一生旅行生活してえ

最近は主に資格取得関連のメモとか勉強法とかを整理

FP1級実技試験を終えての体験レポート~Part1~

FP1級実技試験を終えての感想や当日の面接官とのやり取りを記載します。なお、自分はPart2→Part1の順番でしたので、Part1は時系列的にはあとから受けた方になります。

なお、Part2については以下を参照してください。

s-tkmt.hatenablog.com

また、2022/02/06試験の内容で受験しております。これの設例についてはきんざいのHP等からご参照ください。

試験問題:2022年2月1級実技試験 | 一般社団法人 金融財政事情研究会

なお、以下の内容は記憶ベースで書いているため、必ずしも完全に再現できているものではありません。また、思い違いをして答えてたり、用語が曖昧な部分などもあるはずのため、必ずしも正解を答えているとは限りません。ご参考程度にとどめてください。

事前問題確認

Part2が無事終わり、次のPart1を迎えるまで正直放心状態でした。Part2の面接官が温和で、自分の手応えも悪くなかったので、このままPart1で圧迫面接だったとしてもなんとか乗り切れるんじゃないかという、慢心した気持ちも正直ありました。そのため、参考書なども読み返したりしましたが、もう今さらあれこれ覚えられないのでほぼ頭に入ってこず。

そうしてぼーっとしていると自分の番になり、名前を呼ばれ、座席を移動し、面接前の15分の設例確認が始まりました。

今回の設問は、顧客の課題点が本文中に明確に書かれている感じで、洗い出しはかなりやりやすかったです。不動産賃貸業の法人化、株式を法人所有した場合の税制メリット、不動産名義の扱い、住宅資金贈与の特例適用、名義預金の取り扱い、このあたりはそのまんま設例から抜き出せる感じで、あとはお決まりの小規模宅地等の特例、円満な相続(遺言書の活用)や生命保険利用有無など挙げておけばいいかなという感じでした。

1つ不安点は、株式を法人所有した場合の税制メリットです。過去問でもこの話は出てきたことがないはずで、今の自分の知識のおいてもこれに対するメリットが全く思い浮かびませんでした。ここはもう深く突っ込まれたら持ち帰り確認としようと腹をくくりました。

そして15分経過し、いざ面接開始です!

面接開始

自分「失礼します~」

 

面接官「よろしくお願いします。」

 

自分「(むむ、Part2に引き続き温和そうな面接官!こっちでも圧迫面接を回避か!?)」

 

※面接官は50代くらい?の男性でした。少なくとも圧迫感は覚えませんでした。

 

面接官「では、まず今回の顧客の課題点をできるだけ多く挙げてください。」

 

自分「はい、不動産賃貸業の法人化、株式を法人所有した場合の税制メリット、不動産名義の扱い、住宅資金贈与の特例適用、名義預金の取り扱い、小規模宅地等の特例、Aさんの円満な相続、生命保険利用有無です。」

(実際はこんなペラペラとは喋っておらず、時折言葉に詰まったりしています。以下同様。)

 

面接官「ではまず不動産賃貸業の法人化ですが、これによってどういったことができますか?」

 

自分「はい、まず今回不動産収入が2,000万円ほどということで、この程度の金額であれば一般的に法人の方が税金が有利になります。また、設例にも記載がありますが所得の分散が可能です。具体的には妻Bさんや長男Cさんを役員や従業員とすることでその人たちに給与を支払うことで贈与税が掛からずにお金を分散できます。また、相続の際にも株式を移転することで行えるため比較的手続きがスムーズに行える見込みです。」

 

面接官「わかりました。では、不動産賃貸業における法人化において、どういった形態がありますでしょうか?」

 

自分「えーっと…ですね…(これ不動産管理会社のなんとか方式みたいなやつか…。細かいところ忘れたなぁ…サブリース方式があるのは覚えているけど…)」

(※ここで目がうろつく&ちょっと動揺する。)

 

自分「まずはサブリース方式があります…。不動産はAさん所有のまま、法人化した会社に貸し付けます。Aさんはサブリースした法人から賃料を得ます。」

 

