一生旅行生活してえ

最近は主に資格取得関連のメモとか勉強法とかを整理

中小企業診断士二次試験 合格体験記~独学で210点→273点に上げた勉強法など~

中小企業診断士二次試験の合格体験記として、やってきた勉強方法などを振り返ります。

中小企業診断士二次試験は公式解答や採点基準が開示されていないこともあり、予備校によっても解答速報がばらつくことは珍しくありません。世の中にはこれに関する勉強法が様々に語られておりますが、ここでは自分としてやってきたことを記載していこうと思います。

なお、自分は2年目(2回目)の挑戦となります。自分同様、リベンジを成し遂げたい多くの受験生にとって少しでもご参考になればと思います。

まず、ざっくり二次試験結果に関するサマリーです。

■得点

事例1:65
事例2:66
事例3:68
事例4:74

合計:273点

 

■勉強時間

271時間

 

■再現答案

中小企業診断士二次試験 再現答案 - 一生旅行生活してえ (hatenablog.com)

ちなみに1年目はこんな感じでした。

■得点

事例1:51
事例2:57
事例3:60
事例4:42

合計:210点

 

■勉強時間

約160時間

 

■再現答案

無し(作れるほどのメモや記憶を残せず惨敗。)

上記の通り1年目の成績は合計210点とはっきり言って全く惜しくもなく、惨敗という結果でした。ここから臨んだ2年目となります。

そもそもの受験目的

中小企業診断士に限らずですが、自分の資格取得における目的は自己研鑽を通じた能力開発です。そのため、中小企業診断士になって独立したい!というよりは、この勉強を通じて得た知見を仕事や人生に活かしていきたい、というところに尽きます。そういった意味では独立というよりは、いわゆる企業内診断士としてやっていく方が自分として目指したい姿となります。

また、資格取得という意味では中小企業診断士に限らず他にも様々なものがありますが、今まで自分が取得した資格(証券アナリストやFP、各種情報処理技術者試験)や仕事内容(金融ITコンサル系)に近しいという親和性から中小企業診断士をチャレンジしておりました。単純に興味があるという意味では行政書士とかも興味あるのですが、さすがに本職であるIT屋とはかけ離れているなと…。

今回、2回目の二次試験となりますが、仮に落ちた場合は一次試験からやりなおさずそのまま撤退のつもりでした。これは単純に何年も時間的コストをかけたくないという点に加えて、なによりも自分なりに勉強計画を見直して1年かけて再チャレンジしても落ちるということは、もうそれ以上のPDCAを回すのは難しいと考えたためです。

そのため、いわゆる一次試験の保険受験もせず、今回の2次試験がダメなら撤退・損切りの覚悟を決めていました。

前回試験の敗退要因

1回目の二次試験の敗退要因は細かい観点で言えば色々ありますが、一番重要かつ確実に言えるのはインプットが不足していた、という点に尽きます。

二次試験はアウトプット型の試験と言われています。与件を読み解き100字程度でその内容を整理して書き下す。これが5問程度。最初に勉強に手を付けたときはそもそも何を書けば良いのか分からず、50字くらいで諦めてしまうことも多々ありました。そこから訓練を積んで、ある程度のお作法的な書き方も把握してくると、100字くらいのボリュームで回答をかけるようになっていきます。

ただし、確かにこれで100字くらいの文章は書けるようになるのですが、二次試験は国語の問題でありつつも、やはり診断士としての知見や洞察を問うためのものでもあるので、単に100字書けばいいというわけではありません。経営理論や運営管理の知識に基づいてどういう助言をしていくか、という観点になるため、単に与件からの抜き出しを整理するだけだと、「間違ったことは言ってないんだけど、なんか弱いなぁ」という回答に留まってしまいます。去年の自分がまさにこのような状態で、ある程度ふぞろい採点ベースのキーワードは拾えるもののなんか文章がぎこちなかったり、解答の論理性が弱い状態でした。

また、事例IVについては、簿記2級だったり証券アナリストだったりFP1級だったりを持っているのでそれなりに得意だと思っていたものの、診断士二次試験はまた違ったレベルの高さがあり、これについていけず見事に撃沈。一番得意としていこうと思っていたつもりが一番点数が低いという情けない結果となりました。

