に対しては無効を主張することはできない。そのため、上記例において土地を買ったことになった相手方が、そのままその土地を善意の第三者に売った場合、第三者は保護されることになる。

錯誤

表示行為に対する内心的効果意思が欠けること。つまり、表示そのものに関する捕違い、勘違いがある場合のこと。表意者にとって重要な意味を持つ部分に錯誤がある場合かつ表意者に重過失が無いときに、取り消すことができる。例えば100万円の売買契約において、契約書の印字が100円となってしまっており、表意者がそれに気づかす契約書を提示してしまった場合など。

瑕疵のある意思表示

詐欺・脅迫による意思表示のこと。この意思表示は取り消しをすることが可能。

脅迫の場合は善意の第三者に対しても取り消しを主張することができるが、詐欺の場合は取り消しを主張することができない。

つまり、AさんがBさんに脅されてダイヤモンドを売り渡したとき、Bさんがそのダイヤモンドを善意の第三者Cさんに対して売った場合、AさんはそのCさんのダイヤを取り返すことができる(BさんCさんの契約に取り消しを主張することができる)。しかし、AさんがBさんに騙されてダイヤモンドを売り渡し、Bさんがそのダイヤを善意の第三者Cさんに対して売った場合は、AさんはCさんからダイヤを取り替えうことはできない(BさんCさんの契約に取り消しを主張することができない)。

代理

契約などの法律行為を本人に変わって結んでもらうこと。代理の成立要件は以下3つを満たす必要がある。

  1. 代理人が相手方に本人のためにするということを示すこと(顕名)
  2. 有効な法律行為(契約)が行われていること(代理行為)
  3. 本人が代理人に代理権を与えていること

また、本人の意志とは無関係に法律上代理権を与えられるものを法定代理といい、本人からの委任により代理人となるものを任意代理という。例えば未成年の子の親は法律上当然に代理人となるので法定代理人となり、友達に頼んで自分の代わりに契約してもらう場合は任意代理となる。

無権代理

代理権のないものが代理人として勝手に代理行為をすること。

例えばAさん(本人)、Bさん(無権代理人)、Cさん(相手方)がいたとき、Bさんが勝手にCさんから車を購入した場合、その契約は原則無効となる。

ただし、無権代理人の行為が本人にとって有利である場合もあるため、後になって本人が認めることができ、これを追認という。追認が有った場合には無権代理行為は契約時に遡って有効となる。また、追認する旨を名言せずとも、その意志が読み取れる行動をすれば追認とみなされる。

表見代理

無権代理行為でありながら、本人と代理人との一定の関係から、有権代理と同じように代理行為の効果が本人に生じること。

例えば社長が行う法律行為(契約)について、副社長が取引先と契約をした場合、社長が副社長に対して代理権を与えていなくても、取引先は副社長という立場から正当に法律行為を行える立場と思ってしまいそのまま取引を継続する可能性がある。このとき、副社長には代理権は無いものの代理権を持っているものと同じ扱いとなり、社長に法律上の責任が生じる。

停止条件解除条件

停止条件:RTとフォローをしたら100万円プレゼント等。「RTとフォローをしたら」という条件が成立すると、それまで停止していた100万円プレゼントという効力が発生する。

解除条件:リムーブするまでは毎月10万円ずつプレゼントするが、リムーブしたらプレゼントは終了する等。リムーブという条件が成立すると、毎月10万円ずつプレゼントするという契約が解除(消滅)する。

2つの違いは停止条件はその条件までは契約は生じておらず、解除条件はその条件まで契約が有効となっているということである。

なお、似て非なる概念として期限がある。期限は契約の効力を将来発生することが確実な事実であることが前提となる。特に、その具体的な時期まで確定していること(2022年5月15日になったら、というような場合)を確定期限といい、将来到来することは確実だが、その具体的な時期は不確定なこと(雨が降ったら、というような場合)を不確定期限という。

消滅時効

時間の経過で権利が消えてしまうこと。

時効の援用

時効が消滅するには、債務者や保証人等の時効により利益を受ける当事者が意思表示をしなくてはならない。この意思表示のことを時効の援用という。時効の援用をしないと時効は成立しない。

