一生旅行生活してえ

最近は主に資格取得関連のメモとか勉強法とかを整理

FP1級実技試験(面接)に合格しました ~対策や勉強法など~

FP1級実技試験(面接)を無事終えました。これで晴れてFP1級ゲットです!

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振り返り兼ねて、どういう勉強をしたか、どういう対策をしたかなどの合格体験記を書いていきます。

なお、学科試験の振り返りについては以下を参照してください。

s-tkmt.hatenablog.com

また、当日の面接官との具体的なやり取りについての体験レポートは以下を参照してください。FP1級実技試験を終えての体験レポート~Part2~ - 一生旅行生活してえ

FP1級実技試験を終えての体験レポート~Part1~ - 一生旅行生活してえ

はじめに

合格率10%そこそこの学科試験を無事通過し、その後にビジネス実務法務検定2級を受けて寄り道をしたあたりで、ちょうど面接に向けて勉強を開始する頃合いになりました。自分は2021年9月の学科試験に受かったので、二次試験である実技試験は2022年2月のタイミングでの受験となります。

ちなみに実技試験の合格率はおよそ85%ほど。この数字だけ見ると「なんだ楽勝じゃんw」と思ってしまいますが、これは6人に1人が落ちるということでもあります。そう考えると案外油断はできません。しかも、実技試験は受験料が25,000円と超高額!これは何が何でも落ちるわけにはいきません。

また、実技試験の面接で問われるのはほぼ相続や不動産に関する内容となります。つまりFP1級では、たかだか数万円~数十万円程度の家計の節約や節税テクニックなんて生ぬるいものではなく、5000万円の現預金と1億円分の自社株と2億円分の不動産があるような金持ちに対して、どうやって節税しつつ円滑に事業継承や相続を行えるか?ということが問われる観点となります。そのため、学科試験で必死になって暗記した年金関連の話などは基本的に出てきません

戦略

そもそもですが、あえて面接という筆記と異なる形式の試験を設けているのは、当然筆記と異なる観点を評価したいからです。つまり、筆記(学科)試験のときに問われた重箱の隅をつつく暗記や、ミスが命取りとなるような計算問題を、あえて面接で問うのは出題側の意図を汲み取ると意味がありません。では何を問いているかというと、FPとして、事例に沿って相談者の質問に対して的確な提案ができるか、だと思っています。もちろんその前提としての知識やある程度の暗記も大事ではあるのですが、きちんと受け答えでそれらを簡潔に答えられるか、が大事なのではないでしょうか。

そのため自分は面接試験に向けては、制度や法令については学科試験レベルの細かい暗記はほどほどにして、ポイントや概要を整理するにとどめ、あとはいかに実例(試験問題)に沿って引き出せるようにするか、を意識して勉強に取り掛かりました。

なお、私自身のプロフィールとしては、新卒からIT系の会社で金融系のシステムを担当しております。そのため、今までこのような不動産や相続のコンサルティング業務は携わったことはありません。

使用した参考書やサイト

参考書

本はこれ1冊です。いわゆる赤本です。参考書というか過去問集です。

これ以外に選択肢がないので仕方なく…というのが正直なところ。解説文に太字などポイントとなる箇所の強調などが少なくかなり読みづらいので、いきなりこれを真面目に読むのはかなり辛いです。

ちなみに、この赤本は2018年〜2020年分の収録となっており若干古いです。実は直近の過去問が収録されている緑本なるものが発売されていたのですが、それを知ったのは試験の1週間前…。今更高いお金出してもう1冊買うのも何なので、この赤本だけで臨むことにしました。

Webサイト

学科のときにもお世話になったのですが、以下のサイトに過去問の解説があります。

実技過去問解説 目次 1級FP過去問解説

実技についても解説があるという素晴らしいサイトです。

とくに面接という特性上、赤本に書かれている観点が必ずしもすべて正しいとは限らず、他の観点で見ておくポイントは無いか、こういう考えではダメか?という別の視点からの答えを示唆してくれるため、かなり有用でした。