これらの原因において確実にダメだった要素としてはインプットです。

きちんと振り返ると、そもそも事業別組織とは?成果型報酬って本当にいいの?生産管理と生産計画と生産統制とそれぞれ何が違うの?そもそも生産計画って何?こういった知識を曖昧な状態にしていました。そのため、例えば事例IIIの与件を読んでなんとなく課題を把握しても、その課題は何がダメだから起きているのか、どうすれば改善するのか、といったことが漠然としている状態でした。これにより、課題に対する対応策がきちんと論理的に結びついてなくて、適当にとりあえず小ロット化とか多能工化とか書いてなんだか文章がぎこちなくなり、しっくりとした解答に至れませんでした。

事例IVにおいても、ある程度の計算問題は解けるものの、イレギュラーな問題やちょっとひねった問題に対して、そのイレギュラーポイントにハマってしまうことが多々ありました。もちろん、イレギュラーポイントなのでハマってしまうのはある意味当然なのですが、問題はそのイレギュラーポイントを理解に落とし込みきれなかったことです。回答をみて「うーん、こういう時はこういうイレギュラーになるのかぁ」というようにそのイレギュラーが発生した時にその事項を都度都度暗記するようなアプローチとなっており、体系的な考え方の整理ができていませんでした。

特に1年目は一次試験が終わって3ヶ月弱で仕上げないといけないという焦りもあり、とりあえずアウトプットを訓練して体裁を整えることで精一杯というような状況でした。その焦りがますますアウトプット偏重になってしまい、本来費やすべきインプットに対して適切な量を投下できていませんでした。

以上が自分の中で圧倒的に欠けているポイントでした。

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2年目の勉強方法

1年目がダメだったということは1年目と同じ勉強をしてもダメなので基本的には色々やり方を変えました。具体的にやってきたことは以下です。

知識の整理とインプット(知識から知恵へ)

個人的に一番効いたのはこれです。

自分の敗退要因である二次試験に関連する知識のインプットをするために、とにかく自分の頭の中にあることをひたすらブログに書きまくって情報を整理しました。具体的には「なんでOEMっていいんだっけ?」とか「事業承継するにあたってどういった問題が起こりやすいんだろう?」「そもそも生産計画って何するんだ?」といったことを、とにかく自分が納得し切るまで文章に書きまくりました。以下が該当記事です。

中小企業診断士二次試験知識整理 - 一生旅行生活してえ

結果、4.7万字くらいにまで膨れ上がりました。事例IVは別ページでまとめたりもしたので、それも合わせれば7万字を超えます。ただ、個人的にはこのように文章で書きまくるのは割りと好きなので、苦行には感じず楽しくやっていました。

よくファイナルペーパーとかであるような「事業部制組織のメリット・デメリットはこれこれ、成果型報酬のメリデメはこれこれ」みたいに端的にまとめるようなやり方は自分には合わず、「なんでそのメリット・デメリットが生まれるのか、そのメリデメは具体的にはどう言った例があるのか」と言った事を突き詰めないと自分としては納得感が得られないようでした。なので、これを面倒くさがらずに徹底的に書き起こして自分の頭の整理と、納得感まで落とし込むことを意識して書き溜めていきました。そして、これについても適宜電車の中などで読み返して、整理した知識を定着し、理解に落とし込みました。一般的な勉強としてはここまでやらなくてもいいとは思いますが、ノートにまとめる、ファイナルペーパーで整理するといった活動の中ではこういった事項を理解しておく必要があるかと思います。

なお、ここで整理している知識は「一次試験の知識」とは別物と考えています。一次試験で問われる知識は要はその用語がわかっていれば十分です。つまり「OEMとはなんですか?→OEMはこれこれです」という知識で一次試験は十分です。しかし、二次試験で必要となる知識は「OEMは何のためにやるのか?OEMでどういうメリットがあるのか?OEMをする上での留意点はなにか?」といった深掘りした観点です。これをわざわざ暗記する必要は無いと思いますが、「聞かれたら説明できる」くらいの理解度が必要となります。つまり、情報→知識→知恵のプロセスにおいて、一次試験は「情報」を元に「知識」が導ければいいのですが、二次試験は「知識」を元に「知恵」を導かねばならないということなのかなと考えています。