消滅時効の期間は債務不履行不法行為で異なる。債務不履行の場合は権利を行使することができるときから10年(客観的起算)、権利行使できることを知ったときから5年となる(主観的起算)。不法行為は、不法行為の時から20年、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年となる。

期限の定めがある債権については、その期限が到来した日から起算をし、期間の定めが無い債権については債権成立の時から起算する。

先頭へ戻る

債権

債権と債務

債権は特定の人に特定の行為や給付を請求できる権利で、債務は特定の人に特定の行為や給付を提供しなくてはならない義務のこと。必ずしも金銭によるものとは限らず、物を引き渡したり、あるいは労力を提供することなども対象となる。

100万円のダイヤモンドの売買契約において、売り主は買い主に代金を請求する権利(債権)と買い主にダイヤモンドを渡す義務(債務)が生じる。その一方、買い主は売り主に代金を支払う義務(債務)が生じ、売り主にダイヤモンドを渡すように請求する権利(債権)が生じる。

典型契約

全部で13種類の契約があるが、そのうち主な10種類について記載する。

財産の移転を目的とした契約
  • 贈与:当事者の自己の財産を無償で相手に与えること。
  • 売買:売り主が買い主に財産を移転することを約し、買い主がこれに対して代金を支払うことを約すること。
  • 交換:当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約すること。
財産の利用を目的とした契約
  • 消費貸借:借主が種類・品質及び数量が同じものを持って返還することを約して、貸主から金銭その他の物を受け取ること。金銭消費貸借契約など。
  • 使用貸借:借主が無償で使用および収益をし、契約が終了した後に返還すること。消費貸借との違いは返還するものは借りたものそのものであること。(例えば金銭消費貸借契約であれば、借りた1万円と返す1万円は全く同じもの(お札)である必要はない。振り込みで返してもいいし、5,000円2枚で返してもいい。)
  • 賃貸借:賃貸人があるものの使用及び収益を賃借人にさせることを約し、賃借人がこれに対してその賃料を払い、そして契約が終了したときには引き渡しを受けた物を返還すること。使用貸借との違いは無償か有償かという点。
役務や労働力の利用を目的とした契約
  • 雇用:当事者の一方(労働者)が相手方(雇用主)に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対して報酬を支払うことを約すること。
  • 請負:請負人がある仕事を完成することを約し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約すること。
  • 委任:委任者が法律行為をすることを受任者に委託し、受任者がこれを承諾すること。
  • 寄託:寄託者があるものを保管することを受寄者に委託し、受寄者が承諾すること。

保証

主債務者が債務を履行しない場合に、保証人がその履行を担保する制度。なお、保証契約は書面でされない限り無効となる。

また、保証人が請求すれば、債権者は保証人に対して債務に関する利息、違約金、損害賠償等の不履行の有無とそれらの残額、そのうち弁済期が到来しているものの額を情報提供する必要がある。

保証債務

保証債務は主たる債務を前提としており、これを保証債務の付従性という。

そして保証債務は主債務より重いということはありえない。例えば主債務の額が100万円に対して保証債務の額が200万円ということは認められない。

連帯保証

保証契約の中で、保証人が主債務者と連帯して保証債務を負担すること。単なる保証人とは異なり、催告の抗弁権、検索の抗弁権が無い。また、連帯保証人が複数人いても分割の利益が認められない。(つまり、連帯保証人が複数いたとしても、全額の支払いをそのうちの一人に対して請求される可能性がある。)

催告の抗弁権がないため、債権者A、債務者B、連帯保証人Cがいた場合、債権者AからCに対して払えと言われた場合、CはBへの催告を請求する権利がない。(自分ではなくBに請求してくれとはいえない)

※催告の抗弁権:債権者が保証人に保証債務の履行を請求してきた場合には、保証人は「先に主債務者に対して債務の履行を催告せよ」と債権者に主張することができること。

また、検索の抗弁権が無いため、連帯保証人Cの財産に執行すると言われたら、債務者Bの資金力有無にかかわらず執行されても仕方がない。(Bに弁済能力があるとしても支払わないといけない。)