面接官「そうですね、貸し付けて、法人側で管理して、賃料を得ますね。」

 

自分「そして、法人は家賃収入が売上となり、差額分が利益となります。」

※Aさんへの支払いとの差額、というのが正しい言い方ですが、このときは動揺して端折って答えていました。面接官に助けられながら空気感で無理やり押し通した感じです。

 

面接官「はい、わかりました。他に不動産会社の方式はありますか?」

 

自分「えぇっと、法人に不動産を売却し、全て法人で不動産を所有した状態で管理を行う方法があります。」

 

面接官「そうですね。ちなみに今回の場合、土地と建物がありますが、それぞれAさんが所有したほうがいいですか?それとも法人の所有としたほうがいいですか?」

 

自分「ええーっと今回の場合は…(この観点は全くわからん…)」

 

(10秒くらい沈黙し、焦り始める)

 

自分「今回の場合は…土地も建物も法人所有として法人で一括管理したほうがいいと思います。(正直これに対する根拠なし…突っ込まれたらやばいなぁ。)」

 

面接官「わかりました。では次の質問です。」

 

自分「(これ以上は突っ込まれないか…時間いっぱいだったかな。とりあえず良かったー。)」

 

面接官「株式を法人に移転することで税制メリットがあるということですが、どういうメリットがありますか?」

 

自分「(やっぱ聞かれるよなぁー) ええっと…まず法人において株式による譲渡損益はPL上での特別損益に該当します。そのため、純利益に影響する項目になります。」

 

面接官「そうですね、では、それがどういうメリットになるでしょう?」

 

自分「ええっと…ちょっとそのところは持ち帰っての確認をいたします。」

 

面接官「(ちょっと残念そうな顔をして)では、個人の場合と法人の場合でなにか違いありますか?例えば個人で株式の売却において何か税制の優遇はありますか?」

 

自分「(ちょっとギブアップ早すぎたか?) 個人の場合ですと、売却損が出ても3年間は損益通算が可能です。」

 

面接官「損益通算というか、損失の繰越ですね。」

 

自分「そうでした。」

 

面接官「では損益通算において他の所得と株式の譲渡所得は行なえますか?」

 

自分「それは行なえません。譲渡所得は譲渡所得同士での損益通算となります。」

 

面接官「では、法人の場合はどうなりますか?」

 

自分「ええっと…法人の場合は…損益通算できない…(わかんねーー)」

 

面接官「できない?」

 

自分「ちょ、ちょっと、詳細については持ち帰っての確認とさせてください。(さすがにこれ以上は無理だな…)」

 

面接官「わかりました。では続いて、不動産名義をCさん名義にするにあたって何か気をつけることなどありますか?」

 

自分「はい、今回設問ではAさんが全額資金を出すつもりということが書かれています。この状態で一部をCさん名義としてしまうと、Cさんにはただで住宅の一部をもらったことになるのでその分の贈与税が発生します。」

 

面接官「では、そうならないようにするにはどうすればいいですか?」

 

自分「Cさんにもいくらか出資していただき、その出資比率に応じた持分とすることで贈与税は発生しなくなります。」

 

面接官「そうですね、ではCさんがもしお金がない場合はどうしますか?」

 

自分「ええっと…その場合はCさんが融資をひく必要があります…」

 

面接官「Aさんから何か援助することはできませんか?」

 

自分「えーっと、はい、Aさんから資金をCさんに援助することは可能です。しかし、その場合はそれはそれで贈与税が発生することになります。」

 

面接官「そうですね、ちなみに住宅資金贈与において何か特例とかありませんか?」

 

自分「(お、これは思惑通りのやつが来た!)はい、住宅資金贈与の特例があります。2021/12/31で一旦終了となりましたが、令和4年より新たに延長が予定されています。」

 

面接官「そうですね、新しい制度では具体的にどういう金額の違いがあったりしますか?」

 

自分「はい、省エネ住宅では1000万円、それ以外では500万円までが非課税の範囲となっております。(税制改正大綱を抑えておいてよかった~)」

 

面接官「わかりました。あとは、小規模宅地等の特例の話がありましたが、今回の二世帯住宅において、小規模宅地等の特例で気をつけることはありますか?」

 