結果的に、この知識整理活動のおかげで、以下のような効果が生まれてきました。

1.与件文の解像度が向上

それまではただ与件文を頑張って読んで、それっぽいSWOTやポイントを整理するようなやり方で、要は行き当たりばったりのような状態でした。そのため、問題文がひねられたり、イレギュラーな観点があると太刀打ちができないという状況でした。

これが、知識を整理したことで特に事例1において「この与件は差別化集中戦略について問われているのかな?となるとこういう観点がポイントになるかな?」というように、仮説を立てながら与件を読み進めることができました。与件文読解にあたっての解像度が増し、それまでなんとなく「これが強みなのかなぁ、これが弱みなのかなぁ」とやり過ごしていた箇所が明確にポイントとして見えてくるようになり、与件文を能動的に解釈できるようになりました。

2.事例3の課題と対応策が明確化

事例3であれば与件を読みながら、「ここに課題があるということは、生産計画が悪いんだな。ということはこういう改善が必要だな。」というように、与件から素直に解答までのプロセスがつながるようになりました。それまでは単にふぞろいの解答を真似して、正直あまりよく分からずに「生産計画を短サイクル化…」とかを書きなぐっていましたが、与件文を元に素直に、何が悪いのか、何を改善すべきかが見えてくるようになりました。

3.整理した知識を元にそのまま回答

今回のR5年でいうと例えば事例4のOEMの話は、ここでまとめた内容が頭に入っていたので、試験中に1から頑張って考える必要もなく、そのまま事前に整理した内容を元に回答することができました。これにより時間短縮と、事例4で疲れ切っている脳内リソースの消費を抑えるという効果が見いだせました。

分析シートを作成し事例1~3の復習を徹底化

前年度は復習にあまり時間をかけず、間違ったところを軽く見直しをする程度で終了でしたが、今年度は以下のようなシートを作って徹底的に復習をしました。以下は令和3年分からの抜粋です。

項目としては以下となっています。

設問:協会の過去問PDFからそのままコピー。

解答(1回目):1回目に解いたときの解答そのまま記載。

解答(2回目):2回目に解いたときの解答そのまま記載。なお、2回目は一通りの復習が済んでからやっているので、この項目自体は最後に埋めています。1回目解答と比較してどれだけ改善できたかを確認するための項目となります。

解答根拠:1回目に解いた時にどの観点を入れようとしたか、解答時に何を考えていた等

採点:ふぞろいを使っての採点。キーワードベースの激甘採点なので基本的にはあまり過信せず、明らかに点数が低い設問(=外している設問)を見分けるために参考程度に載せています。

ふぞろい解答:ふぞろいからの解答を抜粋。明らかに日本語が不自然だったりするものは、少しいじったりしています。また、必ずしも一番得点が高い解答を選んでおらず、キーワードを入れつつも論理性高くまとめている解答を選ぶようにしました。

差分:ふぞろいの解答に対して自分の解答に何が不足していたかを抽出

改善アプローチ:上記差分を埋めるためには何をしないといけないかを記載

見直し後回答:以上を踏まえて1回目解答をベースに、自分なりに書き直すならどうするかを記載("自分なり"が重要と考えています。試験で回答するのは自分であるため、自分では到底書けないような理想解答を最終形にするのではなく、自分でも書けるレベルでの最善回答にすることをゴールとしています。)

つまり、1.自分はどういう根拠で回答したのか、2.それに対してふぞろい解答との差分は何なのか、3.その差分を埋めるにはどうすればいいのか、4.差分を埋めた結果最終的に回答はどうなるのか、というのを分析した結果となります。

特に勉強開始した始めの頃は自分の回答もイマイチだったので、事例を解くよりこのシート作っているときの方がキツかったくらいです。これを過去問解いた分だけスプレッドシートに適宜追加し、電車の中などで読み返し、苦手ポイントや自分が抜けている観点を補うようにしていました。

ちなみに事例4は計算問題中心ということもあり、基本的に文章題のみこのアプローチで復習しています。

会計の基礎から叩き込み

中小企業診断士レベルで出るCVPやNPV関連の科目は簿記1級レベルです。自分は簿記2級や証券アナリストは持っているので基本的なこのあたりの概念は理解していたつもりであったものの、プロダクトミックスが云々、貢献利益が云々、取替投資やら差額CFが云々と事例4は曲者の嵐のため、付け焼き刃では敵わないと昨年度痛感しました。かと言ってこれらを習熟するために簿記1級そのものを取るというのは遠回りすぎるので、事例4に関する分野に絞って簿記1級のテキストを買い、1から基礎から叩き込みました。

