一生旅行生活してえ

旅行とか写真とか。たまには自己研鑽。一生旅行生活してえ。

相続の基本を整理してみた

FP2級レベルの内容も含まれるが、改めて整理してみる。

一般社団法人金融財政事情研究会ファイナンシャルプランニング過去問題利用許諾済
2021月7月29日許諾番号2107K000003号

概要

死亡した人の(被相続人)の財産(負債も含む)を残された人(相続人)に継承することを言う。民法上、相続人の範囲は、配偶者と一定範囲内の血族に限られている。具体的には以下の通り。

相続人の種類 優先度 相続人となる人
配偶者相続人 常に相続人 配偶者
血族相続人 第1順位 子(養子含む)およびその代襲相続
  第2順位 直系尊属
  第3順位 兄弟姉妹及びその代襲相続人(甥・姪まで)

 

代襲相続

相続人となるはずであった子または兄弟姉妹が、被相続人より先に死亡した場合や、相続欠格や推定相続人の廃除によって相続権を失った場合、その者に代わって相続人となる者を指す。
相続放棄した者の直系卑属代襲相続認められていない

欠格・廃除

相続欠格:強迫等によって遺言書の作成をしたり、相続人や他の被相続人を殺害した場合に相続権を失うこと。

相続廃除:相続人が被相続人に対して虐待等をしたことで、家庭裁判所の審判や調停によってその相続人の相続権を失わせること。

普通養子・特別養子

普通養子:養子が実親との親子関係を存続したまま、新たに養親との親子関係をつくる養子縁組のこと。従って、実親と養親と二重の親子関係となり、両方の相続人となる。

特別養子:養子が実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いにする養子縁組のこと。したがって、実親とは親子の関係が終了し、養親の相続人となる。

相続分

以下の表のとおりとなる。

配偶者相続人 血族相続人 血族相続人の対象
1/2 1/2 第一順位(子)
2/3 1/3 第二順位(親)
3/4 1/4 第三順位(兄弟)

 

例として2017年の過去問から計算する。

44.gif/image-size:550×214

引用元:問44 相続人および法定相続分 2017年9月学科試験|FP1級ドットコム

かなり複雑な家庭のようだが、上記に当てはめて考えると、まず配偶者相続人となるBさんは相続財産を受け取ることができる。Jさんは配偶者ではなく愛人なので受け取る権利は無いが、認知済みのKさんについては子と同様の扱いで相続が可能となる。また、Gさんも普通養子のため子と同列の相続対象となる。

したがって、Bさんが1/2の相続、Kさん、Cさん、Dさん、Gさん、Eさんがそれぞれ残りの1/2について5人で分けるので各々が1/10の財産を受け取ることになる。もし、Dさんが死亡していた場合は、Dさんが受け取る分を代襲相続人としてIさんが受け取ることになる。

特別受益者の相続分

相続人の中に、被相続人から遺贈や生前贈与によって特別の利益を受けた者がいる場合に、相続開始のときに実際に残されていた相続財産の額と合算したうえで、各相続人の相続分を決めること。つまり、被相続人の生前に多額の贈与を受けている特定の相続人がいた場合、いざ相続開始となった場合に法定相続分に照らし合わせて分配すると、すでに生前に受け取った分と合わせて特をしてしまうため、それを均すための制度である。

例えば、被相続人Aについて、子Bと子Cがいたとする。生前の時点で子Bだけに5000万円の贈与を実施し、その後Aが死亡し、子2人で2億円分の相続財産が発生した場合に以下のように計算する。

1.生前贈与した分も含めて相続分と考える。つまり2億+5000万円=2.5億円を全相続財産とする。
2.これを二人で分けるため、単純に割ると一人頭1.25億円の相続となる。
3.Bについては生前で5000万受け取っているためその分を差し引く。つまり1.25億-5,000万円=7,500万円がBの相続分となる。

寄与分

被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合に、他の相続人よりも相続財産を多く分けてもらうことができる制度。対象者は原則相続人となるが、2019年より法改正により、「被相続人の相続人ではない親族」も寄与分が認められるようになった。

具体的には無償で行う看護等により被相続人の財産維持増加に貢献した場合に、相続人に対して特別寄与料として金銭を請求できる。要は義理の親の介護に対して法的に相続権が認められたということである。

相続の放棄

相続権を持つ法定相続人が、被相続人の残した財産の一切の相続を拒否すること。そのため、資産だけではなく負債含めた両方を一切受け取らないということを意味する。また、相続を放棄した場合は最初から相続人としていないものとみなされるため、代襲相続人も発生しない。

