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中小企業基本法について

中小企業診断士の中小企業政策について整理する。

自分の勉強用にまとめたものに過ぎず、正確性や網羅性を担保したものではない。

中小企業基本法の概要

中小企業の定義
業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

中小企業庁:「中小企業・小規模企業者の定義」

なお、小規模企業の定義は、常時使用する従業員が20人以下(小売業、卸売業、飲食店、サービス業は5人以下)の事業者となる。

法の目的

中小企業政策について基本理念・基本方針などを定めるとともに、国及び地方公共団体の責務などを規定することにより、中小企業に関する施策を総合的に推進し、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上を図ること。

基本理念(中小企業基本法第3条1項)

第3条1項に詳細がある。同法において中小企業は「多様な事業の分野において特色ある事業活動を行い、多様な就業の機会を提供し、個人がその能力を発揮しつつ事業を行う機会を提供することにより我が国の経済の基盤を形成しているもの」と位置づけている。

多様で活力ある中小企業の成長発展を実現するために、以下の役割について中小企業に期待がされている。

  1. 新たな産業の創出
  2. 就業機会の増大
  3. 市場における競争の促進
  4. 地域における経済の活性化

新たに産業を創出することで就業機会が増加し、その結果競争が促進され地域経済が活性化するということである。

基本理念(中小企業基本法第3条2項)

2項において小規模企業について以下の通り位置づけている。

地域の特色を生かした事業活動を行い、就業の機会を提供するなどして地域における経済の安定並びに地域住民の生活の向上及び交流の促進に寄与するとともに、創造的な事業活動を行い、新たな産業を創出するなどして将来における我が国の経済及び社会の発展に寄与する。

ポイントは地域の特色を活かし、地域の経済を安定させ、地域住民の生活を向上するという地域性と、創造的な事業活動を行うという新規性であろう。

基本方針

基本理念をベースにして、中小企業施策において特に重点的に支援をしていく施策対象および事業活動の支援を以下の通り規定している。

  1. 経営の革新および創業の促進:経営の革新や創業の促進は中小企業の行う事業活動の中でも特に新たな価値を生み出す可能性が高い一方で、リスクも高いため積極的に支援することとしている。
  2. 中小企業の経営基盤強化:中小企業は経営資源が乏しい上に経営資源を確保する際にも困難が伴うため、経営資源の保管を図るための施策や、市場で不当に不利な扱いを受けないよう市場を公正化していくことで、中小企業の経営基盤の強化を支援する。
  3. 経済的社会的環境の変化への適応の円滑化:貿易構造の変化、大規模な天災等の中小企業の責に帰すことのできない不測の事態などの経済的社会的環境の変化によって、多くの中小企業が倒産する等の事態が発生しないよう措置を講ずる。
  4. 資金供給の円滑化および自己資本の充実:上記3つの基本方針の土台として規定されている。

 

小規模基本法(小規模企業振興基本法)の概要

小規模企業を活性化していくことを基本原則として、少企業者(概ね従業員5人以下)を含む小規模企業について、中小企業基本法の基本的理念である「成長発展」のみならず、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持などを含む「事業の持続的発展」を位置づけている。

また、小規模企業施策について5年間の基本方針を内閣が定め、政策の継続性・一貫性を担保する仕組みを作っている。

基本方針

以下の4つとなる。

  1. 国内外の対応な需要に応じた商品の販売または役務の提供および新たな事業の展開の促進
  2. 小規模企業の経営資源の有効活用ならびに小規模企業に必要な人材の育成をおよび確保
  3. 地域経済の活性化ならびに地域住民の生活の向上および交流の促進に資する小規模企業の事業活動の促進
  4. 小規模企業への適切な支援を実施するための支援体制の整備等

資金供給の円滑化および自己資本の充実

中小企業に対する金融対策に付いて記載する。

公的機関として融資をするのが日本政策金融公庫、保証するのが信用保証協会、出資するのが中小企業投資育成株式会社などがある。

政府系中小企業金融機関による融資
  • 日本政策金融公庫:全額政府出資の金融機関。小規模企業や創造企業等への事業資金の融資を行う「国民生活事業」と、中小企業を対象に長期固定金利の事業資金を安定的に供給する「中小企業事業等」をおこなっている。
  • 商工組合中央金庫:主として中小規模の事業者を構成員とする団体に対する金融の円滑化を図るための金融機関。
信用補完制度

