EBITDAについては証券外務員なんかにも出てくるものだが、そもそもEBITDAってなんて読むのかわからないし、これがどういう指標なのかいまいちピンと来ないので、整理してみる。
まず、EV/EBITDA"倍率"の定義は以下の通りだ。
※EV:企業価値
むむむ、、、何が言いたいのかこれだけではさっぱりわからないので、順を追って整理する。
導出
EVの考え方
まず分子のEVはエンタープライズ・バリュー、すなわち企業価値ということなのだが、この定義は以下の通り。
で、問題はなぜこれが企業価値なのかである。
この指標の前提としては、この企業を全買収することを考える。その場合、当然その企業の株式を買い占めることになるため、まず株式時価総額が現れる。そしてその企業を買収した場合、その企業が抱えていた負債も合わせて引き受けることになるため、その結果EV=株式時価総額+有利子負債という式で表せられることになる。
あとは補足の話で、ネット有利子負債というのは有利子負債から現預金や流動性の高い短期性有価証券を差し引いたものである。つまり、今その企業が持っている現金とか短期性有価証券でさっさと負債を返済してしまった残りの有利子負債ということである。これが実質的に買収したあとに返済が必要となる負債ということである。
EBITDAの考え方
EBITDAはEarnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization:利払い前・税引き前・減価償却前利益という定義であるはい意味分かんないー。
まず読み方についてはウィキペディア先生によると、「EBITDA」の読み方は、「イービットディーエー」、「イービッタ」、「イービットダー」、「エビータ」、「エビティーダ」などが用いられ、一つには定まっていない。ということである。読み方は一旦おいておくとして、ウィキペディア先生によるとこの定義式は以下のようになる。
はいやっぱり意味分かんないー。というわけで以下のようにめっちゃ単純化する。
こうするとスッキリ。
ここで疑問になるのが、営業利益はその会社が本業で稼げる利益だが、これに減価償却費を加えているのはなぜか?である。ここで、EBITDAは利益を表す数値というより、キャッシュフローを表す数値という理解をしたほうがしっくりくる。つまり、減価償却費は単に会計の数字上帳尻を合わせるための費用なだけで、実際には現金異動(キャッシュフロー)は発生しない。したがって、減価償却費を差し戻してやることで、本来の稼げるキャッシュフローを表すということである。
極端な具体例で示すと、例えば100億円の設備投資をしてこれを10年で定額償却すると、1年辺り10億の減価償却費が発生する。このとき、ある年にて売上総利益で40億円出ていたとしても、営業利益では減価償却費が差し引かれて30億の利益となってしまう。でも、実際には10億円を支払っているわけではないので、営業利益として稼ぐ力(営業キャッシュフロー)は40億円分あるよね、という考え方である。
EV/EBITDA倍率の考え方
以上を踏まえて、EV/EBITDA倍率は、買収しようとする企業が抱えている時価総額+有利子負債に対して、営業利益で稼げるお金を使ってどんだけで回収できるの?を表すことになる。例えばEVが1000億、EBITDAが100億であれば、10年で回収できるということである。一般的にはこの指標は10倍前後となるらしい。
PERとの関係性
証券アナリストという観点ではPERとの関係性が問題として問われることが多い。PERはPrice Earnings Ratioの略称で株価収益率のことであり、定義は以下の通り。
ざっくり、利益が配当に回ることを考えるとその株価に対して何年で回収できるかを表す。株価が1000円、EPSが50円であれば、PERは20倍、つまり1株あたり利益を20年積み重ねることで、株価に相当する(=株価分を回収できる)ということを表す。
で、上記は1株あたりで換算しているので、これを発行済株式総数で考えると
このため、有利子負債が同じの前提の場合、EVITDA倍率が高い企業は時価総額が高い→PERも高い、という関係性が導かれる。
以上
参考文献
EV/EBITDA倍率の詳しくて分かりやすい説明 - ファイナンシャルスター
https://manelite.jp/ev-ebitda/