一生旅行生活してえ

旅行とか写真とか。たまには自己研鑽。一生旅行生活してえ。

2020年正月に読んだ本紹介

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2020/1/1~2020/1/3の三が日は特にすることもなかったので、引きこもって本ばかり読んで終わった。どれも良い本だったので、僭越ながら紹介しようと思う。

読んだ順で記載していく。

 

1.科学哲学への招待

科学哲学への招待 (ちくま学芸文庫)

科学哲学への招待 (ちくま学芸文庫)

 

 科学哲学という言葉だけだととても難解のように思われるが、その入門書ということもあり、大きく躓くこと無く読める一冊だと思う。とはいえ、ある程度の科学そのものの知識(量子力学不確定性原理とか)は前提として持っていないと、科学の事象を理解するのでいっぱいいっぱいになってしまうだろう。科学のことはすでに知っていて、それをどう哲学として捉えるか、すなわち、「科学的に正しい」というのは何を持って正しいと言えるのか、正しいというのはそもそもどういう定義なのか、ということを深く追求する一歩になる書であろう。

 

2.死刑 その哲学的考察

死刑 その哲学的考察 (ちくま新書)

死刑 その哲学的考察 (ちくま新書)

 

この本としては死刑の是非を結論づけるものではなく、死刑の是非をどういうふうに考えるべきか、を示してくれる内容である。死刑の是非と言ってしまうと「悪いことをしたやつには相応に懲らしめないといけないから必要」とか、「遺族の悔しい思いを晴らすために必要」というように道徳的観点(相対的観点)から語られてしまうことが多いが、そうあるべきではなく、絶対的な基準から導いて考えなければならない、ということをとにかくきっちり深堀りしていってくれる。このあたりの話でカントの仮言命法定言命法を用いたりするのだが、哲学の小難しい話をしてごまかすのではなく、それらをきちんと平易な言葉で解説しなおし、論理的に筋道を立てて説明していくのは非常に見事であり、感動すら覚えるであろう。もちろん、難しいことの説明をするのでそれなりに読むのは大変だが、専門的な前提知識はなくても十分読める良書であった。

 

3.イスラム金融入門

イスラム金融入門

イスラム金融入門

 

 イスラム金融の最大の特徴は「利子を取ってはならない」ということであるのだが、当然それだと「おいおい、銀行は商売上がったりじゃないか?」と疑問に思うわけで…。そのあたりについてのイスラム金融の仕組みや、イスラム金融の歴史、および今後の成長についてわかりやすく解説している一冊。ただ、わかりやすく解説しているとは言えども、最低限の金融知識(銀行・証券・保険)は前提となる。

日本人には馴染みが薄いイスラム教であるが、身近なところで言えばハラルフードを謳ったレストランは増えてきているし、マレー系の訪日観光客も増加一途、そして先日、サウジアラビア最大の石油会社であるサウジアラムコIPOしたりで、経済的なインパクトは今後ますます強くなっていくであろう。金融系の仕事をしている人が読むと「へぇ~」と思うことが多いと思う一冊。

4.中国共産党 葬られた歴史

中国共産党 葬られた歴史 (文春新書)

中国共産党 葬られた歴史 (文春新書)

 

 中国共産党そのものや中国共産党の全体感についてというよりも、譚平山視点からの中国共産党の成立を記している。譚平山はもとより、中国共産党の成り立ちを自分は知らなかったため、非常に興味深い一冊であった。ただ、書籍の性質上いろんな中国人名が飛び交い、読んでいる中で混乱してきてしまったので、また自分の中でこのあたりの歴史が整理できたころに再読したい。読みやすく、間違いなく良書であると思うが、時々歴史を行ったり来たりするので、中国史(世界史)の知識を持っておかないと、なんのことやらとなってしまう可能性あり…。中国の近代史(アヘン戦争日清戦争辛亥革命中華民国成立→国共合作日中戦争第二次世界大戦中華人民共和国の成立→文化大革命あたりの流れ)は抑えておきたいところ。

 

5.キリスト教と戦争

キリスト教と戦争 (中公新書)