担保力や信用力が不足する中小企業者への事業資金の融通を円滑化することを目的に、中小企業の信用力を補完する制度であり、信用保証制度と信用保険の2つからなっている。

  • 信用保証制度:民間金融機関からの借り入れが困難な中小企業者に対して、信用保証協会が保証料を徴収して債務保証を行い、金融機関が融資をする。要は中小企業に対して連帯保証人となってくれる。そのため、債務返済が困難になった場合には、中小企業に代わって信用保証協会が代位弁済を行う。なお、代位弁済を行った後は信用保証協会に求償権が発生し、信用保証協会が中小企業者から債権回収を行う。
  • 信用保険:中小企業信用法に基づき、信用保証協会が日本政策金融公庫との間で、保証債務についての保険契約を締結し、保険事故発生の場合は日本政策金融公庫から保険金が支払われる。原則として代位弁済額の70~80%となる。
主な融資制度

セーフティネット貸付制度:一時的に資金繰りに支障をきたしているが、中長期的には回復が見込まれる中小企業・小規模事業者に対する融資制度。日本政策金融公庫が行う。社会的・経済的環境変化による影響や、金融機関との取引状況の変化、関連企業の倒産などによる資金繰り悪化を支援する。

新創業融資制度:これから創業する者や税務申告を2期終えてないものに対して、事業計画等の審査を通じ、無担保・無保証人で融資する制度。創業時において総合資金の10分の1以上の自己資金要件が必要となる。貸付限度額は3,000万円(そのうち運転資金は1,500万円)となる。

女性、若者・シニア起業家支援資金:女性(年齢制限なし)、若者(35歳未満)、高齢者(55歳以上)の者であって、新規開業して概ね7年以内のものを優遇金利で支援する制度。日本政策金融公庫で行う。貸付限度額は7億2千万円(運転資金は2億5千万円)。

小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資):小規模事業者を対象に日本政策金融公庫が行う、無担保・無保証人・低金利の融資制度。貸付限度額は2,000万円。常時使用する従業員が20人以下の法人・個人事業主が対象。商工会・商工会議所の経営指導を6ヶ月受けていること、同一地区内で1年以上事業をこなっていることなどが条件となる。

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中小企業関連税制

青色申告制度

会計取引を正規の簿記の原則(複式簿記)に従い会計帳簿に記入し、その帳簿に基づき税務申告をするものに対して、税法上の得点を与える制度。個人事業者では青色申告特別控除や青色事業専従者給与控除といった特典がある。

税制における中小企業の範囲

法人税法での中小企業の定義は、業種や従業員数に関わらず、資本金が1億円以下の企業となる。(※中小企業基本法の定義とは異なる。) ただし、資本金等が5億円以上の大法人の100%子会社などは対象外となる。

優遇措置としては以下の通り。

  • 支出した交際費等の年800万円までの金額・支出した接待飲食費の50%(上限なし)のどちらかを選択して損金算入が可能
  • 年所得800万円以下の部分については法人税の軽減税率が適用される。
エンジェル税制

ベンチャー企業への投資を促進するため、ベンチャー企業への投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度。投資額の一部もしくは全額分の所得税軽減が受けられる。また、対象となるベンチャー企業株式を譲渡したときに受けることができる所得税減税として、未上場ベンチャー企業株式の売却により生じた損失をその年の株式譲渡益と相殺ができ、翌年以降3年にわたって損失の繰越ができる。

経営継承円滑化法
事業承継円滑化のための税制措置の概要

相続において非上場株式にかかる課税が、相続税は80%贈与税は100%の納税猶予が認められる制度。ただし、発行済株式総数の3分の2に達するまでの部分となる。

これに加えて平成30年度の税制改正において10年間限定の特例措置が講じられている。

要件:

  • 2023/3/31までに都道府県知事に特例承継計画を提出
  • 2027/12/31までに贈与・相続により自社の株式を取得すること

主な特例措置内容:

  • 発行済株式総数の全株式が納税猶予措置の対象となる
  • 相続税についても納税猶予割合が100%になる
  • 雇用要件を満たさなかった場合でも、納税猶予が継続可能となる。
個人版事業承継税制

事業用資産を相続または贈与により取得した際に課される相続税贈与税が猶予・免除される特例措置。対象となる事業用資産にかかる贈与税相続税が100%猶予される。事業用宅地は400平米、建物は800平米まで、機械・器具備品など幅広い事業用資産が対象となる。

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中小企業経営強化法

以下を支援するための法

  • 創業の支援
  • 経営革新の支援
  • 経営力向上の支援
  • 事業継続力強化の支援

創業支援

これから事業を開始しようとする個人や創業して5年未満の事業者に対して支援する特例を講じる。

経営革新支援

中小企業等が国が定めた基本方針に基づき経営改革計画を作成し、都道府県知事等が承認することで、各種支援を受けることができる。なお、経営革新とは、事業者が新事業活動を行うことにより、経営を向上させることである。

経営革新計画には、経営向上を示す経営目標を盛り込む必要がある。指標は「付加価値額または従業員一人あたりの付加価値額」および「給与支給総額」(※かつては経常利益)の伸び率となる。経営革新計画は、経営期間と事業期間があり、経営計画は3~8年、事業期間(計画期間のうち、研究開発を除く事業活動を実施する期間)は3~5年となる。