自分「そうですね、二世帯住宅においても小規模宅地等の特例は適用可能ですが、それぞれを区分所有とした場合は適用ができません。」

 

面接官「そうですね。あとは、名義預金の取り扱いについてもお話がありましたが、もしこのままにしておくと、名義預金の何が問題になりますでしょうか?」

 

自分「はい、名義預金の状態でもしAさんがお亡くなりになると、その預金額は相続財産として課税対象となってしまいます。今回2000万円ほど残高があるのでそれが加算対象となってしまいます。」

 

面接官「そうですね、ではそれを回避するにはどうしますか?」

 

自分「生前贈与をする方法があります。例えば暦年贈与とか…」

 

面接官「暦年贈与だと20年かけて贈与しますかね?」

 

自分「ええっとそうですね。暦年贈与ですと20年かかってしまうのと、定期贈与とみなされて追徴課税が発生する可能性があります。そのため、2500万円以内なので相続時精算課税制度を用いたり、あとは民事信託の活用も考えられると思います。」

 

面接官「(ほう、民事信託か、という反応) わかりました。では最後にFPの職業倫理をお応えください。」

 

自分「はい、顧客利益の優先、守秘義務の遵守、コンプライアンスの徹底、顧客の説明義務、インフォームドコンセント、能力の啓発です。」

 

面接官「今回の事例でいちばん大事なのは何でしょうか?」

 

自分「インフォームドコンセントです。」

 

面接官「その理由は?」

 

自分「はい、今回のように様々な特例や制度にはそれぞれメリットデメリットがあると思います。これらを相談者様が理解し、納得した上で決断することが重要だと考えているからです。」

 

面接官「わかりました。以上です。」

 

自分「ありがとうございました。」

 

面接を終えて

Part2に引き続きPart1も温厚な感じで、無事(?)圧迫面接に遭わずに済みました。

前半の不動産賃貸業の法人化や法人が株式を持つことの税制的なメリットについてはうまく答えられませんでしたが、その後の贈与関連の話は特に詰まること無く、かつ今自分ができるだけの提案ができ、なんとか挽回できたんじゃないかなと思います。

※ちなみに株式の譲渡損失は、特別損失計上からの税引前利益に効いてくる部分なので、譲渡損失とか限らずに法人の場合ではトータルでの損益通算可能です。言われればそうだよねという感じですが、面接中に助け舟がありながらもこれが思い浮かばなかったのは自分の実力不足でしょう。

特に住宅資金贈与の特例については、法改正も見越して回答できたのは良かったと思います。実は模擬面接のときにも同じような感じで出されたのですが、まさかそれがドンピシャで本番も出てくるとは…!(そしてこれを模擬面接の面接官役で出してくれた某氏の鋭さもすごい!)

というわけで、今後、この時期に実技試験を受ける人は税制改正大綱をチェックしておくことをおすすめします。全部をまともに読むのは辛いと思うので、FP1級でよく出る税制・期限が切れそうな税制をピックアップして確認する程度で十分だと思います。

また、名義預金の問題点については秋山税理士事務所のチャンネルで得た知識をそのまんま喋った感じでした。具体的にはこれとか。

www.youtube.com

もちろん、参考書にも名義預金のことは書かれていたりはしますが、このようにして解説してくれるとかなり分かりやすいですよね。過去問では名義預金に関する問題はあまり出てこない認識ですが、秋山先生のチャンネルではもはや常連です。つまり実務としてはそれだけよくあると言うことなのだと思います。

その他の観点についても直接的であれ間接的であれ、このチャンネルで得た知識をベースとして理解、回答しております。それだけこのチャンネルはとても価値が高いものであると思います。FP1級実技受験者向けに自信を持って勧められるチャンネルです

あとは結果を待つのみです。自分の手応え的には悪くなかった印象ですが、いかんせん面接である以上、採点基準がわかりません。受かっていますように…。

2022/03/14:追記

無事合格しました!具体的にどういう勉強をしてきたか等の合格体験記は以下ご参照ください。

s-tkmt.hatenablog.com