また、関連する知識整理をこれもまたブログで適宜まとめていました。主に自分の中で知識が曖昧なものや疑問に思ったものを中心につらつらと書いて、これもまた適宜電車の中などで読み返しました。

【事例IV】外貨取引ついて分かりやすく整理 - 一生旅行生活してえ

【事例IV】会社合併・のれんについて分かりやすく整理 - 一生旅行生活してえ

【事例IV】純資産科目・配当について分かりやすく整理 - 一生旅行生活してえ

【事例IV】営業レバレッジについてわかりやすく整理 - 一生旅行生活してえ

【事例IV】非支配株主持分についてわかりやすく整理 - 一生旅行生活してえ

【事例IV】生産性指標についてわかりやすく整理 - 一生旅行生活してえ

【事例IV】財務諸表上のキャッシュフロー(特に間接法における営業キャッシュフロー)の考え方についてわかりやすく整理 - 一生旅行生活してえ

【事例IV】NPV算出のキャッシュフローの求め方についてわかりやすく整理 - 一生旅行生活してえ

【事例IV】6種類の原価計算についてわかりやすく整理 - 一生旅行生活してえ

これらを実施したおかげで、去年度は過去問の解答を見ても「なんでこうなるんだ?」と疑問に思った問題についても、素直に解答が理解できるようになりました。

電卓のメモリー機能使用

これは勉強方法というよりテクニックの話です。昨年は電卓のタイプミスを恐れてメモリー機能は使わないでいましたが、事例4を解くにあたり電卓スキル向上の必要性も感じたためメモリー機能を活用しまくりました。

いざ慣れてくると無茶苦茶便利で、当然スピードアップを図れるし、さらに打鍵数も少なくなることで結果的にはタイプミス削減にもつながるという一石二鳥でした。

また電卓も今までは特にこだわりなくCANONの電卓を使っていたのですが、ここに来てCASIOの電卓に取り替えました。なるべく配列が近しいものを選んだのですが、取り替えて大正解でCASIO電卓の方が圧倒的に使いやすかったです。特に打鍵反応や文字盤の見やすさなどでは確実に上回っており、さすが電卓メーカの2大巨頭だと思いました。電卓における取替投資が無事結果を出しました。

ただし、左手で操作するところまでには至らず、右手で操作してました。

模試の受講

基本的に資格試験において模試は受けなくていい派で、今までも受けたことがありませんでした。というのも、過去問を時間測って解けば模試になるでしょという考えのためです。

人によっては会場の緊張感や雰囲気を掴むため、自分の立ち位置を把握するため等の理由で受けたりもするでしょうが、個人的な意見としては本番の緊張感や雰囲気は本番でしか味わえないし、予備校によって問題や採点基準に癖がある中では、自分の立ち位置把握もあまり参考にならないかなと思っております。

ただ、今回は2回目のチャレンジということもあり、初見となる直近の過去問が無いため問題演習の一環として模試を受けることとしました。受けてみた感想としては、やはり予想通りある程度の癖はあるなぁという印象はあったものの、模試の結果が自分の最終的にとりたい点数配分イメージ(事例1~3で60点前後、事例4で70点)と合致したので、自分の勉強計画や方向性が間違ってなさそうという感覚が掴めたのは良かったと思いました。ちなみに受けたのはLECのファイナル模試です。

ふぞろいベースでの独学

これについては1年目から変えてない勉強法になります。

1年目で落ちたときはTACやLECといった予備校も考えました。が、それぞれの予備校でスタイルがあり、それに合わせていくのが大変なのと、最終的にそれらをどうしていくかは結局自分の力次第となるので、であれば独学のままでいいかなという結論に達しました。(本音を言うとお金結構かかるからキツイなぁ〜というのもありますが…)

