一生旅行生活してえ

最近は主に資格取得関連のメモとか勉強法とかを整理

資産運用を考え始めた人へ その6 ~貯金はむしろリスク~

f:id:s_tkmt:20220101104045j:plain

その5ではESG投資に関する話を書いていきました。最後その6では貯金が実はリスクでもあるということを中心に書いていきたいと思います。

その5,その4、その3、その2、その1は以下をご参照ください。

s-tkmt.hatenablog.com

s-tkmt.hatenablog.com

s-tkmt.hatenablog.com

s-tkmt.hatenablog.com

s-tkmt.hatenablog.com

家計の整理

ここからは一旦話が逸れて家計の話になります。だいたいで良いので、みなさんは月の収入と支出の金額および年間の収支は把握していますでしょうか?無駄遣いをせずにきちんと節制していれば、ある程度貯金として溜まっていくはずです。

では、貯金はどの程度あればいいのか?これについては諸説ありますが、1つの考え方として、銀行口座を生活用・緊急用・貯蓄用に分けて管理する方法を記載します。

生活用はその名の通り毎月の出費で日常的に発生する分です。例えば1ヶ月の出費が25万円であれば、その2倍の50万円くらいを保持しておけば、多少上振れした月があっても月の生活費の支払いは守れるでしょう。

緊急用は事故などに伴う入院費や、失職により収入が途絶えた時のための分です。これに備える目安金額は無職でも1年過ごせる金額となります。つまり、最悪職を失って1年間職につけなくても生きていける金額となります。1月の出費が25万円であれば、25万円×12ヶ月で300万円程度が目安となります。

そして貯蓄用はそれ以外の余剰額となります。ただ、単にためておくというよりは、ある目標に向けて貯めていることが多いかと思います。例えば住宅ローンを繰り上げ返済するために貯める、車を買うために貯める、子供の教育資金に使うために貯める、老後のために貯める、といった10年スパンで考えるようなものです。

つまり、生活用は1ヶ月、緊急用は1年、貯蓄用は10年が目安となります。

このうち資産運用として投資に回すのは貯蓄用となります。生活用は普段から使う分なのでいちいちこの金額を投資に回していられませんし、緊急用はいざお金を使いたいというときに、たまたま株価が暴落してしまうと大損極まりありません。

しかし、貯蓄用についてはすぐに使う予定はないし、最悪なにかあっても緊急用口座から出金すれば間に合わせられることから、すぐに現金化する必要も薄いです。となると、このお金をただ黙って預金口座にて眠らせておくのはかなりもったいないです。ご存知の通り、普通預金での利息はたった0.001%。事実上利息なんてあってないようなものです。それであれば、放ったらかしにしている間にこのお金に働いてもらうのが最も効率的と言えるでしょう。つまり、投資に割り振るのです。

最初述べたとおり、その投資に回すお金というのは会社が新しい事業やサービスを始めたり、新製品を創造するといったイノベーションを起こすにあたって必要となる原資となります。もちろん必ずしもそのイノベーションがうまくいくとは限りませんが、挑戦しなければ得るものも得られません。投資資金はその挑戦するためのエンジンとなり、経済成長を加速させる原動力となり、そしてそれは最終的に利回りという形で投資した我々に還元されることになるのです。

さて、ここまできて「投資はギャンブル」と考える人はいるでしょうか?

リスクを取らないリスク

とは言え、投資という世界においてリスクはつきものです。長期的に見てプラスサムといっても、一時的な上がり下がりはあるため、タイミングによっては損失が出てしまいます。

特に日本人は倹約であること、貯蓄することが美徳(?)と考えているからか、「自分はきちんと貯金が出来ている!これを株式などに投資してしまって損が出てしまうのはもったいない!」と、もったいない精神を発揮してしまいがちです。

この気持はよくわかります。運が悪いと何もしなくても資産が目減りしていくことになり、非常に損した気持ちになってしまうでしょう。

しかし、この昨今のご時世においては残念ながら貯金している状態そのものが損でもあるのです。先述の通り、現在の日本においては銀行預金はお金を預けて増やすためというよりは、もはや預けたお金を守るためという状態になっております。しかし、周りを渡してみて分かる通り、消費税は増税されるわ、世界的な物価上昇の中で為替が円安に傾きますます輸入価格が上がるわで、各所で値上げが起きているにも関わらず、じゃあ給料が増えているかと言うとそんなことは無く平均年収は下がる一方。つまりこれは円という通貨が相対的に弱くなっている状態なのです。そのため、円をそのまま貯金として持っているということは、名目金額としては同じであっても、実質的には徐々に価値が下がっているのです。

日銀政策とインフレの話

このあたりの話を詳細に記載します。特に日本ではアベノミクスが始まって、日銀の黒田総裁が主導する大規模金融緩和により大量に市中にマネーがばらまかれました。(いわゆるアベノミクスです。)ここで軽く日銀の役割についておさらいしておきます。

日銀は銀行の銀行として、市中の銀行に対する資金の供給元となっています。そして各銀行は準備預金として日銀に一定金額お金を預けています。ここにおいても利子が付くため各銀行としては日銀に預けておくだけで一定の利益が得ることができます。ただし、この利子率が規制緩和に伴いどんどん下がっています。

そうなると銀行としては準備預金としてお金を眠らせておくより、お金を積極的に企業に貸し出して行くほうが稼げるので、貸し出し(融資)を通じてどんどんお金を市中に流通させていきます。このようにして景気を刺激していくことが日銀の役目となります。