相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に手続きが必要で、他の相続人の許可なく単独実施が可能。また、一度相続の放棄をしてしまった場合は、3ヶ月以内であっても取り消しは認められない

遺産分割

遺産分割には、指定分割、協議分割、調停分割、審判分割の4通りがある。

指定分割被相続人の遺言があり、遺産分割の方法について具体的に指示されている場合には、遺言に示された故人(被相続人)の意思が尊重され、その意思に基づいた財産分割を行うこと。

協議分割被相続人の遺言が無い場合に、相続人全員で話し合い、遺産分割協議を成立させ、財産分割を行うこと。

調停分割:協議分割をしようとしたが、感情的な対立などで相続人の間で協議がまとまらない場合や、協議に応じようとしない相続人がいる場合には、家庭裁判所に対して、遺産分割の調停を申立て、裁判所を通じて話し合って分割を行うこと。

審判分割:調停分割でも話し合いがまとまらなければ、裁判官(家事審判官)が遺産の分け方を決めて分割を行うこと。

遺産分割の話がついたら、遺産分割協議書を作成する。作成にあたっては必ず相続人全員の署名と実印の捺印が必要となる。

また、土地や事業財産など、小分けにすることが困難な財産については、代償分割を行うことができる。相続人のうちの1人または数人が遺産を現物で取得し、その現物を取得した人が遺産を取得する代わりに、他の相続人に対し債務を負担する(代償金、その他の財産を支払う)遺産の分割方法となる。

遺贈と遺言

遺贈

遺言によって財産を無償で譲ること。譲る相手(受遺者)には特に制限はないため、、法定相続人に対してもそれ以外の人や団体に対しても対象とすることが可能。受け取る側は受贈者という。

遺贈の放棄については、受贈者がその意志を表明すれば成立する。そのため、家庭裁判所での手続きは不要となる。

なお、遺贈前に受贈者が死亡した場合は、その遺贈は無効となる。

遺言

遺言の作成は15歳以上から認められる。原則本人で行い、代理は認められない。また、受贈者側の意思は不要で、一方的に遺言者側で作成が行える。

もし、内容が抵触する遺言が複数ある場合は、作成日付の新しいほうが有効となる。遺言の方式としては主に以下3通りある。

1.自筆証書遺言:遺言の全文と、日付、氏名を自分の手で書いて押印をする。あくまでも、自分の手で書く必要があるので、パソコンで打って印刷した場合や他の人に代わりに書いてもらった場合は無効となる。※財産目録についてはパソコンでの印刷可
2.公正証書遺言公正証書による遺言で、遺言者が口述で趣旨を述べ、それを公証人が記述することで作成する。費用はかかるが、確実に作成が行える。
3.秘密証書遺言:遺言書の作成自体は自分で行うが、その後、役所にて証人2人以上に立ち会ってもらい、この遺言は確かに自分の遺言であることと、自分の住所・氏名を伝えて、遺言者と公証人が押印することで保証する方法。この場合、中身についてはPC作成・代筆でも問題ない。

なお、証人となることができない人は以下の通り。

・未成年者
・推定相続人・受贈者およびそれらの配偶者・直系血族:遺言者の利害関係者であり、公正さを保てないため。
・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人:遺言内容を知る立場にあり公平さを保てないため。

遺言書を開封するにあたって、封印がある場合については、家庭裁判所にて開封の申立を行い、相続人およびその代理者立ち会いのもと、家庭裁判所内にて開封する必要がある。 

遺留分

相続人に法律上保障された一定の割合の相続財産のことを指す。この場合の相続人は配偶者・子・直系尊属に限られ、それらの相続人を遺留分権利者という。

被相続人は生前に自分の財産をどう処分しようと自由だが、相続においては遺された相続人の生活保障や、被相続人の財産形成に貢献した相続人への清算的側面もあるため、被相続人の利益と相続人の保護のバランスをとるために遺留分が存在する。

遺留分の割合

遺留分を決めるにあたっては、遺留分算定の基礎となる財産を計算し、そこから配偶者・子は財産総額の1/2直系尊属は財産総額の1/3遺留分の割合として配布する。遺留分算定の基礎となる財産額の算出は以下の通り。

