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2019年に読んだ本で良かった本5選

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もともと本をそんなに読む習慣はなく、年にせいぜい2~3冊、多くても5~6冊くらいしか読まない人間だったのだが、今年の夏頃から無性に本を読む欲求が高まり、正確な数は覚えてないが半年ほどで50冊近くは読んだ。

なぜここまで本を読むようになったのかというと、間違いなくきっかけは中田敦彦youtube大学のチャンネルで、これが自分の中に眠っていた知識欲が目覚めるきっかけとなった。このチャンネルに出会えて本当に良かったと思っている。

もちろん、このご時世、わざわざ本を買って読まずともネットで調べればわかるものも多いのだが、品質(記載内容の妥当性)が担保され、体系的に整理されている情報を手に入れようとすると、正直ネットでは信頼性が足りなかったり、雑多すぎる情報からかき分ける必要があったりして、かえって不便なのである。となると、必然的に本で情報を収集するのが一番なのであった。

という感じで週2冊くらいのペースで本を消化していき、気づいたら半年で50冊ほど読んでいた。年換算すると100冊ペースである。(1年前までの自分では考えられなかったことだ…。) 時折、「読書が趣味で年100冊は読んでます!」みたいな人がいて、そういう人に会うたびに「よくそんなに読めるな…」と思っていたものだが、案外読めるものであった。

今では毎日アマゾン・キンドルの日替わりセールをチェックしたり、ふらっとブックオフで中古本を漁ったりで、まだまだ消化しきれてない本があるので、これは来年引き続き読んでいきたい。

さて、その中でも個人的に印象に残った本を5冊、列挙していきたいと思う。番外編含めると7冊だが、そこは突っ込まないでいただきたい。

 

 

 

1.一度読んだら忘れない世界史の教科書 

You Tubeでムンディ先生という名で、世界史の授業動画をアップしている山崎圭一氏の本。中田敦彦youtube大学の世界史編の元ネタとなった本でもある。

「年号を使わない」というコンセプトで世界史を見事にまとめあげている。個人的には年号を使わないことより、各地域の歴史を一気通貫でまとめることで、歴史の前後関係の整理をしやすくしていることが非常に理解のしやすさにつながると感じた。(年号の丸暗記は確かに本質ではないが、ある程度の年代感を持つことは必要だと思うので、まるっきり年号無しというのもそれはそれで整理の妨げになると思った。)

内容としては広く・浅くな本なので、細かいことを言えばちょっと違うんじゃないのと思う記述はあるのだが、そのあたりはわかりやすさを優先するためには仕方のないことだろう。これをもとに気になった事項を個別に専門書で読んで理解を深めるスタイルが良い。

また、同著者の日本史編もあり、そちらもとても良い本なのだが、はっきり言うと近代史までは前座である。江戸時代まではすっ飛ばしで、幕末・明治維新あたり(いわゆる日本史Aの範囲)から読み始めるほうが良いかも。

   

2.この一冊で「聖書」がわかる! 

タイトルだけ見るとなんだか胡散臭い入門書と思えてしまうが、内容は非常に濃密である。主に宗教史としてのアプローチで解説しているため、宗教的な教義や思想を知ろうとして読むと少々期待外れになってしまうかもしれない。

「旧約、新約のあらすじから、ユダヤ教キリスト教イスラム教まで」というサブタイトルながら、ユダヤ教(旧約聖書)からキリスト教(新約聖書)へ至る変遷や、その後のキリスト教の広まりについての内容がメインとなっており、イスラム教についてはほとんど触れていないので、イスラム教(およびコーラン)について知りたい場合は他の本を読んだほうがよい。

なぜキリスト教が隆盛したのか、どのようにしてキリスト教が生まれたのか、ユダヤ教キリスト教はどういう関係なのか、といったあたりを知るにあたって非常に参考になる本で、このあたりはネットとかで調べてもいまいちピンとくる情報が無く、手頃な本を探していた自分にピッタリであった。今後も何度か読み返すことになるだろう。

 

3.池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界 (集英社文庫)  

池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界 (集英社文庫)
池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界 (集英社文庫)
  • 作者:池上 彰
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/10/20
  • メディア: 文庫
 

