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所得の計算および課税額の計算をわかりやすく整理してみた

 

FP1級の応用問題のために整理してみる。

特に所得金額を求めて納税額を計算する一連の流れを抑えるために、午後問題で良くでるパターンに沿って記述する。

一般社団法人金融財政事情研究会ファイナンシャルプランニング過去問題利用許諾済
2021月7月29日許諾番号2107K000003号

1.事業所得

農業や漁業、製造業、小売業、サービス業などの事業を経営して得る所得のこと。個人事業主の場合は、ほとんどが「事業所得」に該当する。以下の式にて求める。

事業所得の金額=総収入金額-必要経費-青色申告特別控除

1-1.総収入金額

これは特に計算上の考慮は無い。単に売上(収入)がそのままの値となる。例えば売上(収入)が2500万円であれば、それがそのまま総収入金額である。

1-2.必要経費

経費は色々とあるが、代表的なものだけをピックアップする。

売上原価:当期の売上に対してかかった仕入れ分の金額となる。期首棚卸高と期末棚卸高と当期仕入高から算出する。簿記2級ではおなじみのやつである。

在庫は期首棚卸高から捌けていくので、原価として消費しきれなかった分が期末棚卸高となる。したがって、売上原価の計算は以下となる。

売上原価=期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高

例えば、期首棚卸高が300万円、当期仕入高が1200万円、期末棚卸高が400万円とすると、売上原価は300万円+1200万円-400万円=1100万円となる。

なお、期末棚卸高については届け出をしない場合、最終仕入原価法による計算を行う。

 

減価償却計算:固定資産を購入した場合など、多額の費用を要するものを購入した場合、それを一気に費用計上してしまうとその期だけが大赤字のような状態になってしまい、利益をもとにした課税計算や配当計算に不都合が生じるため、期間で按分することで費用計上を平準化させる。やはり簿記2級ではおなじみのやつである。

償却方法は定額法と定率法があり、どちらを選択するか事業開始した年の3月15日までに届け出を出す必要があるが、届け出を出さなかった場合は、法定償却方法となる。(大抵は定額法)

計算方法は以下の通り。簿記2級とは若干異なる。

減価償却費=取得価額×償却率×業務の用に供していた月数/12ヶ月

償却率は定額償却の場合、1/償却年数である。6年償却であれば1/6=0.167となる。簿記2級であれば割り算で算出するが、割り切れないことを考慮して償却率で乗算する方式となる。

業務の用に供していた月数は1ヶ月未満を切り上げするため、日割りまでは行わない。例えば4月11日に購入した資産については4~12月の丸9ヶ月間利用したとして計算する。

例えば、6月4日に事業用に機械設備を購入し、その金額が500万円とする。これを10年償却とすると償却率は1/10=0.1なので、減価償却費は500万円*0.1*6/12=25万円となる。

同一生計親族への対価の支払い:同一生計とは収入・家計を共にしている者を指し、配偶者や子供などが最たる例となる。定義的には同居別居問わず、収入・家計を共にしていれば対象となる。

特に個人事業主であれば親族に対する給与や家賃を支払いが生じるであろう。原則としてはこれらの給与は原則として必要経費にはならないが、以下の場合例外として経費として扱える。

・青色事業専従者の給与(退職金は除く)

 (1) 青色事業専従者に支払われた給与であること。
 (2)「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること
 (3) 届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
 (4) 青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。(給与・賞与は認められるが、退職金は認められない。)

・白色事業専従者控除額(次のイまたはロの金額のどちらか低い金額)

 イ) 事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円
 ロ) この控除をする前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額

白色専従者控除額については、例えば、今までの例で起算していくと、事業所得金額は総収入金額-売上原価-減価償却費=2500万円-1100万円-25万円=1375万円

ここで、専従者が1人(配偶者)とすると、1375/(1+1)=688万円(小数点以下四捨五入)>86万円となるので、経費額は86万円となる。

1-3.青色申告特別控除

青色申告者に対して所得金額から最高65万円を控除するという青色申告特別控除がある。青色申告の要件を満たしてれば55万円の控除(平成30年までは65万円の控除だった)、これに追加して次のいずれかに該当していると65万円の控除が適用される。

 1) その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。

 2) その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。

 

2.事業所得以外の所得

利子所得やら山林所得などであるが、全てを記載すると膨大な量になってしまうため、試験に出やすい所得で整理する。

2-1.不動産所得

計算式としては以下の通り。

不動産所得の金額=総収入金額ー必要経費ー青色申告特別控除

なお、青色申告特別控除は不動産所得>事業所得の順で控除をする。また、必要経費については借入金の返済額や土地取得に伴う借入金の利子は必要経費にならない。(損金計上ができない。)

