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債券利回りの比較

債券の利回りを考える上では、直接利回り、実行利回り、単利最終利回り、複利最終利回り、所有期間利回り、応募者利回り、クーポンレート…似たような概念がいっぱいあってわかりづらい。これに加えて、これらとパー債(オーバーパー、アンダーパー)との大小関係についても合わせて整理する。

 

利回りシリーズまとめ

直接利回り

投資元本に対して毎年いくらの利息収入があるかを見る利回り

y = \dfrac{C}{P} \times 100 \cdots (1)

C:受け取った利息(クーポン)、P購入時の価格 

単利最終利回り

既発債を時価で購入して、償還期限まで所有した場合の利回り

y = \dfrac{C+\dfrac{F-P}{n}}{P} \times 100 \cdots (2)

 C:受け取った利息(クーポン)、P購入時の価格、F:償還価格(額面記載の価格)、n保有期間

応募者利回り 

単利最終利回りと基本的な考え方は同じ。単利最終利回りは既発債を購入してから償還に至るまでの利回りで、応募者利回りは新発債を購入してから償還に至るまでの利回り。

所有期間利回り 

これも単利最終利回りと基本的な考え方は同じ。所有期間利回りは償還する前に売っぱらったときの単利最終利回り。そのため単利最終利回りのFが償還価格ではなく、売却時の価格となる。

複利最終利回り

別名内部収益率( Internal Rate of Return(IRR))。投資に対する将来のキャッシュフローの現在価値の累計額と、投資額の現在価値の累計額が等しくなるような割引率。

要は以下の式を満たすときのyの値が複利最終利回り。

P=\dfrac{C}{1+y}+\dfrac{C}{(1+y)^2}+\dfrac{C}{(1+y)^3}+ \cdots + \dfrac {C+F}{(1+y)^n} \\ \hspace{5mm} = \displaystyle \sum ^{n}_{t=1}\dfrac {C}{\left( 1+y\right) ^{t}}+\dfrac {F}{\left( 1+y\right) ^{n}} \cdots (3)

  C:受け取った利息(クーポン)、P:購入時の価格、F:償還価格(額面記載の価格)、n保有期間

保有期間利回り

複利最終利回りと基本的な考え方は同じ。保有期間利回りは償還する前に売っぱらったときの複利最終利回り。そのため単利最終利回りのFが償還価格ではなく、売却時の価格となる。
試験問題の上では1年間の保有(n=1)を想定することが多いため、これで式を整理すると、保有期間利回りyは以下のように表せられる。

y = \dfrac{C+S}{P}-1

S:売却価格(償還価格ではなく) 

 

パー債の複利最終利回り

 パー債は債券価格=額面価額(償還価格)となるため、(1)=(2)となることは自明であり、クーポンレートc(※小文字のc、額面に記載の利率)がそのまま利回りになる。問題は(3)のときに、複利最終利回りyがクーポンレートcと同値になるのか、というところである。結論でいうと同値になるのだがこれを導くには頑張って計算するしかない。

パー債なので債券価格Pは償還価格Fと等しいが、一旦そのあたりを抜きにして、利付債の価格の式から変形していく。

P= \displaystyle \underline{ \sum ^{n}_{t=1}\dfrac {C}{\left( 1+y\right) ^{t}}}+\dfrac {F}{\left( 1+y\right) ^{n}} = P'+\dfrac {F}{\left( 1+y\right) ^{n}} \cdots (4)

 ここで、上記の下線部分は\dfrac{1}{1+y}を公比とする等比数列の和となる。この下線部分をP'として、等比数列の和を求める。つまりP'とその両辺に公比である\dfrac{1}{1+y}を乗じたものを差し引く。

P'= \dfrac{C}{1+y}+\dfrac{C}{(1+y)^2}+\dfrac{C}{(1+y)^3}+ \cdots + \dfrac {C}{(1+y)^n} \cdots (5)
\dfrac {1}{1+y}P'= \dfrac{C}{(1+y)^2}+\dfrac{C}{(1+y)^3}+\dfrac{C}{(1+y)^4}+ \cdots + \dfrac {C}{(1+y)^{(n+1)}} \cdots (6)

上記より(5)-(6)をすると

\dfrac {y}{1+y}P'= \dfrac{C}{(1+y)}-\dfrac{C}{(1+y)^{n+1}}  \Leftrightarrow  P' = \dfrac {C}{y}-\dfrac{C}{y(1+y)^n} \cdots (7)

 この(7)の式を(4)に代入して整理すると

P= \dfrac {C}{y}-\dfrac{C}{y(1+y)^n}+\dfrac {F}{\left( 1+y\right) ^{n}} \\ \Leftrightarrow yP - \dfrac{yF}{(1+y)^n} = cF - \dfrac{cF}{(1+y)^n} \cdots (8)

C=cF(クーポンは額面価額(償還価格)にクーポンレートを乗じたもの)

 ここで、パー債はP=Fより、y=cが導かれる。

 オーバーパー・アンダーパーとの大小関係

 オーバーパーは債券価格>額面価額となる債券、アンダーパーはその逆で債券価格<額面価額となる債券で、この定義についてはまぁいいのだが、これと利回りの大小関係を比較する。片方がわかれば必然的にもう片方も自明になるので、オーバーパーに限って話を進める。

まず、直接利回りである(1)については、明らかにクーポンレートcを下回る。そして単利最終利回りである(2)については、F-Pの箇所がオーバーパーにより負の値となるため、その分、分子が小さくなり直接利回り(1)よりもさらに下回る。で、問題はやっぱり複利最終利回り。(8)式を用いて整理する。一旦左辺と右辺を逆にして、

 cF - \dfrac{cF}{(1+y)^n} = yP - \dfrac{yF}{(1+y)^n}

このとき、オーバーパーなので、P>Fとなる。したがって、不等式とすると

 cF - \dfrac{cF}{(1+y)^n} > yF - \dfrac{yF}{(1+y)^n} \\ \Leftrightarrow c(F-\dfrac{F}{(1+y)^n}) >y(F-\dfrac{F}{(1+y)^n})

c>yが成立する。つまり、クーポンレートより複利最終利回りのほうが小さくなる。

以上を整理すると、オーバーパーのとき以下が成立する。

クーポンレート>直接利回(1)>複利最終利回り(3)>単利最終利回り(2)

逆にアンダーパーのときは以下が成立する。

クーポンレート<直接利回(1)<複利最終利回り(3)<単利最終利回り(2)

 さて問題は、複利最終利回り(3)と(1)および(2)の大小関係だが、この証明ができていない。軽く本や色んなサイトを調べてみたものの、直接的な答えは見当たらなかった。この不等式が成立する証明を求む。

 

以上

 

参考:

債券の利回りの種類|金融知識ガイド - iFinance

内部収益率(IRR)とは|金融経済用語集