※検索の抗弁権:保証人が「主債務者には取立てが容易な財産がある」と立証した場合には、債権者は先にその主債務者の財産から取立てをしなければならないこと。

契約の不履行

債務不履行による損害賠償

債務者が約束どおりに債務を履行しないとき、そもそも債務の履行が不能になってしまったときは原則として債権者は損害賠償請求が可能となる。

ただし、このとき、債務者に責めに帰すことができない事由のとき(帰責事由が無い時)、損害賠償責任が生じない。つまり、債務者が損害賠償責任から免れるには自ら帰責事由が無いことを立証する必要がある。

例:売主に過失があって商品である車を買い主に引き渡せなかった場合、債務者(売主)に帰責事由があるので、債権者(買い主)は損害賠償を請求できる。もし、自然災害等により車を引き渡せなかった場合は、債務者に帰責事由が無いため、債務者は損害賠償責任から免れる。

債務不履行による契約の解除

解除とは当事者の一方的な意思表示により契約をなかったことにすること。この時、損害賠償責任と異なり、債務者の帰責事由が要件とされない。

例えば売主の過失なく、自然災害等により商品を引き渡せなかった場合、債務者に対する帰責事由は無いが、債権者(買い主)は契約を解除することが可能となる。(つまり、帰責事由がなくとも解除が可能。もちろん、売主の過失がある場合も契約解除可能。)

財産保全

債権者代位権

債務者が自らの権利を行使しないときに、債権者が自己の債権を保全するために、代わってその権利を行使すること。債権者Aが債務者Bに対して売掛金100万円があるとき、Bがその債務を履行せず放置している場合に、AがBの商品を差し押さえて弁済に当てることができる。

詐害行為取消権

債務者が債権者を害することを知って行った法律行為について、債権者が裁判所に取り消しを請求できる権利のこと。

例えば、債権者Aさんが債務者Bさんに500万円を貸しているとき、債務者Bさんが保有している土地を差し押さえられないようCさんに贈与してしまおうような場合に、Aさんはその所有権移転登記の抹消を裁判所に請求ができる。

なお、債権者が知ったときから2年を経過したとき、または行為の時から10年を経過した時は、提起することができない。

不法行為

故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害し、これによって損害を与える利益侵害行為を言う。不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は損害および加害者を知ったときから3年間(人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権の場合は5年間)、不法行為の時から20年間行使しないときとなる。

要はAさんがBさんを怪我させた場合(加害行為)に、BさんはAさんに対して損害賠償を請求できるということ。

なお、被害者にも過失がある場合にはそれを考慮して損害賠償の額を定める。(過失相殺)

不当利得

正当な理由なく他人の財産または労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼすこと。不当利得を受けているものはこれを返還する義務を負う。

例えば1,000円の買い物に対して5,000円を払った場合に、誤ってお釣りを9,000円もらってしまった場合は、5,000円を返さないといけない。

善意の受益者はその利益の現存する限度で利得の返還義務を負う。つまり、先の例でいうと善意の受益者の場合、お釣りの9,000円のうち7,000円を使ってしまった場合、返還するのは2,000円でよいということになる。

悪意の受益者の場合は、その利益が現存しなくても、利益の全部に利息を付して返還する必要がある。さらに損失者に損害が生じた場合はその損害も賠償する義務を負う。先の例でいうと、お釣り9,000円のうち7,000円使ってしまった場合、5,000円+利息を返さないといけない。

先頭へ戻る

物権

物を直接的・排他的に支配する権利のこと。直接的とは、他人とは無関係に自由に行使ができること、排他的とは同一物に対して同一内容の物権は一つしか成立しないこと(一物一権主義)。

物権変動

物権の発生・変更・消滅を総称して物権変動という。売買・贈与・抵当権設定や、時効・相続、消失などによって生じる。

物権の変動に対する対抗要件(自分のものだと主張できること)を備えない限り、その変動に対して第三者に主張ができない。対抗要件は具体的には不動産であれば登記、道産であれば引き渡しとなる。