※もちろん、予備校自体は全く否定していません。予備校ならではのノウハウや知見をうまく活用した方が基本的には効率的だと思います。

テキストもふぞろいをそのまま使用。このテキストについても色々批判はありますが、それを承知の上で使えば問題ないと思います。「単なるキーワードの羅列で不自然な文章なのに、ふぞろいで上位回答になっているのはおかしい」とか「このキーワードがあるだけでこんなに加点がされるのはおかしい」といった意見はありますが、個人的にそのあたりは気にしておらず、自分の回答観点に漏れがないか、うまく文章を端的にまとめる表現はどうすればよいか、それを拾い上げるネタ帳(集合知)としての活用を意識しました。

そのため、ふぞろい採点で一番高いものが必ずしも正とは考えておらず、必要に応じて良い答案を取捨選択したり組み合わせたりして、どうすればベストな回答になるかを模索し、自分の回答とのFit&Gap分析を行いました。

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試験の取り組み方

本番の試験をどう取り組むかは人それぞれだと思いますが、自分なりにこうしたと言うのを記載します。

時間配分

自分は時間配分を全く決めておりませんでした。というのも問題・与件によって難易度が異なり、どれを何分とか決めておくより、時間をかけるべき問題には時間をかける、時間をかけなくていい問題には時間をかけない、という重さの程度を調整するほうが大事だと考えているためです。なので、何分で与件を読むとかも考えず、適宜問題を解いたら時間を見る程度で、例えば2問目を解いたあたりであれば「そろそろ半分かな」というのを確認して、進捗度を意識するような感じでいました。ただ、それなりに時間がシビアな試験なので、原則としてはある程度何を何分くらいで解くという目安はあったほうがいいとは思います。

設問からの先読み

自分は設問を読んでから与件を読むスタイルでした。これ自体は前年から変えていないのですが、この時に単に先読みするだけではなく、設問時点から何が問われているか、どういう観点がポイントになりそうか、関連しそうな理論は何か、等をメモして考えるようにしました。前年度はなんとなく先に設問を読んでおいて、与件から該当しそうなところがあればそこをメモしたりチェックしたり、という感じだったのですが、設問の段階からある程度仮説を持っておくと、その仮説が当たったときはもちろんのこと、仮説が外れても「なるほど、こういう自分の想定と違ってこういうことを問いたかったのか」と、能動的に与件にアプローチすることにより、与件理解の解像度とスピードが高まる結果となりました。

マーカーの使い方

これについてもいろんな流派がありますが、自分は一貫して強み・機会といったポジティブ要因を青弱み・脅威といったネガティブ要因を赤(ピンク)蛍光ペンを使い分けていました。あとは赤ボールペンで適宜ポイントとなる単語や文を丸つけたり線を引いたりしています。特にSWOTに関するところは適宜マーカーを引いたところ近辺にSとかWとかを追記していました。これ以上の色の使い分けは自分の場合かえって混乱を招くのでここで色分けは打ち止めしました。具体的には以下のような感じです。

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事例4の解く順番

これも巷でよく言われている方法ですが、自分もNPVは最後にしていました。具体的には1(経営分析)→2(CVP)→4(記述)→3(NPV)という順で解いています。

今回でいうとNPVは小問1のみ解き、2は減価償却の式をちょろっと書いただけでほぼ空欄です。余った時間は見直しや検算に徹底的に費やしました。

再現答案の作成をしない・見ない

自分は己の心の平穏を保つために、そもそも再現答案を作成せずに、答え合わせもしませんでした。(予備校解答や他の人の再現答案も見ないようにしました。) 

なお、「再現答案を作る」ということ自体は良いことだと思います。もし落ちてしまった場合は当日試験の何が悪かったのかといった振り返りができますし、受かった場合であれば口述試験に向けて事例を思い出すのにスタートダッシュをしやすくなるためです。

ただし、これを予備校の解答や他の人の再現答案と比較する、ということは慎重になったほうが良いと思います。「あれも書けてない、これも書けてない」と気づく事になり、必要以上にメンタルに支障きたすためです。

ちなみに1年目受けたときは目先の回答でいっぱいいっぱいで、再現答案を作れるほどきちんとメモや記憶を残せておらず撃沈という感じでした。2年目の今回は口述試験直前に事例の思い出しを兼ねて後追いで作成をしました。