キリスト教と戦争 (中公新書)

 

 昨今はテロだのなんだので戦争というとイスラム教のイメージがあるかもしれないが、歴史的にはキリスト教ガンガン戦争してきてた。そんなキリスト教においてなぜ戦争を引き起こすのかを、キリスト教の教義と照らし合わせて考察した本。

キリスト教を始めとして、日本人の宗教に対するイメージというと「みんな仲良く、平和にやっていきましょう」という方針が前提になっていると勘違いしてしまいがちだが、必ずしも教義ではそう言い切れない。それは正当防衛であったり、悪の拡散を防ぐ目的のもと、戦争は許されてきているのである。もちろん、戦争が発生する原因というのはとても複雑であるため、単に宗教的な観点だけで説明できるものではないが、一旦はそれを抜きにして、純粋にキリスト教の観点で照らし合わせたらどうなる?と、ノイズをきちんと除去して整理されているため、非常に読みやすい。また、キリスト教に関する前提知識も適宜補って解説しているため、キリスト教に詳しくない人でも読みやすいと思う。

 

6.零の発見―数学の生い立ち

零の発見―数学の生い立ち (岩波新書)

零の発見―数学の生い立ち (岩波新書)

 

 初版は1939年という、もはや古典の領域といっても良いかもしれない。この本はなんと2章しか無く、その2つの章でかなり趣向は異なる。

 第一章:零の発見
 第二章:直線を切る

第一章は本のタイトルから想像つくような内容である。0という数字の特性についての解説をわかりやすく説明しており、数学が苦手だった人でも読みやすい内容となっている(数式もちらほら出てくるが、読み飛ばしても十分読める)。また、0という数字がどのようにして広まったかということを歴史的な観点で記されており、そういった意味でも「文系向き」の内容となっているであろう。ただし、2章に近づくにつれ無限級数の考えが出てきたりして、雲行きが怪しくなってくる…。

第二章はもはや0の話は関係ない古代ギリシャやエジプトにて数学がどのように扱われてきたかという歴史的な話から、円積問題(コンパスと定規だけである円と同じ面積の正方形を描けるか?という問題)の話へと繋がり、最終的に「πは超越数である」という結論まで持っていくのだが、これは大学初等数学まで理解している人でないと正直読むのはキツイ。確かにこの本で出てくる数式そのものはせいぜい高1で習うレベルの式(二次方程式)なのだが、極限・連続性の概念を知っていないと「なんか狐につままれたような気がするなぁ…」と、モヤモヤが晴れないであろう…。多分この本では「一見簡単そうな円積問題の証明に、2000年以上の時が経つくらい数学は奥が深いんだよ」ということを言いたかったのだと思う。

逆に、大学の微分積分をある程度知っている人であれば、「おお、確かに!せやせや!πが超越数であれば円積問題は解けるわけないわな!」という感じで読み進められると思う。

 

7.闇ウェブ

闇ウェブ (文春新書)

闇ウェブ (文春新書)

 

 麻薬取引等を行うための闇ウェブ(ダークウェブ)について、「ドラッグのeBay」とも言われたシルクロードというサイトの創設者が起訴され終身刑が下った事件を元に、そもそも闇ウェブというのはどういうものなのか、その闇を担保する仕組み(Tor)はどういったものなのか、シルクロード創設者が逮捕されたのはどういう経緯か、今後日本のWebセキュリティをどうしていくべきか、ということを解説している本。最初の方は「こんなアングラサイトあるよね~」という感じですいすい読める感じの内容なのだが、Torの仕組みを解説している章あたりから急にハードルが上がる。そのため、最低限のIT知識(ネットワーク・セキュリティ、暗号化、ルーティング等)があったほうが良いとは思うが、最悪、無くても「結論としてこういうことなんだろ」というのは理解できると思う。今年より自分が担当する職務にてセキュリティ周りの知識も幾分か必要になりそうなため、これを気に勉強し直したい…。

 

以上、この3日間で読んだ本を紹介した。どれも良い本であったし、再読したいと思う内容であった。2020年も引き続きいろんな本を読んでいきたい。