 池上本だからといって馬鹿にしてはいけない。

高校生向けに池上氏が行った授業をもとに編纂した本ということで、内容は非常に平易であるものの、イスラム教の誕生から現代の国際的な諸問題について語られており、よくこの1冊にまとめあげたものである。そこは池上氏(および編集者)の力量なのだろう。

もちろん、初学者向けかつ池上氏自身はイスラム教の専門家ではないので、専門用語的なことや、イスラム圏における民族・風習といった、イスラム教をより理解するにあたって必要となる情報に関することはそこまで載っていない。そのあたりは専門書に委ねる必要がある。

ただ、 中東の世界情勢を知る上で基礎となる知識はこの1冊の内容が頭に入っていれば概ね追うことはできるであろう。そういった意味でよくできた本だと思った。

 

4.イスラム教の論理 

イスラム教の論理 (新潮新書)
イスラム教の論理 (新潮新書)
  • 作者:飯山 陽
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/02/15
  • メディア: 新書
 

さきほど、「池上本だからといって馬鹿にしてはいけない。」と書いたが、この本の著者である飯山氏は池上本をめっちゃ馬鹿にしている。いや、馬鹿にしているというのは語弊があるのだが、池上氏の先述の本などでは「イスラム国が生まれたのはアメリカのせい」というような記述が見られ、これを真っ向から否定している。(なんならこの主張を池上彰によるプロパガンダとまで言い放っている。) 確かに、先程の本での池上氏が「アメリカのせい」という結論は少々強引なもって行き方で、いまいち論拠に欠けているのだ。そして、飯山氏が否定している根拠はこの本を読めばよく分かる。

改めてこの本について整理すると、テロや紛争といったイスラム圏(中東~アフリカ)における諸問題について、これらはイスラム教およびコーランの教義に基づいた活動であり、イスラム教の本質であることを謳っている。そのため、「イスラム教は平和を重んじる宗教だ」とか「テロ行為をしているイスラム教徒は例外的であり、イスラム教はそのようなことを許していない」といった発想はあくまでこのご時世にて近代国家との和平(妥協)をする上での解釈にしかすぎないということである。

例えばコーランには「あなたがたが不信仰者と出会った時はその首を打ち切れ」 というような記載があり、これを忠実に守ればイスラム教徒以外の異教徒は打首の対象となるのである。そして何より、イスラム教ではコーランに記述は神の言葉そのものであり、それを文字通り信じることが教義であるため、当然これに従うことがイスラム教徒として正しい姿であるのだ。なので、「私は君たちには危害を加えない日本人だ!殺さないでくれ!」といっても、むしろ「日本人=異教徒」という時点で彼らのターゲットになるのである。

イスラム教においてのコーランの扱いなどについては別途専門書参考。詳細は省略するが、コーラン預言者ムハンマドの言葉の記録、つまり神の言葉そのものが記載されているという考えが基本となっている。旧約聖書新約聖書は別にアブラハムモーセ、イエス本人が記したものではなく、後世の人が記したものだから、神の言葉そのものではないよね、というスタンス。

イスラム国やタリバンといったいわゆる過激派と言われる組織についての本も何冊か読んだが、どうもしっくりこない。イスラム教について解説している本や冊子で「イスラム教でテロは教義に反する」みたいな解説を読んで「なんか狐につままれた感じがするなぁ…」という思いをした人にはぜひ読んでもらいたい一冊。さきほどの池上本と合わせて読むと、いい感じにお互いの偏った考えが打ち消されるかも。

 

5.渋沢家三代 

渋沢家三代 (文春新書)
渋沢家三代 (文春新書)
 

 新しい一万円札の肖像として選ばれた渋沢栄一。その渋沢栄一本人だけではなく、「渋沢家」として息子の篤二、敬三に至る三代の歴史を辿った本。そのため、渋沢栄一に関する記述は全体からするとそこまで多いわけではなく、むしろメインは息子の篤二なのではと思うくらいの内容である。しかし、この篤二および敬三についてここまで詳細な記述がされている本というのは、おそらく他には無いのではなかろうか。いや、渋沢栄一の息子や孫の話なんぞ、この本を読むまで自分も全く知らなかったのだが、Wikipediaでもせいぜい5行くらいしか書かれていない人物について、100~200ページのボリュームで記述されている書物という時点で非常に貴重であろう。ちなみにこの本全体としては250ページくらいあり、文庫本としてはやや厚めである。