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使用した参考書

ふぞろいな合格答案

具体的には以下で使い分けています。

平成19年~平成28年:10年データブック

平成29年~30年:答案分析5

令和1年~2年:答案分析6

令和3年:エピソード15

令和4年:エピソード16

ふぞろいシリーズの細かい説明は他サイトに譲ります。個人的には再現答案は不要なので、令和3~4年分での答案分析が欲しかったところですが、これが発売されるのは次年度からでしょう…。

ふぞろいシリーズの用途としては、自分は主に採点の目安、自分の答えに対する観点のぬけもれチェック、模範解答のネタ集めとして使いました。ふぞろいシリーズはくだらないやり取りの解説さえなければもっと良いんですけどねぇ。

スッキリわかる日商簿記1級

これは事例4対策です。事例4を叩き直すために簿記1級から腰を据えて勉強しました。ただ、1級全範囲は広すぎるので、試験に直接関係があるCVP系、NPV系の分野に絞り込みました。具体的にはこのシリーズのIIIとIVが該当です。

この本の中でも試験には直接関係無い分野も少し含まれているので、それらはすべて飛ばした上で、これの例題と練習問題を3~4回は解いて定着させました。

30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集

診断士試験界隈では定番の問題集です。今年度から改定されましたが、自分は改定前の赤色のバージョンを買ってしまっていたので、そっちで勉強をしました。改定前後の違いは最後の方に付属問題があるかないかの違いで、それ以外は細かい数値含めてすべて一致しているようです。そのため、あえて改定後版を買い直すということまではしませんでした。

こちらについても3回を目安に解いていたのですが、苦手分野やポイントとなる分野は7回くらい解いています。そんなにやるんかいという感じでもありますが、少し間が空いた時にポイントや解き方を忘れないようにするためにちょくちょく復習した感じです。

この本に載ってる問題自体はそこまで難易度高くないのと、上記の簿記1級テキストで基礎は叩き込んだ上で取り組んだので、1問あたり5~10分くらいでサクサク解いていく感じで取り組みました。

意思決定会計講義ノート

アマゾンリンクの写真がなんか怪しさ満点ですが、こちらも中小企業診断士試験界隈では定番の問題集です。簿記1級や公認会計士試験用のテキストなのですが、それらの試験ではおそらくほぼ使われておらず、もっぱら中小企業診断士事例4対策のために存在している状況です。界隈では「むちゃくちゃ難しい」と評判で、実は1回目試験の時に自分も少しこれに取り組んでみたのですが、難しすぎてろくについて行けず挫折しました

ですが今回、簿記1級テキスト、30日完成をこなしたあとで取り組んでみたところ、たしかに難しいは難しいのですが「普通に解けるなぁ」という感覚に至ることができました。なんなら簿記1級テキストの練習問題のほうがモノによっては難しいくらいです。というわけで、それなりに基礎力があれば十分対応可能な内容となっていますが、逆に基礎力が無い状態でやっても意味不明で終わると思うので、初学者にはおすすめしません

こちらはLecture1とLecture11以外(つまり、Lecture2~Lecture10とLecture12)を2~3回ほど回して、苦手分野や間違った問題をもう1~2回追加で回す形で取り組みました。今まで出題されたことがないABCなどはそこまで深入りせず最低限の計算と考え方を抑える程度に留めました。

なお、中には観点がイレギュラーすぎる応用問題もあったりするので、それらはそもそも着手せずすっ飛ばしました。(Lecture9の問題4など。)

工場のしくみ

これは直接的な試験用の参考書ではありませんが、事例3における生産管理関連のイメージアップのために読みました。無理に全ページを読む必要はなく、第7章~第10章を中心に理解すればよいかと思います。自分は知識整理の記事を作成するにあたり事例3についてこの本を結構参考にしました。

その他の参考書

定番モノとして岩崎邦彦先生の「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」を読みました。直接的に試験に役立ったかといわれると、個人的には正直そうでもなかったものの、これ自体はとてもおもしろい本なのでお勧めします。

あとは中小企業白書もちょっと空いた時間で読んだりもしました。ここに記載されている事例がまさに事例1~3を平易にしたような内容となっており、ピンポイントに強みや弱み、今後の戦略等々を拾いながら読んでました。試験もこれくらい読みやすいといいんだけどなぁ。

