イールドカーブについて、参考書なんか見ているとスポットレートカーブとフォワードレートカーブとパーイールドカーブがそれぞれグラフ化されていて、どっちがどっちよりも大きいとか小さいとか、そういった説明がなされている。
視覚的には「はいそうですか」という感じだし、単に試験を通過するだけであれば丸暗記でも良いわけだが、改めてこれを数式的に噛み砕いていく。
導出
①スポットレートカーブとフォワードレートカーブ
右上がりのスポットレートカーブを前提に話を進める。
また、話を分かりやすくするために式は一般化せずに、具体的に残存期間2年と3年の債券で考えてみる。
まず、スポットレートとフォワードレートの関係式から、以下が導ける。
右上がりのスポットレートのとき、2年もののスポットレートと3年もののスポットレートの大小関係はとなるので、上記式を変形すると、
下線部の大小関係が成立する。これより、これを等式とするためにはとなる必要があり、結果の関係が成立する。
これをとかで一般化すれば以下が成立する、すなわち右上がりのスポットレートカーブに対して、フォワードレートカーブはその上に位置することになる。
②スポットレートカーブとパーイルドカーブ
さて問題はパーイールドがどういう関係か、である。参考書のグラフを見ていると、右上がりのスポットレートカーブのときには微妙にパーイルドカーブが下回っている。
ここでも、話を分かりやすくするために、残存期間2年の債券で考えてみる。 このときのパー債の価格は以下のように表せられる。
P:債券価格、c:クーポンレート、F:償還価格、y:複利最終利回り、r:スポットレート
パー債なのでP=F=100(債券価格は額面に等しい)、c=y(クーポンレートと複利最終利回りは等しい)
このとき、上記2行目と3行目の式は分子が同一のため分母に着目してみる。そうするとyとrは、が成立しないとこの等式は成り立たない。(なので、yはその間に挟まれないと過大・過小になってしまう。) すなわち、右上がりのスポットレートカーブに対して、パーイールドカーブはそれより下回ることになる。
※式を一般化すれば、になる。すなわちn年目のスポットレートより、パーイールドは下回ることになる。
これを整理すると、右上がりのスポットレートカーブ(順イールド)のときは、パーイールドカーブ<スポットレートカーブ<フォワードレートカーブが成立する。
当然、逆イールドのときは 不等号が逆になり、フォワードレートカーブ<スポットレートカーブ<パーイールドカーブが成立する。
以上
参考文献: