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【事例IV】外貨取引ついて分かりやすく整理

為替予約含めた外貨取引について整理する。

外国間取引

外国とのやり取りにおいては当然国が違えば通貨が違うので、日本円での決済が行えない。そのため輸入であれば円をドルなどの外貨に両替して外貨を用意して購入することになるし、輸出ならその逆で受け取ったドルなどの外貨を円に両替するわけである。しかし、この日本円と外貨のレートというのは需給バランスや各国間の金利差異により日々変動するため、ちょうど決済しようとしたタイミングで不利なレートとなってしまうと大きな損失を被ってしまう可能性がある。特に企業間取引では動く金額が巨額なので、レートが1円違えばそれだけで大きな影響を受けてしまうであろう。

ば例えば1万ドル分の材料を輸入しようとする場合、手持ちの日本円をドルに両替して1万ドルを用意して購入するわけだが、これを例に仕訳に起こす。まず、購入を約定したタイミングにおいて、レートが1ドル100円だった場合、以下の仕訳となる。

仕入 100万円|買掛金 100万円

日本の企業は日本円で会計報告を行うため、仕訳・記帳は1万ドルではなくそれを円換算した100万円で記帳する。もし、これを1万ドルで仮に記帳したところで、これを集約するときに意味が分からなくなるためである。つまり、30万円分の買掛金と1万ドル分の買掛金を合算しても、30万円分の買掛金と1万ドル分の買掛金にしかならない。30万円分の買掛金と100万円分の買掛金となって初めて130万円分の買掛金として集計できるのである。というわけで、仕訳上はまず約定時のレートで記帳を行う。

そして、次に買掛金に対する支払いをする時である。つまり、ここで1万ドル分を購入するために手持ちの円をドルに両替して、1万ドル支払いが完了するわけだが、この時にレートが変動して1ドル105円になったとする。そうすると以下のような仕訳となる。

買掛金 100万円 |現金 105万円
為替差損益 5万円

つまり、円安になったことで、円をドルに両替(ドル買い円売り)をしたときに当初約定時より余分に円を支払う必要が出てしまったことで、それが為替差損となるわけである。(仕訳上は損でも益でも為替差"損益"として記帳する。)これが円高になれば逆に益となるわけである。この為替差損益は営業外収益・費用として最終的にはPL計上される科目となる。

上記は買掛金の場合だが、売掛金(輸出)も同様に考えることができる。1万ドル分の商品を輸出するにあたって、1ドル=100円で約定したときには以下の仕訳となる。

売掛金 100万円|売上 100万円

で、決済時には輸出した際に相手の企業からもらうのは1万ドルとなり、これをもらってもそこまで嬉しくないので円に両替するわけだが、この時に1ドル=105円になったとすると仕訳は以下となる。

現金 105万円|売掛金 100万円
       |為替差損益 5万円

つまり、円安になったことで、ドルを円に両替(ドル売り円買い)をしたときに当初予定より多くの円をGETできたので為替差益として計上するわけである。当然、円高になれば逆に損となる。

為替予約

で、運良く為替差益を得られるようなレートになってくれればいいのだが、そんなことをしていては常に海外との取引がギャンブルの状態となってしまう。そのため、為替変動リスクを抑えるために為替予約を締結する。つまり、予め今回のこの取引はこのレートでやりましょう、というのを決めておくのである。ちなみにこれは輸出入する企業と締結するのではなく、ドル円交換するにあたって金融機関と行う契約となる。

具体的な例でいうと、まず、1万ドル分の輸入をするにあたり、金融機関と1ドル=100円で為替予約を締結するとする。この時の市中レートは1ドル=97円とした場合、仕訳は以下となる。

仕入 100万円|買掛金 100万円

つまり、市中レートがどうであろうと、金融機関と締結したレートでやることが決まっているので、仕訳はあくまで予約レートで記帳を行う。市中レートというのは要は一般的にやり取りされているレートで、普通に両替しようとしたらそのレートでやるということである。詳細は省略するがTTMとかである。

さて、では決済日を迎えた時どうなるかである。このときの市中レートが104円だとしても、そのまま1ドル=100万円で為替予約を実行して100万円を1万ドルに替えて決済をするので、仕訳は以下の通りとなる。

買掛金 100万円|現金 100万円

結局市中レートがどうであれ、1ドル=100円で契約締結している以上、これが覆ることがないので、損でも益でも無いというわけである。今回で言えば円安に振れたので無事損をせずに済んだということになるが、円高の場合であれば益を受けられないということになる。

 

さて、今回は1万ドル分の輸入を前提に為替予約を締結することを記載したが、都度都度取引するたびに為替予約を締結するのが手間だったり、それに伴う手数料なども発生するので、予め為替予約を締結しておいて、取引として必要な分だけ最終的に実需として決済するということもある。

例えば、3万ドル分の輸入をするにあたり、1ドル=100円で3万ドル分の為替予約を締結したものの、思ったより仕入れせず最終的な輸入額は2.6万ドルだったとする。そして決済時において市中レートが1ドル=90円の円高になった時は以下のようになる。

1.まず、手持ちの300万円を為替予約実行により3万ドルのドル買いを行う。

2.そして買掛金として2.6万ドルを決済する。当然このときは為替差損益は発生しない。

買掛金 260万円|現金 260万円

3.で、残りの0.4万ドル分が余ってしまうわけだが、これを持っていてもしょうがないので円に替える。しかし、この時の市中レートは1ドル=90円となるので、泣く泣くこのレートで両替して、日本円で36万円分を受け取る。つまり、4万円分が為替差損となるわけである。

輸出のときはこれと逆になる。同じように1ドル=100円で3万ドル分の為替予約を締結し、3万ドル分輸出するとする。思ったより売れず、2.6万ドル分が輸出額となり、決済時の市中レートが90円/ドルとなった場合は以下となる。

1.輸出により2.6万ドルを受け取る。このときは為替差損益は発生しない。

現金 260万円|売掛金 260万円

2.ただし、2.6万ドルでは為替予約分として不足するので残りの0.4万ドルを市中から仕入れる必要がある。この時90円/ドルなので、日本円換算で36万円で仕入れを行える。

3.3万ドルを売って300万円を受け取る為替予約を実行する。つまり、2.6万ドル分(260万円)と0.4万ドル(36万円)の円支払いに対して300万円受け取るので、4万円分が為替益となるわけである。

オプション

為替予約をすることで(基本的に)為替差損は発生させずに済むのは記載の通りだが、オプション取引を駆使することで損を発生させないのはもちろん、益を受けることもできるようになる。

先程の例と同様に、仕入れで1万ドル分の輸入をする際、必要なるのは1万ドルなので、1ドル100円でドルの買いオプションを購入する。つまり、1ドル100円でドル買いする権利を一定の料金(オプション料金)を支払って購入するのである。

そして決済時に1ドル105円の円安になったとする。ここでオプションを権利行使することで、1ドル100円でドルが買える、つまり為替差損を発生させずにドル円交換ができるということである。

逆に、決済時に1ドル95円の円高になった場合は、オプションを権利放棄することで、1ドル100円の話は無かったことになり、通常の市中レートで1ドル95円で決済をすれば良く、結果的に為替差益を受けることができる。

輸出(ドル売り)の際はこれの逆となるので、1ドル100円でドルの売りオプションを購入すれば良い。なお、買いオプションの売却とか売りオプションの売却については、通常の海外取引においては必要ないものとなるため、試験では出ないはずである。