また、自分は買っていないのですが、面接における試験官とのやりとり実録も販売しています。必要に応じて1~2回分買うのも良いと思います。

実技面接実録レポート 1級FP過去問解説

ただ、自分の場合は有志の方がブログで面接のやりとりを公開してくれていたりもするので、そっちの方を見ました。

なお、この手の面接官とのやりとりレポートを読む際には、事前に自分もその回の過去問を解き、事前に回答を整理した状態で読むことをおすすめします。こうすることで、レポートに載っている面接官とのやり取りを自分に置き換えて、「自分だったらこう答えるかなぁ」とか「面接官からこう突っ込まれたら自分だと答えられないなぁ…」というように、客観的に自分の実力を測ったり、面接のシミュレーションの精度を上げながら読むことができるようになります。逆にこうしないと、漫然と読んで「こんな雰囲気なんだ〜」という感想で終わってしまいます。(勉強し始めの時はそれでも良いと思いますが。)

※冒頭に記載した私の面接体験レポートについても、そのように活用していただくのが良いかと思います。

YouTube

学科試験のときはほんださんのチャンネルにお世話になったのですが、ご本人が実技試験として面接を受けていないため、面接関連の対策動画は別のチャンネルにお世話になりました。特にその中でも一番良かったのは以下です。

www.youtube.com

この動画は素晴らしいです。おじいちゃんが解説しているのでサムネを見たときは正直「大丈夫かなぁ・・・?」と思ったのですが、見てみるとそもそもの動画クオリティが高く、また、実際に今回の実技試験においても、この動画で培った知識をベースに回答することもできました。※詳細は個別の体験レポート参照。

特にこのチャンネルの素晴らしいところは、遺産分割はどういう考えで行うべきなのか、相続時にどういうことをするとまずいのか、そういったケーススタディに沿った形で理解を深めることができます。したがって、それまではなんとなく参考書や過去問の解説を読んで分かった気になっていたことについて、手触り感をもって理解に落とし込むことができました

直接的なFP1級の教材というわけではありませんが、実務性が問われる実技試験においてはかなり有用なコンテンツでした。また、この動画に出会ったのは面接対策がきっかけではありましたが、試験対策とは関係なく普通に面白くて見てもいました。FP受験者ではなくても、今後、来たるべきときに備えて見ておくべき動画だと思います。(冷静に考えて、相続専門というニッチな分野なのにチャンネル登録者数が8万人超えているというのはすごい…。)

 

あとはやはり(?)円満相続税理士法人のチャンネル。

www.youtube.com

こちらは事業承継税制や法定相続情報証明制度など、そういった制度をピンポイントで、解説してくれています。制度の細かい条件などを理解するのにとても助けられました。

その他有用だった勉強方法

不動産投資

Part2の設例を見ていくうちに不動産投資に興味が湧いたため、それに関する本を20冊くらい読みまくっていたところ、これによりそのままPart2に関する知識が身につきました。これについては特にどの本が良かったというより、1から不動産投資をきちんと学び、物件を調べ、利回り計算して、登記簿を読み、不動産会社に行き…そういった実践活動がPart2に活きてきました。

Part2でお馴染みの、登記簿の確認、公図の確認、不動産価格の妥当性確認等々…は当初「まぁそりゃそういう確認したほうがいいんじゃねーの」くらいに思っていましたが、いざ自分が不動産投資をする立場になると、「不動産を扱う上でこれらの確認しないのはあり得ない」という感覚になりました。例えば接道がきちんとされているか?既存不適格建築物ではないか?不動産会社はボッタクっていないか?不動産投資の世界に足を踏み入れると、こう言ったことで投資収益に大きな差が出てくる事例が山程でてきます。

おそらく、不動産関係の業務をされている方はこういうのを実務でやられているので手触り感があると思うのですが、自分のように不動産業界と無縁だった人は、Part2の回答が何となく分かるんだけどピンと来ない、という感覚なのではないかと思います。そういった方には不動産投資を実際に始めるつもりで勉強してみることをおすすめします。自分は元々試験対策のつもりで勉強したわけではないですが、"実技"の名の通り、実践的な経験が試験にも効いてくることを実感しました。

模擬面接

そして、なんといっても一番良かった勉強法は、有志の方に模擬面接をお付き合い頂けたことです。やはり自分の頭の中でわかっているつもりでも、面接という形式でふと聞かれると思いの外答えられなかったり、理解があまいことに気付かされます。なんなら模擬面接でやったことが本番にそのまま出たりもしました。合計4名の方と実施したのですが、その中の1名とはなんと当日に試験会場(のトイレ)でお会いすることができました!

