その2では経済について述べました。続いてその3では投資信託について記載します。
戻ってその2、その1を読みたい場合は、以下を参照してください。
株式というものは
さて、あまり株式というものに触れてきてない人からすると、「株式は怖い」というイメージがあるかもしれません。しかし、実は株式という仕組みが世界的に発展した大きな理由は、あえて語弊を招く言い方をさせてもらうと「株式は損をしない」からです。
よく「株価が暴落して株式が紙くずになった」という表現がありますが、これは言い換えれば紙くずで済んでいるのです。何を言いたいかというと、株式においては「株価が暴落したので、追加でお金を払ってください」という事象は発生しません。つまり、自分が出資した以上の損は絶対ありえないのです。(これを有限責任といいます。)
実は大昔、株式という考えができた頃にはこの考えがまだ整理できておらず、経営が傾いたことで自分が出資した以上にさらにお金を払わされる事態があったりもしました。(これを無限責任といいます。) 利益が見込めたとしても、何かあったら追加でお金を払わされるような投資は怖くてしたくないですよね。
つまり、株式市場は有限責任が前提となっていることで、損失の限界が担保され、その結果安心して世界中の人が投資をしているのです。
分散投資のすすめ
ただ、損失に限界があるといっても、誰もがあえて紙くずになることを望んでいません。そんな中で損失を最小限に抑えつつ、リターンを獲得する方法が分散投資となります。端的に言えば、1点集中である特定の銘柄に投資するのではなく、色んな会社に対して投資を行います。これにより、どこかの会社(株式)が損しても、どこかの会社(株式)が儲けていれば損失はチャラになるよね、ということです。
もっと正確なことを言えば、分散投資をすると単純なチャラ(=プラマイゼロ)ではなく、損失を抑えつつリターンを期待できるよねという話なのですが、専門的な内容になってしまうのでここでは省略します。(詳しいことを知るには効率的フロンティアという概念を学ぶ必要がありますが、数学の世界になってくるので割愛します。)
また、ここでは中長期的な運用が前提となります。さきほど述べたとおり、投資というのは経済成長を前提にして、プラスサムで資産を増やしていくことになります。そしてその経済成長の裏付けは人口増加や技術革新となるわけですが、言うまでもなく1日や2日で成し遂げられるものではありません。10年、20年という長期的なスパンで見ていくことになります。
つまり分散投資によって、リスクを抑えつつ長期的には増やしていくことが、資産運用の前提となっていきます。
投資信託(ファンド)というものは
では、分散投資をしましょう!と言われても闇雲にいろんな株式銘柄を買うわけにも行きません。例えば同じような業界の銘柄ばかり買うと、その業界に対してマイナスな事象が発生したときに共倒れしてしまい、なんのための分散投資だったのかということになります。また、うまく分散投資ができるような買い方をしたとして、株式売買には手数料がかかりますし、株価の上下によりうまく安いタイミングで買えるとも限りません。やはりそれなりに経験が問われる分野となってしまいます。
そこで出てくるのが投資信託です。
多くの人は詳細に個別の株式銘柄のことなんてわかりませんし、それを勉強して色々調べて買っていくというのはとても大変です。そういった人たちのために、プロが代わりに分散投資をしてくれる仕組みが投資信託です。
流れとしては、投資をしたい我々一般人がお金を出資し、お金をかき集めます。それを元手に専門家(運用会社)にて、株を始めとした有価証券を買ったり売ったり、つまり資産運用していきます。そうこうして収益が出た場合には、分配金という形で我々に還元してくれます。
我々から集めた資金およびそこで運用されている資産のことを「ファンド」と呼びます。また、「ファンド」という言葉は投資信託の商品そのものも指します。
この仕組を用いることで、個別の株式の事とかよくわからん我々であっても、うまい具合に銘柄を選定して資産を運用してくれます。また、投資信託自体はものによっては1円単位から購入ができるため、手も出しやすい商品となっています。
※例えば株式であれば、最低売買単位というのが定められており、一般的に100株単位で売買となります。つまり、株価2,000円の株式があった場合、最低でも2,000×100株=20万円が必要となります。ただし、ミニ株や株式累積投資といった制度もあり全てに当てはまるわけではないのですが、詳細はここでは省略します。
インデックスファンドとアクティブファンド
さて、このあたりから少し深い話になっていきます。
この投資信託においては大きく2つの運用方法があります。それがインデックスファンド(もしくはパッシブファンド)とアクティブファンドです。軽く調べたことがある人であれば知っているかもしれませんが、それぞれざっくり以下のようになっています。
インデックスファンド:日経225やといった指数(インデックス)に連動するファンド。ファンド内の運用資産を、その指数の構成銘柄と同等の銘柄構成とすることで連動させている。
アクティブファンド:インデックスファンドを凌駕するために、様々な分析手法を駆使して高いパフォーマンスを目指しているファンド。その分だけ調査コストなどが発生するため手数料(信託報酬)が高くる。
指数(インデックス)というのは投資をするに当たっての指標となる数値で、例えば日経225というのはよくニュースで聞く日経平均株価というやつです。また、TOPIXというのもなんとなく聞いたことはあるかもしれませんが、これは東証一部に上場している全銘柄をかき集めた時価総額について、1968年1月4日の値を基準(100)として現在値を数値化したものです。東証一部って何?とか上場って何?とか時価総額って何?とか都度専門用語が出てきますが、キリが無いのでこのあたりの用語説明はここでは省略します。
いずれにせよ、何らかの選定基準によって選ばれた銘柄の株価を、平均や基準値との比較で数値化したものが指数となります。
インデックスファンドというのは、この指数となるべく同じ動きとなることを目指したファンドとなります。そのため、例えば日経225連動型のインデックスファンドであれば、日経平均株価が5%上昇すれば、そのファンド価額も5%上昇することを目指しています。逆に日経平均株価が5%下落すれば、そのファンド価額も5%下落します。
そしてアクティブファンドというのは、そのインデックスをベンチマーク(指標)として、それを超えることを目指します。例えば、日経平均株価が5%上昇した際に、そのファンド価額は7%上昇し、逆に日経平均株価が5%下落した際にはそのファンド価額は2%の下落で済む、といった感じです。
株式や投資信託の説明については以上です。続いては具体的な投資方法について記載します。以下をご参照ください。