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建ぺい率と容積率の計算をわかりやすく整理してみた

FP1級の応用問題のために整理してみる。

建ぺい率・容積率計算自体はそこまで難しいものではないと思うが、不動産分野はそもそもあまり得意ではないので、ここで一度整理してみたい。

一般社団法人金融財政事情研究会ファイナンシャルプランニング過去問題利用許諾済
2021月7月29日許諾番号2107K000003号

以後、例題は以下の土地で計算する。FP1級2018年1月応用試験をもとに改変。

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・第一種住宅地域 

指定建ぺい率:60%
指定容積率:300%
全面道路の幅員による容積率制限:4/10
防火規制:防火地域

・第二種中高層住居専用地域

指定建ぺい率:50%
指定容積率:200%
全面道路の幅員による容積率制限:4/10
防火規制:準防火地域

・甲土地は建ぺい率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。 

建ぺい率の算出

建ぺい率の定義

土地の上に建物を建てるときには、その土地をフルで使うことはできず、 防火の観点より一定の余白を空ける必要がある。その土地と建てられる建物面積の割合を建ぺい率という。数式で言うと以下の通り。

建ぺい率=建築面積÷敷地面積

建ぺい率撤廃条件・緩和条件

都市計画で建ぺい率80%としている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物の場合は建蔽率は適用されない、つまり建ぺい率が100%となる。駅前のビルなどが該当。

また、建蔽率が80%とされている地域外かつ防火地域内および準防火地域にある耐火建築物および準耐火建築物や、街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物は建ぺい率が緩和され、+10%の緩和がされる。(両方満たす場合は+20%)

※かつては防火地域にある耐火建築物のみが緩和対象であったが、2019年より準防火地域にある耐火建築物および準耐火建築物も対象となった。

複数の異なる地域にまたがるとき

複数の地域にまたがる場合、建ぺい率はその地域の面積に基づいた加重平均にて算出を行う。また、防火地域とそれ以外の地域にまたがるときは、敷地全体を防火地域として建ぺい率の計算を行う。 

例題

以上を踏まえて、上記図の甲土地に耐火建築物を建てる前提で、建ぺい率の計算を行う。

まず、防火地域・準防火地域にまたがっているので、甲土地は防火地域の扱いとなる。そして、建ぺい率の緩和条件より、甲土地は特定行政庁が指定する角地かつ、防火地域内の耐火建築物となるので、それぞれ合わせて20%の建ぺい率の緩和条件が適用される。

また、第一種住宅地域が200㎡、第二種中高層住居専用地域が100㎡となるので、これをもとに加重平均をすると、建ぺい率は(60%+20%)*200㎡/300㎡ + (50%+20%)*100㎡/300㎡ =53% + 23% (※それぞれ小数点以下四捨五入) =76% となる。

なお、建ぺい率の定義式から逆算して、建築可能な面積を求めると、300㎡*76%=228㎡となる。

容積率の算出

容積率の定義

「敷地面積に対する建物の延べ面積(延床面積)の割合」をいう。延べ面積は建物の各階の床面積の合計となる。計算式は以下の通り。

容積率=延床面積÷敷地面積

建築物の規模と、その地域の道路などの公共施設のバランスを確保し、市街地の環境を維持することを目的としている。要は低層住居専用地域に高層ビルなどを立ててしまわないよう、制御をしている。

複数地域にまたがるとき

複数の地域にまたがっているときは、建ぺい率同様に加重平均で容積率を算出する。

容積率の制限

容積率は、基本的には用途地域ごとに規定された制限が適用されるが、その土地が面する前面道路の幅が狭い場合は、容積率がさらに制限を受ける。

前面道路の幅員が12m以上の場合は、そのまま用途地域容積率を用いる。

前面道路の幅員が12m未満の場合は、用途地域容積率か、道路の幅に4/10または6/10(一般的に居住系の地域は4/10、それ以外が6/10となる。) を掛けた数値のうち、低いほうが容積率となる。

なお、2つ以上の道路に接している場合には、最も広い道路幅員で計算する。

容積率の緩和

幅員15m以上の道路(特定道路)から分岐した道路に接する一定範囲内の土地については、容積率を緩和する特例がある。前面道路の幅員が6m以上12m未満で、特定道路までの距離が70m以内の土地については、その距離に応じて容積率を加算ができる。具体的には以下のうち、小さい方の容積率を採用する。

1:都市計画で定めた容積率

2:(道路の幅員+(12m-前面道路の幅員)*(70m-Lm)/70m )*法定乗数

L:特定道路までの距離

 2の式が煩雑だが、容積率の制限に記載したように前面道路の幅員が12m未満であれば、「道路の幅員*法定乗数」であった。これをもとに緩和条件として、特定道路までの延長距離に応じて定まる数値を加算する。Lmの部分を見れば分かる通り、特定道路までの距離が離れるほどこの値は小さくなる(容積率が小さくなる)。

この特例があることで、広幅道路に面している建物の容積率は上限まで許容される一方で、その隣にある建物からは急に容積率が低くなってしまうという事態を防いでいる。

例題1

4mと6mの市道に接しているが、前面道路は幅の広い方を選んで良いので、前面道路は6mで扱える。これをもとにした容積率を計算すると以下の通り。

まず、前面道路の幅員が12m未満なので、

青色部分:6*4/10=240% < 300% → ゆえに青色部分の容積率は240%
黄色部分:6*4/10=240% > 200% → ゆえに黄色部分の容積率は200%

複数の地域にまたがっているときは加重平均をするので、

240%*200㎡/300㎡+200%*100㎡/300㎡=227% (小数点以下四捨五入)

例題2

もともとの例は第一種住宅地域と第二種中高層住居専用地域にまたがっているが、一旦これをすべて第一種住宅地域だとして、容積率の緩和の特例を条件にした計算を行う。

特定道路(県道)が18mであり、そこまでの距離が56mなので、今回はその条件を満たす。これをもとに計算をすると、

(6m+(12m-6m)*(70m-56m)/70m )*4/10=(6m+1.2m)*4/10=288%<300%

ゆえに、すべて第一種住宅地域として、容積率の緩和の特例を受けた場合は、容積率は288%となる。(例題1の240%より緩和されていることが確認できる。)

なお、複数の地域にまたがっているときに容積率の緩和の特例が受けられるかどうかは不明。(調べた限りは出てこない。)

 

補足:セットバック

そもそも道路というのは、幅が4m以上あるものという定義である。これは防災上の観点で、消防車などが入ることを想定して、最低でも確保すべき道幅と定められている。しかし、昔からある道など整備されていない地域は4m未満の道路も存在してしまうため、4mに満たない道路については土地部分も侵食して4mの幅を確保する。このようにして、道路幅を拡張するために後退して使われた土地をセットバックといい、これに則って土地の確保・建物の建造が必要となる。

セットバックは事実上道路の一部の扱いとなるため、建ぺい率・容積率の算出にあたっては、セットバック部分を除外した面積で計算を行う必要がある。今回の例では4m以上の道路幅が確保されているされているため、セットバックに対する考慮は不要である。