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計画とスケジュール

目標点数

得点の取り方は以下を目指しました。

事例1~3:60点
事例4:70点
→合計で250点を目指す。

事例1~3については特にどれが得意不得意とかは無いので、試験難易度に応じてこの3事例で合わせて180点を目指し、事例4は得意分野として70点を目指すことを目標としました。これにより250点目標とし、多少下ぶれしてもなんとか240点は上回りたいという考えでした。

昨年度は事例4が42点と一番点数が低く、そんな状態で得意分野と言って良いのかというツッコミはありますが、これを得意分野に持っていくのがある意味この1年の目標でした。

計画

1年目のときは1次試験終了後に2次試験に取り組んだため、8月初~10月末の丸3ヶ月ほど2次試験対策に費やしました。ただ、1年目に勉強していた時は肌感覚でもう2ヶ月ほど勉強時間がほしいイメージがありましたので、2年目としては6月から初めて5ヶ月かけてやっていけば、10月末の試験に間に合う計算になります。

勉強時間として換算すると、自分は50時間/月ほどの勉強量なので、5ヶ月×50時間=250時間ほど費やす必要がある見込みです。つまり、一般的に二次試験合格に必要と言われている200~300時間という勉強時間がやっぱり必要だということです。

とはいえ、1月に合格発表があってそこから6月まで何もしないとなると勉強習慣が衰えてしまいますし、かと言って細く長く1月から10月末まで二次試験の勉強をするのはモチベーションの維持が難しく、試験直前で息切れしてしまう心配がありました。

というわけで、間にITストラテジスト試験を挟むことで適度に勉強習慣は残しつつ、診断士試験にもピークを持っていくよう調整をしました。ITストラテジスト情報処理技術者試験の中では一番難しいと言われてはいますが、自分の感触では診断士二次試験のほうが普通に難しいです。

これを前提に試験に至るまでの具体的な経緯としては以下のようになりました。

1月~4月

2023年1月の二次試験合格発表で案の定不合格。これを受けて特に配点が低かった事例4に本腰入れること中心とした計画を建てました。そもそも事例4で問われるような内容について基礎から叩き込むには何を勉強すればいいかを調べ、簿記1級の知識が必要であることがわかったので、付け焼き刃とならぬようそこからきちんと学ぶこととしました。

テキストとして「スッキリわかる日商簿記1級」のIIIとIVを購入し、テキストを読みつつ例題を解いて練習問題をやって…という極普通のアプローチで地道にCVPから取り組んでいきました。

ただ、4月にITストラテジストの試験も控えていたため、ここではそこまで深入りはせずあくまでITストラテジストをメインとした上で、余力の範囲で事例4に取り組む形で進めていました。この頃の自分の月当たりの勉強時間はざっくり10~20時間程度で、事例4はそのうちの4時間くらいを投入していました。(残りの10数時間はITストラテジストの勉強です。)まだ焦るときではありません。

そして4月中旬にITストラテジスト試験が終わったため、そこから事例4を本格着手し始めました。当初の計画では6月から着手して毎月50時間投入すれば間に合う見込みですが、仕事の兼ね合いなどで月50時間費やせる保証はないので、少し早めのスタートダッシュとすることとしました。

ちなみにITストラテジストについては無事合格できました。合格に至る記事は以下をご参照。

s-tkmt.hatenablog.com

5月~7月

このあたりはほぼ事例4のみを勉強です。ただ、そこまではギアは上げず、月の勉強時間は30時間ほどです。焦ってたくさん詰め込むことより、丁寧に事例4の基礎的な知識を固めることに専念しました。引き続き「スッキリわかる日商簿記1級」を中心に勉強しつつ、「30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集」にも取り組んで行きました。この期間でそれぞれ3~4週くらい回しています。

また、事例1~3については6月頃になってそろそろ着手するかと思い、過去問を2回分を解きました。初年度は初めて過去問を解いたときは意味不明の嵐ですごいしんどかった思い出ですが、1年経ったとはいえ2年目となると「そういえばこんな感じだったなぁ」と、思ったより感覚が鈍っていませんでした。