ちなみに模擬面接のお相手はLINEのオープンチャットやTwitterハッシュタグで募集しWeb会議で実施しました。完全に赤の他人となるわけですが、合格者の方、同じ志をもつ方にご賛同頂け、貴重なお時間を頂戴いたしました。(ご協力頂いた方々にこの場を借りて感謝申し上げます。)

ざっくりスケジュール

11月~勉強始め~

この時期にやったことは参考書(過去問)をざっくり読んで傾向などを理解しつつ、不明な用語や特例などをブログにて整理しました。また、暇なときに動画を見てインプットしました。

最初は参考書(赤本)を読んでも全然意味不明すぎたので、とりあえずざーっとめくって過去問で頻出の用語や法令をピックアップしてブログにまとめました。特にPart1については事業承継税制や円満な遺産分割などよく問われる概念がまとまっていたので、まずはこれを中心に整理していきました。ただ、暗記目的ではないので、自分の言葉でまとめるところまで意識しておらず、他サイトの良さげなまとめをコピペしたり、もともと学科試験用に整理した記事からも適度にコピペして1コンテンツ内で集約したため、分量の割には整理には大して時間はかけていません。ただ、まとめるにあたって、各事項についてメリットとデメリットそれぞれの観点がどうなのか?というところは意識するようにしました。以下、用語を整理した記事です。

FP1級実技試験対策整理

問題はPart2で、Part1ほど決まった特例などが無く、自由度が高い設問が多いため若干苦労しましたが、これについてもとりあえず等価交換方式などの頻出項目はブログで整理しておきました。

そして11月下旬頃、一通り知識をインプットした上で過去問を何問かやってみたところ、こういうことを答えればいいな、こういう観点に気をつけると良いな、というポイントが見えてきました。正直この段階でこれは受かりそうだなぁという感覚になりました。補足すると、もちろんこの時点で実力は足りていないのですが、残り2ヶ月あれば勉強期間としては十分当日に間に合う道筋が見えたので、これは受かりそうだなという自信に繋がった次第です。

また、他の合格者の方のブログなんかで見かけた「1ヶ月の勉強で受かりました!」みたいな合格体験記もあながち嘘じゃないんだろうなという感触も覚えました。暗記する量は学科に比べて少なく、あとは面接でどう言えるかというところなので、受かる人は1ヶ月の勉強でも受かると思います。

12月~過去問演習~

先述の通り11月の時点で大丈夫そうかなーという感覚だったため、12月は忘れない程度に細く勉強を続けてました。具体的にやることとしては引き続き過去問演習で、1回1回実際の本番のつもりで、各設問に対する回答を紙に書き出す形で進めていきました。

12月上旬の時点でPart1はもう回答パターンや抑えるべきポイントなどはクリアしている実感でした。あとは細かいところを抑えて面接でうまく言えるかどうかという感触です。Part2についてはPart1に比べて掴みどころは無いのですが、赤本を1週したあたりからこちらも感触を掴み始めました。少なくとも2月に向けてという意味では、時間は十分足りる見込みでした。

1月~仕上げ~

さて、このあたりで不動産投資(不動産賃貸業)に興味が湧き、それ関係の本を読みまくったり、楽待のユーチューブチャンネルを見たり、実際に物件を調べたりといった活動をしていました。それがそのまんまPart2に活きてきました。具体的にはPart2でお決まりの、登記簿による権利確認、公図による位置確認、現場での物理的な状況の確認、不動産会社の提示する価格の妥当性確認、といったやつを実際にやった感じです。

また、模擬面接をこのあたりから入れました。具体的には1月中旬に1回、1月下旬に2回、そして試験日の前日に1回の合計4回です。

そして最終的な勉強量ですが、赤本自体は1.5週くらいで、そこまでガッツリ回してはいません。暗記目的ではないことや面接試験という特性上、無理に過去問を何度も周回しなくてもいいかなぁと感じたためです。加えて、赤本の内容がすでに古く、問題の傾向が最新のものとは違っていたり、法改正のアップデートが追いついてなかったりしていたので、あえてこれを何度もやる必要が無いなと思ったためです。

