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【事例IV】会社合併・のれんについて分かりやすく整理

会社合併について整理する。直接事例IVに関係ない部分もあるだろうが、今一度考え方などを整理する。

会社合併の概要

ある会社が既存の会社を合併し、一体化することでより高い収益を目指していくことがある。この際、単に何でもかんでも合併すれば良いというわけではなく、既存事業とのシナジー効果を狙って、足し算的な成長ではなく掛け算的な成長を目指していく。そのような会社合併においては、吸収する側を合併会社、吸収される側を被合併会社という。

合併会社は非合併会社の株式を買収することで合併を成立させる。つまり、株式は会社の所有権となるため、これを買い占めることがすなわちその会社を所有すること=吸収合併ということになる。ここにおいては被合併会社における資産や現金などは(基本的には)関係ない。つまり、非合併会社が100億円分の現金や不動産等を抱えていたとしても、株式価値が1億円分しかなければ、この1億円分の株式を買い占めれば吸収合併完了である。では、なぜこんなことが起きるかと言うとそれは負債の存在である。つまり、100億円分の資産があっても、99億円分負債を抱えていれば純資産は1億円で、この1億円が会社価値ということになるのである。仮に100億円でこの会社を買っても99億円分の負債返済が必要なので、わざわざ100億円出さなくても良いのである。

また、一言に合併といっても、事業譲渡だとか会社分割だとか株式交換だとか、細かいことをいえば色々なものがあるが、ここではそこまでは踏み入らずに、基本的になパターンで整理していく。

のれん

例として、被合併会社の資産が20億、負債が14億という会社があったとする。これであれば純資産は6億となるので、会社価値は単純に考えればそのまま6億円となるが、現実はそう単純な値付けにはならない。というのも6億円というのはあくまでBS上の簿価ベースでの評価であり、株式の値は常に変動するためである。株式の時価総額に対する純資産の割合をPBRというが、一般的にPBRは1を超える、つまり純資産額より株式の時価総額ほうが上回ることが多く、それはつまりその会社が今後成長していくことを見込んで、純資産額以上の価値があると考えられていることが株価に反映されている、ということに繋がっていく。そのため、買収をしてくにあたっては基本的に時価ベースで評価をしていくことになる。(パーチェス法

また、基本的に会社を買収する場合は、あえて株式を割高な価格で購入することになる。というのも、買収する側はその会社に一定の魅力を感じており、買収・吸収合併することでシナジー効果を発揮しより高い収益を生み出せると見込んでいることから、通常価格よりも高い価格を出してでも欲しいとなるはずだからである。

加えて、資産というのはあくまで財務諸表上に現れるものしか集計ができていない。企業の強みや魅力というのは財務諸表だけで表されるものではなく、例えば優秀な人材が多いとか、同業他社には無い特殊な技術や特許を有するとか、昔から有名でブランド力が高い、といった要素を含めて企業の価値と言えるであろう。そして、買収というのはそういった数字には現れない魅力も含めて評価していくことになり、結果、BS上の純資産額よりも高い金額を払って合併していくのである。そしてその高く払った金額と、資産との差をのれんという。

さて、合併にあたって、A社が合併会社、B社を被合併会社とする。B社は時価ベースで資産20億円、負債14億円を抱えており、A社はこの会社の株式を10億円で買うとする。この時そのまま現金でB社に対して10億円を渡すわけではない。そもそもB社の持ち主はB社ではなくあくまでB社の株主である。そのため、B社の株主に対して10億円を渡すこととなり、この時渡す現金を合併交付金という。しかし、10億円なんていう多額な現金を払うのはキツイため、A社株式を交付するというのが一般的となる。なので、合併にあたり、10億円分の株式を新たに発行しこれを対価としてB社株主に渡すこととなる。

以上の話を踏まえると以下のような仕訳となる。

1.まずB社の資産と負債を時価で受け入れる。

資産20億円|負債14億円

2.これを新株発行によって受け入れた(買った)ということなので、純資産(資本金)を増加する。

資産20億円|負債14億円
     |資本金10億円

3.差額をのれんとして計上する。

資産20億円|負債14億円
のれん4億円|資本金10億円

のれんの償却

のれんというは勘定科目としては無形固定資産となる。吸収合併等においてその会社の財務諸表には現れない付加価値分がのれんとして計上しているということになるわけである。ただし、のれんをずっとそのままにはできず、20年以内で償却していく必要がある。これは単純に定額法で残存価格0で償却すれば問題ない。仕訳で言えばのれん4億円を20年で償却するので以下の通りである。

のれん償却0.2億円|のれん0.2億円

償却なのでPLとしては費用科目の扱いとなり、販売管理費・一般管理費として計上することとなる。そしてこれは通常の固定資産の減価償却と同様に非現金費用となるため、キャッシュフロー計算においてはキャッシュの増加要因として計算を行うこととなる。

負ののれん

通常の合併においては財務諸表に現れない価値分を加味して、純資産額より高い価格で買収することとなるのでのれんが発生するが、稀に純資産額・企業価値より安い価格で買収することもある。この場合、のれんとは逆に負ののれんが発生することになる。

負ののれんが発生する要因は様々だが、例えば、潰れそうでどうしようもない会社を仕方なく買収するような場合であったり、財務諸表には現れないリスク(コンプライアンスが超やばい等)を孕んでいるような会社だったり、逆に買収される側として金額面以外で有利な条件がありそれを元に安くてもいいから買ってもらいたい、というような場合であろう。

このような負ののれんが発生した場合は、これを特別利益として当期のPLに計上をすることとなる。