幕末・明治・大正・昭和に至る時代の変遷と並列させながら渋沢家の栄枯盛衰を記述していく中で、伝記にありがちな「渋沢栄一はこんなすごかった」という話だけではなく、栄一が偉大すぎるがゆえに落ちぶれていく篤二、実業よりも学問に興味が向いた敬三、といった、ある意味人間味あふれる渋沢"家"にスポットを当てた、とても意義深い書物であった。

時折、当時の日記等から引用した原文もあり、そのあたりは古文の苦手な自分には読むのが辛かった(時折飛ばしてしまった)が、それであっても、内容は十分追えるであろう。 

 

番外編1.完全独習 統計学入門 

完全独習 統計学入門
完全独習 統計学入門
 

 これは番外編。いわゆる新書や文庫本的な感じで読むためではなく、資格試験勉強のための事前知識として、統計学の勉強をするために購入した本。

大学では理系を専攻していたものの、恥ずかしながら統計学周りは疎く、ざっくり平均・分散・標準偏差を理解している程度にすぎなかった。そして大学生活でもあまりこのあたりの知識を使うこと無く、社会人になってからもやはり使うことが無かったので結局今に至るまでろく触れず終いだったのだが、この度某資格の取得にあたってゴリゴリこのあたりの知識が必要になってくるため、まずは入門書を、と思い、購入した。

入門とあるだけあって内容は平易なのだが、数式の記載粒度が非常にバランス良い。この手の本にありがちなのは「数式が無くてもわかる!」と謳っていることで、まわりくどい説明が出てきてしまったりして逆に分かりづらくなってしまうやつである。

確かにこの本も幾分そういった要素はあるのだが、ポイントとなる式はきちんと数式として明示し、それに至る証明や解説では式は最低限に抑えているため、非常に読み物として読みやすい。数式が出てくる本でありながら、寝ながらでも十分読めるであろう。特に後半部分、この本の最終目標である母集団における分散と平均の推定については、カイ二乗分布t検定といった、「うわなにそれ!名前聞いただけで勘弁!」となってしまう事柄について見事に整理しており、読み終わったあとにはそれまで自分にあった「統計学アレルギー」が薄れていったのを実感した。

とりあえずは資格試験勉強の方に注力はするが、落ち着いたら改めて一歩進んだ統計学の本を読んで勉強してみたいと思わせる、とても素晴らしい入門書であった。

 

番外編2.完全教祖マニュアル

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

 

この記事を書いているのが2019/12/29なのだが、 この本を読んだのが2019/12/29。そう、直前になっての滑り込みである。「2019年に読んだ本で良かった本5選」と言っておきながら、いまさら差し替えるわけにもいかず、急遽番外編にランクイン

タイトルの通り教祖となるための指南書という位置づけで、教祖になるためにああしろこうしろが載っており、それを通じて特に世界宗教を始めとした「宗教」というものの特徴・性質を抽出し、解説している本となっている。

例えば、「食物規制をしよう」という章にて、ユダヤ教のカシュルートやイスラム教のハラームを引き合いに出して、食物規制はその宗教団体としての特異性を形成することでコミュニティの結合力を高める一手段であることを解説している。

文調が超口語体とでもいうべきか、正直ふざけている感じの語り口で、もはやギャグ作品の領域で読んでいて思わず爆笑してしまうくらいなのだが、よくありがちな「イスラム教では豚は不浄な生き物だから食べない」というようなマヤカシ解説をせずに、一定の信頼ある情報ソースや史実を著者がしっかりと噛み砕いた上でまとめあげているのが読み取れる。文調だけで内容を判断してはいけない、あなどれない一冊であった。

 

以上、5冊+2冊という形で2019年に読んだ本の中でも特に印象に残ったものを列挙した。今あらためて思うとこれ以外にも紹介したい本はあるが、キリがないので割愛させていただくことにする。それはまた機会があれば(要望があれば…)投稿しよう。