※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却

具体的な支援措置としては、日本政策金融公庫による低利融資や、信用保証協会における保証限度額の別枠化、資本金3億円超の企業においても中小企業投資育成株式会社の株式引受が可能となる等

経営力向上支援

事業活動に有利な知識または技能を有する人材の育成、財務内容の分析の結果の活用、情報システムの構築、経営資源を高度に利用する方法の導入等により事業活動を行うことで、経営力を強化していくこと。

中小企業者・小規模事業者にくわえて、中堅企業(資本金10億円以下または従業員数2,000人以下の会社)も対象となる。

国が定めた基本方針に基づき経営力向上計画を作成し、国(主務大臣)が承認することで、各種支援を受けることができる。

主な支援措置としては、日本政策金融公庫による融資、信用保証協会における保証限度額の別枠化、直接金融に関する特例とうとうが受けられる。

事業継続力強化支援

防災・減災に取り組む中小企業を支援するための「事業継続力強化計画」制度となる。

国が定めた基本方針に基づき事業継続力強化計画を作成し、国(経済産業大臣)が承認することで、各種支援を受けることができる。

事業継続力強化計画には当然のことながら、防災・減災に必要な取り込みを盛り込む必要がある。具体的には自然災害が事業に与える被害想定や初動対応、事前対策の内容、事前対策の実効性確保に向けた取り組み等。

主な支援措置としては他と同様、低利融資や信用の別枠化に加え、補助金の加点等がある。

下請代金支払遅延等防止法(下請法)

下請代金の支払い遅延などの防止のために、不公平な取引の規制と下請事業者の利益保護を目的とした法律。公正取引委員会および中小企業庁が下請取引適正化のために、親事業者の義務および禁止行為を規定する。

適用範囲

以下の関係のときに成立する。

  • 資本金3億円超の親事業者→資本金3億円以下の下請け業者
  • 資本金1000万円超3億円以下の親事業者→資本金1000万円以下の下請け業者
親事業者の義務

以下の4つの義務が課せられる。

  • 注文時には取引条件などを書いた書面を出すこと
  • 注文した内容について記載した書類を作成し、2年間保存すること
  • 注文品などを受け取った日から60日以内でかつできる限り短い期間内に代金の支払期日を定めること
  • 注文品などを受け取った日から60日を過ぎても代金を支払わなかった場合は、受け取った日の60日後から支払いを行った日までの日数に遅延利息を加算して支払うこと
親事業者の禁止行為

以下のような行為を禁止している

受領拒否(第1項第1号) 注文した物品等の受領を拒むこと。
下請代金の支払遅延(第1項第2号) 下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと。
下請代金の減額(第1項第3号) あらかじめ定めた下請代金を減額すること。
返品(第1項第4号) 受け取った物を返品すること。
買いたたき(第1項第5号) 類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること。
購入・利用強制(第1項第6号) 親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること。
報復措置(第1項第7号) 下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して,取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをすること。
有償支給原材料等の対価の早期決済(第2項第1号) 有償で支給した原材料等の対価を,当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること。
割引困難な手形の交付(第2項第2号) 一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。
不当な経済上の利益の提供要請(第2項第3号) 下請事業者から金銭,労務の提供等をさせること。
不当な給付内容の変更及び不当なやり直し(第2項第4号) 費用を負担せずに注文内容を変更し,又は受領後にやり直しをさせること。

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中小企業共済制度

中小企業倒産防止共済制度

中小企業の倒産防止と経営安定化を目的として、中小企業基盤整備機構が運営する共済制度。1年以上継続して事業を行っている中小企業者で、掛け金の納付月数が6ヶ月以上ある加入者が対象となる。

取引先企業が倒産した場合、売掛金受取手形などの回収が困難になった額と、積み立てた掛け金総額の10倍に相当する額のうち、いずれか少ない方の貸付が無担保・無保証・無利子で受けられる。

小規模共済救済制度

経営者の退職金共済制度のこと。中小企業基盤整備機構が運営し、小規模企業者が掛け金を積み立てて、廃業や役員の退職などの給付事由が発生した場合に、共済金を一括もしくは分割で支払う。掛け金は全額所得控除となる。

常時使用する従業員が20人以下の個人事業主や共同経営者、企業組合等の役員が対象となる。

中小企業退職金共済共済制度

単独では退職金制度を設けることが困難な中小企業者に対して、事業主の相互共済の仕組みと国の助成によって運営される従業員のための対象金制度。勤労者退職金共済機構が運営をしている。

中小企業基本法に基づく中小企業者対象となり、掛け金は全額損金または必要経費として扱われる。従業員の退職の際には同機構からの所定の退職金が直接従業員に支払われる。

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