物権には物権的請求権が認められている。物権的請求権には返還請求権、妨害排除請求権、妨害予防請求権がある。

  • 返還請求権:所有権が占有によって侵害されている場合、その返還を請求すること。例えば所有者でない者が、自分の建物に住んでいる(占有している)場合、出ていくように請求が可能。
  • 妨害排除請求権:所有権が占有以外の方法によって侵害されている場合、その排除を請求すること。例えば土地にゴミを不法投棄した者に対して、土地の所有者が現状回復を請求することが可能。
  • 妨害予防請求権:侵害されるおそれがあるときにそれを予防すること。例えば隣地から自分の土地に土砂が崩れ落ちてきそうになっている場合、土砂が崩れ落ちない対策を講じるように請求が可能。

担保物権の種類

法定担保物権

法律上当然に発生する担保物権

  • 留置権:ものに関して生じた債権の弁済を受ける前で、そのものを手元においておくことができる権利のこと。例えば自動車の修理を頼んだ人が修理代金を払わない時、修理人はその修理代金を払うまで自動車の引き渡しを拒否できる。(手元においておける)
  • 先取特権:債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる権利のこと。例えばある企業が倒産したとき、従業員は未払い給料債権について他の債権者に優先して支払を受けることができる。
約定担保物権

当事者間の設定契約によって発生する担保物権

  • 質権:債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を占有し、かつそのものについて他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる権利のこと。例えばAがBに100万円を貸すにあたって、高級時計を預かったとして、Bが100万円を期日までに返済ができない場合は、Aがその高級時計を競売にかけてその代金から貸していた100万円を優先的に回収することができる。
  • 抵当権:債務者または第三者が占有を移転しないで(手元に保有したままで)、債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権お弁済を受けることができる権利のこと。例えば、家を担保に住宅ローンを貸す場合が該当する。なお、抵当権にあたって債権者は占有をしていないため、第三者からみると抵当権が設定されているかどうかは状況からは判断できない。そのため、登記が可能な不動産のみにしか抵当権は設定ができない。
譲渡担保

債権の担保のために所有物を利用したまま、その所有物の所有権を債権者に譲渡し、債務を弁済した際に所有権が再び債務者に戻る制度。債務を弁済できない場合には、目的物の所有権は債権者が取得する。例えば債務者A、債権者Bがいるとき、AがBから営業資金として1,000万円を借りて、Aが使っている商売道具(機械等)を担保として差し出す。ここで、その機械の所有権はBに移るが、Aは引き続きその商売道具を利用することができる。その後、Aが債務を弁済すればその機械は再びAの所有権となり、Aが債務の弁済ができないときにはその商売道具をBに引き渡すことになる。

もし、質権で設定した場合は、Bは機械を占有することとなるのでAはその機械を使うことができなくなる。抵当権は不動産にしか設定ができないため、動産しか担保にできる財産がない場合には適用ができない。

整理すると以下の通りになる。

  • 質権:占有権は債権者、所有権は債務者
  • 抵当権:占有権も所有権も債務者
  • 譲渡担保:占有権は債務者、所有権は債権者

なお、譲渡担保は法に規定のない担保物権(非典型担保物権)となる。

物上保証と物上代

物上保証:他人の債務のために自己の所有する財産を担保として、質権、抵当権等を設定することを言う。保証に類似するが、あくまで物的担保という扱いになる。そのため、書面ではなく口頭でも契約は成立する。なお、連帯保証(人)ではないので、保証する範囲は設定した自分の財産に限る。

上代位:担保物件の目的物が売却、賃貸、滅失または損傷によって、法律上もしくは事実上形が変わったときに、その代わったものに対しても担保物件の効力が及ぶこと。たとえAはBに5,000万円お金を貸し、B所有の建物に抵当権を設定したが、その建物が火災で消失した場合、建物は無くなってしまったが抵当権が消えることはなく、火災保険金請求権などで求償することができる。 

先頭へ戻る