そのため、例として、収入金額860万円、必要経費930万円、賃貸用不動産取得に費やした負債利子70万円(土地取得に伴う利子48万円、建物取得に伴う利子22万円)とした場合、不動産収入は以下の通りとなる。

860万円-930万円=-70万円 このうち、土地取得の利子48万円分は経費計上できないので、不動産所得としては-70万円-(-48万円)=-22万円となる。

2-2.一時所得

計算式は以下の通り

一時所得=収入額-収入を得るために支出した額-特別控除50万円

例えば、保険解約に伴う一時所得の場合について、解約返戻金額370万円、払込済み保険料300万円とすると、一時所得は370万円-300万円-50万円=20万円となる。

ただし、総所得金額を算出するときには一時所得は1/2をするため、事実上は10万円が一時所得金額となる。

2-3.退職所得

計算式は以下の通り

退職所得金額=(収入金額(源泉徴収前の金額)−退職所得控除額)×1/2

ここで退職所得控除額は、勤続年数によって異なる。

勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(80万円未満の場合は、80万円)
勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

よって、例えば退職金500万円、勤続年数9年とすると退職所得は(500万円-40万円*9)*1/2=70万円となる。

 3.課税金額

3-1.総所得金額

今までの金額を全部足して総所得金額を算出する。白色申告者を前提とすると、

まず、事業所得金額は総収入金額-売上原価-減価償却費-白色専従者控除=2500万円-1100万円-25万円-86万円=1289万円

これと不動産所得を足すと(損益通算すると)、1289万円-22万円=1267万円

最終的に一時所得と足し合わせて、1267万円+20万円*1/2=1277万円

なお、損益通算の順序については以下参照。

課税標準の計算(損益通算の順序)について整理してみた - 一生旅行生活してえ

また、退職所得は分離課税のため、所得の合算はしない

3-2.控除額

総所得金額から以下のような控除を差し引くことで、課税所得を抑えることができる。いろんな控除が存在するがすべてを挙げるときりがないのでポイントに絞る。

医療費控除:その年に払った自己負担の医療から、保険金などで補填された金額と、10万円(総所得金額200万円未満の人は総所得の5%となるが、試験では200万円未満の人が出ることはまず無い。)を差し引いた額を控除できる。計算式は以下の通り。

医療費控除額=実際に支払った医療費の合計額-保険金などの補填額-10万円

他方、差額ベッド代や問題が発見されなかった場合の人間ドック代は医療費の支出として含まれない。

例えば、入院に伴う費用が50万円、差額ベッド代15万円、通院のための電車賃が1万円、人間ドック費用5万円(ただし問題は発見されていない)、医療保険の支給額8万円という場合の医療費控除額は、50万円-15万円+1万円-8万円-10万円=18万円となる。

 

扶養控除:16歳以上の子どもや親、親族を養っている場合に受けられる控除。

扶養控除の対象となる扶養親族は、以下の条件をすべて満たしている必要があり、その親族がいるか否かについては、毎年12月31日の時点で判定される。

①納税者の扶養親族で生計を一にする人
②年間の合計所得金額が48万円以下の人(令和2年より)
③青色事業専従者、事業専従者ではない人
④他の人の扶養親族、控除対象配偶者になっていない人

ここで、具体的な控除額については、決め打ちで以下の通りとなっている。

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族(16歳以上) 38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満) 63万円
老人扶養親族(70歳以上)
同居老親等以外の者 48万円
同居老親等 58万円

 

例えば大学生(20歳)の長女と、年87万円の年金受給者の同居の親(73歳)がいる場合、長女は特定扶養親族に該当するので63万円の控除、親については、*公的年金控除が110万円を差し引くと所得金額としては0円(48万円以下)となるので、58万円の控除となる。

つまり、合計して121万円の控除ができる。

*No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁

 

基礎控除:誰でも総所得金額などから差し引くことができる控除。基礎控除は、納税者本人の合計所得金額に応じてそれぞれ次のとおりとなる。

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

今回の例でいうと、総所得金額=1277万円のため、控除額は48万円となる。

3-3.課税総所得金額

総所得金額から控除額を差し引いて課税総所得金額を算出する。今回の例でいうと、

総所得金額=1277万円
控除額=医療費控除+扶養控除+基礎控除=18万円+121万円+48万円=187万円

ゆえに、課税総所得金額は1277万円-187万円=1090万円である。

4.課税額

以上から課税額を算出する。早見表は以下の通りだが、数字を覚える必要はない。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

 

今回の課税総所得金額は1090万円のため、税率は33%、控除額は1,536,000円となる。

したがって、算出課税額は1090万円*33%-153.6万円=206.1万円である。