遺留分算定の基礎となる財産額=遺産総額+生前贈与額-債務の額 

例えば、
 相続人:配偶者・子供2人
 遺産総額:4,000万円
 生前贈与:2,000万円
 債務:3,000万円
という場合を考える。

まず遺留分算定の基礎となる財産額は、4000万円+2000万円-3000万円=3000万円となる。相続人が配偶者・子のため、遺留分の総額はこの財産額の1/2となるので、1500万円をこの3人で分け合うことになる。法定相続分は配偶者が1/2、子が1/2となるので、それぞれ遺留分として受け取れる額は以下の通り。

 配偶者:1,500万円*1/2=750万円
 子1:1500万円*1/2*1/2=375万円
 子2:1500万円*1/2*1/2=375万円

このため、例えば被相続人が子1に対して全額相続する遺言を残していたとしても、配偶者は750万円、子2は375万円を子1に対して請求をすることができる。(遺留分侵害請求権という。)

遺留分の放棄

遺留分放棄することも可能である。被相続人が生きている間に遺留分を放棄するには、家庭裁判所で「遺留分放棄の許可」を受ける必要がある。生前は被相続人遺留分権利者へ遺留分の放棄を迫るなど不当な干渉が行われる可能性があるためである。他方、被相続人の死後(相続開始後)であれば特に家庭裁判所の許可は不要である。

遺留分の放棄は、相続の放棄ではないので、相続自体は行われる。例えば、上記例で言うと、配偶者に300万円、子1に2500万円、子2に200万円に相続するという遺言であった場合、配偶者、子2は遺留分を放棄していても、遺言上の相続財産は受け取ることができる。

遺留分の特例

特定の人物に対して円滑に事業継承をしたい場合、具体的に言うと長男に全株式を譲渡してしまいたいというような場合、遺留分を考慮するとそれ以外の相続人から遺留分侵害請求権を行使され、長男以外の人物に株が行き渡ってしまい、将来的に事業継続がうまくいかなくなってしまう懸念がある。こういったことを回避するため、中小企業の事業継承にあたっては特例が存在する。それぞれ、除外合意、固定合意というパターンがある。

除外合意は、生前に贈与された自社株式の価額を遺留分算定基礎財産に算入しない制度となる。
固定合意は、遺留分算定基礎財産に算入するが、その価額を贈与時の評価額に固定する制度となる。

これらは組み合わせて算出しても良い。例えば1000株のうち、300株は除外合意で計算、700株は固定合意で計算、という方法である。

また、この手続を利用するためには、以下の手続きを踏む必要がある。

1.合意書の作成:被相続人・推定相続人全員で書面で作成要
2.経済産業大臣の確認:合意から1ヶ月以内に申請が必要
3.家庭裁判所の許可:大臣の確認から1ヶ月以内に申立が必要

成年後見制度

精神上の障害(知的障害、精神障害認知症など)により判断能力が十分でない者が不利益を被らないように家庭裁判所に申立てをし、その人を援助する人を付ける制度。

法定後見制度

本人の判断能力の程度に応じて、「後見」,「保佐」,「補助」の3つの制度が用意されている。表で整理すると以下の通り。

  後見 保佐 補助
対象となる者 判断能力が欠けているのが通常の状態の者 判断能力が著しく不十分な者 判断能力が不十分な者
申立てをすることができる者 本人,配偶者,四親等内の親族,検察官,市町村長など
成年後見人等の同意が必要な行為   民法13条1項所定の行為 申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」(民法13条1項所定の行為の一部)
取消しが可能な行為 日常生活に関する行為以外の行為 同上 同上
成年後見人等に与えられる代理権の範囲 財産に関するすべての法律行為 申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」 同左

 

民法13条1項は,借金,訴訟行為,相続の承認・放棄,新築・改築・増築などの行為が挙げられている、

任意後見制度

本人が十分な判断能力を有する時に、あらかじめ任意後見人となる者や将来その者に委任する事務(本人の生活,療養看護及び財産管理に関する事務)の内容を定めておき、本人の判断能力が不十分になった後に任意後見人がこれらの事務を本人に代わって行う制度。手続きは以下の通り。

1.本人と任意後見人となる者との間で、本人の生活、療養看護及び財産管理に関する事務について任意後見人に代理権を与える内容の契約(任意後見契約)を締結。
→この契約は公証人が作成する公正証書により締結することが必要

2.本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所に対し任意後見監督人(後見人を監督する人)の選任の申立て。

3.任意後見監督人が専任された時点で、任意後見契約は効力が発生する。