試験日本番

試験日は2022年2月6日でした。東京の八重洲が会場でした。午後13時集合だったため、午前中に髪を切り、その足で東京へ向かいました。

試験についてはPart2→Part1の順番となりました。しかも自分はトップバッターでのスタートでした。

その他、詳細な面接官とのやり取りについては、冒頭にも記載しましたが、以下の体験レポートをご参照ください。

FP1級実技試験を終えての体験レポート~Part2~ - 一生旅行生活してえ

FP1級実技試験を終えての体験レポート~Part1~ - 一生旅行生活してえ

試験が終わった後の数日間は、なんだかぽわぽわした気分になっていました。Twitterを見てみると、私以外にも何人も同じような感覚になっていたようです。おそらくこの感覚は実技試験を受けた人にしか分からないでしょう…。

結果

以下の通り、無事合格となりました!

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採点の基準はまったくもって不明ですが、躓いて答えられなかった部分もあるので、そういった意味では妥当な点数でしょうか?まぁ受かればOKです!

なお、実技試験の内容が年々難しくなっていると言われたりもしていますが、今回も相変わらず合格率は85%ほどでした。また、難しいと言われる部分はあくまで設例の全体の中の一部にすぎません。その難しい観点は他の受検者もできていないでしょうから、狼狽えず、適度に面接官に誘導されつつ、その他のきっちり抑えるべきところを抑えれば、十分合格は可能な試験ではないかと思います。(逆に言えば、抑えるべきところをきっちり抑えられないと難しいものがあるでしょう。)

また、FP1級実技試験は勉強していてとても楽しかったです。学科のときは膨大な試験範囲、そしてそれに求められる暗記量がかなりきつかったですが、実技は暗記よりも実践としてどうしていくかを重んじるため、先述の秋山税理士事務所のチャンネルを見たり、不動産投資の本を読んだり、といった直接的な試験勉強ではない知識吸収が結果的に試験にも役立つという状態でした。そのため、勉強が全然苦ではありませんでした。

そしてなんといっても模擬面接はとても有用でした。もし、今後面接での実技試験を受ける方がいたら必ず複数回はやったほうが良いです。FP1級の実技試験を受けるという人はなかなか周りにはいないかもしれません。しかし、模擬面接をしたいんだけど相手がいない…という人は全国を探せばたくさんいます。今はそういった人をネットで気軽に探せるとても素晴らしい時代です。面接という特性を鑑みれば、下手な知り合いより赤の他人とやったほうがリアリティが増します。その上今やコロナのおかげで(?)Web会議が当たり前、物理的にそう会えないであろう遠方の人とも気軽にできるのは本当に素晴らしいです。

確かにネット上の見ず知らずの人を誘うのはなかなか勇気がいることかもしれませんが、一回やってみると「なんだこんなものか」という感覚になると思います。まずはその一歩を踏み出すことが大事だと思います!

※ちなみに私はこのためにTwitterアカウントを1から作りました。当時のフォロー・フォロワー数は確か20人程度だったと思いますが、2~3人の模擬面接仲間を探すには全く問題ありませんでした。 

最後に

これにて晴れて1級ファイナンシャル・プランニング技能士を名乗る資格を得ましたが、まぁ名刺にでも載せておこうかなというくらいで、特にこれを用いて仕事に活かすとかは考えていません。最初の方に述べたとおり、本職はIT屋なので直接これを活かせる仕事かというとそうではありません。また、これを取ったから会社から報奨金がもらえるとかも無いです。自分がしたい勉強をした結果にすぎません。

次は中小企業診断士の合格を目指していきたいと思います。ただ、これについても"中小企業診断士"という仕事をしたいというわけではなく、単に自分がしたい勉強の延長にあるので受けるという感じです。そのため、取らぬ狸の皮算用ですが、仮に受かったとしても中小企業診断士登録はしないつもりです。(本音を言うと登録したくない一番の理由はお金がかかるから…。)