残余利益モデル自体は特別難しい分野では無いと思うが、なんだか自分の中で理解が浅かったため、備忘のために記録しておく。
まず定義は以下の通り。
純利益はいいとして、第二項の必要収益とはなんぞやである。これは株主の期待利益のことであり、その会社に対しての出資額に対して期待するリターンを示すのだが、ここでいう期待するリターンは配当(インカムゲイン)であったり値上がり(キャピタルゲイン)である。いずれにせよ、会社として利益を出した分、何らかの形で株主は分け前が欲しいわけだ。
これを会社側からの視点で考えると、株式で資金調達するにあたっては、株主に対して期待されているリターンを還元してやる必要が生じる。つまり、それらは企業からみた支出(コスト)の扱いになるため、この必要収益というのは株主資本コストといったりもする。
以上から、残余利益というのは、会社が生み出した当期純利益に対して、それら株主にとって必要となる収益を差し引いた残額ということである。このとき、株主にとって必要な収益の割合が要求収益率であり、自己資本(株主からすると出資した額)のうち何%か、という定義となる。
上記をもとにした残余利益モデルから理論株価は以下のように表せられる。
いきなりこんな式になるとさっぱりだが、図で表すとわかりやすい。これは他サイトからの引用。
図を見て分かる通り、まず期首の自己資本があり、そこから未来永劫に渡って残余利益が積み上がる前提に立っている。ここから残余利益分を現在価値に割り引いてやることで、企業価値(=時価総額)が算出されるという考えである。これを1株あたりにすれば株価になるわけだ。
で、これにさらに毎期のROEが一定で定率成長することを前提とすると、ある年t時点での株式簿価(自己資本)は以下のようになるはずである。
これと(1)式を組み合わせて、等比級数の和の考え方から、(1)式はだいぶ簡略化することができる。
以上
参考文献: