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状態価格(アロー証券)の考え方について

状態価格の考え方がなんだか分かったようでよく分からなかった。証券アナリストの試験問題として解くだけなら公式覚えて解けるのだが、なんだかモヤッとしていたのが正直なところであった。

問題として出されるのは、現在価格と状態1、状態2があり、それに対する状態価格を求めなさい的なやつだ。初めて問題文を見たときには何を言っているのか日本語がさっぱりわからなかったが、解答を見ると解き方自体はただの連立方程式なので解けてしまう。しかし、なんでそういう考え方するの?と言われると言葉に詰まってしまうような、そんな理解であった。

コロナで試験が順延されてしばらく間を空けたことで頭が整理されてきたのか、本に書いている意味がようやっと分かってきた気がするので、自分の備忘のためにも記載しようと思う。

アロー証券の考え方

まず、問題設定として、状態1,状態2という2つの将来予測を定義する。これ自体をもっと具体的に落とし込んで考えれば、現在から見て景気が上がった・下がったとか、会社が存続している・潰れている、というような将来予測である。ある株式の株価の現在価格が100円として、景気が上がる(状態1)であれば140円、景気が下がる(状態2)であれば80円、といったイメージである。

ここで、仮想的にアロー証券というものを定義する。これ自体は実際に存在するものではなく、あくまで理屈を考える上での仮想的な証券である。では、このアロー証券というのは何者かというと、状態1,状態2で以下のような値動きをする。

■アロー証券1

 状態1:1円

 状態2:0円

 現在価格:A1円

 

■アロー証券2

 状態1:0円

 状態2:1円

 現在価格:A2円

 なんじゃこの値動きはという感じがしてしまうが、一旦ここではこういうものだと理解しておく。具体例とするなら、アロー証券1の方は、景気が良い時(状態1)に1円もらえるが、景気が悪い時(状態2)には0円となり、アロー証券2はその逆で景気が良い時(状態1)に1円もらえるが、景気が悪い時(状態2)には0円となる証券だ。

ここで、このアロー証券1、2両方を1つずつ保有しているとすると、この場合、状態1,状態2どちらであっても1円が確実にもらえる証券(ポートフォリオ)ということになる。つまりこれは、ある償還タイミング(状態1or状態2)において1円の償還金が確実に発生するとも考えられるため、安全資産≒債券(割引債)とみなすこができる。

そのためアロー証券1,2の現在価格をそれぞれA1,A2とすると、リスクフリーレートRfを用いて以下の関係が導ける。

 A_{1} + A_{2} = \dfrac{1}{1+R_{f}} \cdots (1)

これはつまり、割引債の現在価格と同じ考え方と言える。

原資産との関係性

さてここで現在価値100円の原資産があるとする。先述の例により、状態1の時に140円、状態2の時に80円になる株式で考えてみよう。そうすると以下のように定義ができる。

■株式

 状態1:140円

 状態2:80円

 現在価格:100円

 で、これをアロー証券をつかって考えると、こうすることもできる。

■アロー証券を用いて表現した株式

 状態1:アロー証券1を140保有(=1円×140個=140円)

 状態2:アロー証券2を80保有(=1円×80個=80円)

 現在価格:140×A1+80×A2

上記より、株式の現在価格と、アロー証券を用いて表現した株式の現在価格は等しいため、以下の等式が成り立つ。

 140 \times A_{1} + 80 \times A_{2} = 100 \cdots (2)

試験においては(1)と(2)の式の連立方程式から、A1およびA2のアロー証券の現在価格(=状態価格)を求めることになる。この式を解くだけなら中学生レベルの数学である。

 なお、"この現在価格は等しいため"、と当たり前のように書いたが、これは一物一価の法則および無裁定原理に基づいている。この単語だけだと難しいのだが、Wikipediaによると「自由な市場経済において同一の市場の同一時点における同一の商品は同一の価格である」ということであり、誤解を恐れずに要すると、各種条件が同じなら当然価格は同じになるよね、と言える。そのため、現在価格をアロー証券を用いて表しても、それ自体は原資産そのものの現在価格と同じなので、(2)の等式が成立すると考えている。

なお、今回の例では状態が1,2の2つである前提で記述したが、これが増えたところで考え方は同じである。つまり、アロー証券1~Nまであるとして、それを全部1つずつ保有すれば1円の割引債となり、当然(1)の式も同じように成立する。それにあわせて(2)の考え方も適合できることになる。

リスク中立確率

そしてもう1つ、リスク中立確率という概念についても記載する。"確率"という言い方が語弊あるため、正直イメージが掴みづらい。一旦"確率"を忘れて、定義を見てみる。ある状態価格A1に対するリスク中立確率q1は以下である。

A_{1}=\dfrac{q_{1}}{1+R_{f}} \cdots (3) 

つまり、リスクフリーレートで割り引いた時に状態価格A1になるための価格がリスク中立確率である。そのため、少し戻って(1)の式を一旦以下のよう変形すると、、、

A_{1}=\dfrac{1}{1+R_{f}} - A_{2} \Leftrightarrow A_{1}=\dfrac{1-A_{2}(1+R_{f})}{1+R_{f}} \cdots (4) 

当然、(3)=(4)になるので、q1は以下の等式が成り立つ。

q_{1}=1-A_{2}(1+R_{f})

この例は状態が2つ(アロー証券が2つ)という前提で組み立てているが、当然状態がN通りあっても同様の関係は成立する。

試験にあたってわざわざこうやってリスク中立確率を求めることはしないと思うが、確率というよりは価格という概念で考えたほうが理解がしやすいのではないかと思う。なお、なぜこれがリスク中立確率というのか、何か確率的な概念が含まれているのかは正直良くわかっていないため、そのあたりは分かり次第加筆しようと思う。

 

以上