そして、マイナス金利という言葉を聞いたことある人もいるかと思いますが、現在、この準備預金のうちの一部についてはマイナス金利が適用されています。つまり、預けておくだけでどんどんお金が減る状態です。そうなると銀行としてはなおさら預けておく意味がなくなるので、積極的に貸し出しに回すしかありません。

その上やってきたのがコロナです。コロナショックにより、急速に経済が冷え込みました。街中のお店は閉まり、活動は制限され、海外観光客で賑わっていた場所にも閑古鳥が鳴き、あらゆる経済活動が制限される状態となりました。このままでは日本経済が止まってしまうため、ここで日銀はさらなる金融緩和政策を打ちました。もともと金融緩和を続けていたところに追加でさらなる緩和という状態です。

その結果、市中にはマネーが溢れて余剰な状態となりました。

が、皆さんはこう思うでしょう。「自分の口座にはマネーが溢れてねぇよ!!」

余剰マネーの行き先

ではそのマネーはどこにいったのか?代表的なのが株式となります。つまり、ここ数年、特にコロナショック後の大幅な株高は、いわゆる景気が良くなったことによる株高というよりは、市中に溢れて行きどころが無くなったマネーが投じられた結果生み出されたものになります。

これは何を意味しているでしょう?それは相対的にお金の価値が下がっているのです。景気が良くなったわけではないのに株価が上昇というのは、逆を言えばそれだけお金を積まないと株が買えない状況になっているのです。株だけではありません。先程述べたとおり、各種原料の輸入価格は上昇し、消費税は増税され、でも給料は増えていない、という悪いインフレ(スタグフレーション)が現在の日本を取り巻いています。これは物の値段が上がったというより、お金の価値が下がったと考えるべきなのです。

そのため、「きちんと貯金して銀行に預けているから安心!」というは大きな間違いで、むしろそれは「どんどん価値が下がる資産を大切にしています!」と言っているようなものなのです。(これをインフレリスクといいます。)

そのため、生活用途でもなく緊急用途でもない貯蓄用途のお金を全額貯金のままとするのは日本円に偏った投資の状態となっており、分散投資の考えとは相反する状態となっているのです。つまり、全額貯金しておくというのは、リスクを取らない行為に見えて実はそれはインフレリスクというリスクをとっているのです。そのため、きちんと株式などにも投資をすることで、現在のようなインフレ状態にあわせて価値が増加する(というより、円の価値低下に負けない)資産形成が必要となっていくのです。

補足をすると、株式のように市況に応じて上下することで損失が発生する懸念のことをマーケットリスクといいます。つまりここで言いたいこととしては、マーケットリスクとインフレリスクというそれぞれ異なるリスクに対して分散をすることが大事になるということです。

どういう分散をすればいいかというのはそんなに難しい話ではなく、要は現金として貯金しておく部分と、積極的に投資に回す部分で2つにわけて、あとは自分のリスク許容度に応じてその分配を決めましょうという、当たり前といえば当たり前の話をしているに過ぎません。

ではその分配比率はどの程度にするべきかというと、先程述べた貯蓄用口座分の金額が、投資として回す上での最大限ということになります。この口座分をマックスで投資に費やすか、ある程度は現金のままとしておくかはということに正解は無く、個々人のリスク許容度に応じた判断次第となります。(これを専門的な用語で分離定理といいます。正確には若干ニュアンスは異りますが。)

2億円稼ぐ方法

さて、ここまでいろいろ書いていきましたが、実は誰でも2億円稼ぐ方法というのがあります。もちろん宝くじとかラスベガスでの大ギャンブルではなく正攻法です。

それは働くということです。

日本人の平均年収は400~500万円。これで40年間定年まで働けばトータル1.6億円~2億円となります。2億円というと途方も無い金額ですが、きちんと真面目に働けば平均的な日本人は40年という時間をかけて稼ぐことが可能な金額なのです。

また、ここまで資産運用の話をずっとしてきましたが、資産運用における収益はあくまでそれは副次的なものです。「株で大儲け!」みたいな話に惑わされず、きちんと日々働くことでも億単位の稼ぎを手にすることができます。そして、そもそも資産運用は余剰資金があって成立します。もし、資産運用に回す余剰資金が無い!ということであれば、まずはきちんと働くこと、そして無駄な出費を抑えること、という収支サイクルをきちんと回すことが何よりも大切でしょう。

最後に

個人の資産をどう運用していくかは、単に個人のお金の問題に限らず、それが回り回ってどういう世の中にしていくか、というところまで行き着きます。未だに日本人の金融資産においては、現預金比率が高く、貯蓄から投資に回らないということが長年の課題になっています。

そんな中での老後2000万円問題や、コロナショック後の世界的な株高などにより、資産運用への興味が高まっていることかと思います。昨今であれば、初学者向けに解説したユーチューブ動画なんかもあるでしょう。日本ではNISA、iDecoといった税優遇される制度も充実しています。また、各種企業においては、確定給付企業年金から確定拠出年金への切替も進んでおり、自分で資産形成をする必要もでてきています。

今後、日本人の金融資産での投資比率が高まることで、経済成長に好循環を促していくことを願っています。この記事が投資を始める一歩に少しでも貢献できたらと思います。

 

はじめにもどる

s-tkmt.hatenablog.com