そのため事例1~3についてはまだ焦り時ではないと判断し、引き続き事例4を中心に取り組んで行きました。

また、ちょっと早めの夏休みということで6月に韓国へ旅行しました。地味に初めての渡韓でした。まだ焦る時では無いと言い聞かせる…。

35歳会社員 韓国旅行1日目~大雨警報のソウル散策~ - 一生旅行生活してえ

8月

ここから事例1~3も本格着手し、二次試験に向けてギアを上げ始めました。

事例1~3においてやったことは、過去問解く→ふぞろいで採点→分析シートを作成してひたすら復習、そしてそれに合わせた知識整理記事をひたすら書きまくるということでした。

分析シートの作成は結構骨が折れましたが、その分、知識整理を書きまくるのは結構楽しく好きなように書き殴っていました。そしてこれらを適宜電車で読み返すというルーチンをこなしました。

過去問を解くペースは、土曜日に過去問2事例、日曜日に過去問2事例分で土日で4事例(1年分)消化していました。

また、事例4については、過去問を上記のペースにあわせてやりつつ、主に平日で「意思決定会計講義ノート」に取り組みました。元々イケカコまでやるつもりは無かったのですが、「スッキリわかる日商簿記1級」や「30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集」をある程度やり尽くしてネタが尽きてきたので…。

9月

ここで初旬にLEC模試を受講しました。自宅受験です。初見問題を時間測って頭から解くのは昨年の本番以来であったため、少しその感覚を思い出しました。

解いている中では特に事例4が思ったより粘れて、取りこぼしを少なく済ませられたことが大きかったです。地道に数ヶ月かけて事例4を積み上げてきた成果がでてきたなぁと我ながら思う瞬間でもありました。

そして結果は以下の通りA判定でした。

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A判定が取れたことはそれはそれで嬉しいのですが、それよりも自分が狙っていた点の取り方(事例1~3はほどほど、事例4で高め)ができていた、ということが特に嬉しいポイントでした。つまり、自分の勉強の方向性や計画が間違っていないということを確かめられたことが、模試を受けた最大の意義でした。

ただ、これは単にLEC模試の相性が良かっただけという可能性もあるのと、あくまで模試の結果であるため、油断はせず浮かれないようにしました。

 

また、ちょっと遅れての夏休みということで、香港・マカオへ旅行をしてきました。香港の物価がアホみたいに上がっていて金銭的に辛かったです。ここまでにおいて勉強自体はきちんとやれているので、適度な息抜きも大事と言い聞かせる…。

35歳会社員 香港マカオ旅行1日目~マカオは豪雨の夜空~ - 一生旅行生活してえ 

 

勉強面での真面目な話をすると、ここでもやることは8月に引き続きひたすら過去問演習と必要に応じて知識整理の記事の加筆です。また、このあたりになると、過去に出題された事例4のクセモノ問題について、昨年は「なんでこんな答えになるんだ…?」と全く分からなかった観点も、「そりゃこうなるよね」という理解できるところまで落とし込めるようになっていました。

ペースとしては土日で4事例(1年分)、調子が良ければ土日で8事例(2年分)解いたりもしましたが、上記の通り旅行に行ったりもしていたので、トータルの勉強時間としては40時間ほどでした。

10月

いよいよ最終月です。が、やっぱりやっていることは8月から引き続き同じことを継続しています。土日で過去問、平日は事例4の問題集や10年以上前の古い過去問をちょくちょくやったり、といった感じでした。また、事例4は最後の仕上げとして、苦手ポイントや間違えやすいポイントなどを整理し、「見落としがちな観点」としてブログの知識整理記事に追記をして頭に叩き込みました。

また、勉強のペースとしては直前期ということもあり負荷も少し上げていきました。平日は1週間トータルで2~3時間、土日はトータル10時間(土曜日5時間、日曜日5時間)ほどで、月60時間くらいの量をコミットしました。

特に最後の1週間ほどは今更新しいことなどは覚えたりしても厳しいので、基本的には間違ったところや苦手ポイントの復習を中心に取り組みました。また、このあたりから断酒をし、なるべく誘惑に負けないよう精神的にも強化していきました…。

なお、適度な息抜きは大事なので、日プ女子は毎週欠かさず観てました。

前日の過ごし方

試験前日は、今までの分析シートや事例4の苦手ポイントを見直ししたり、事例4の間違った問題を解いたりして過ごしました。一応、古めの過去問を1事例分だけ解いて事例1~3の感覚が鈍ってないかだけを確認し、概ね問題なさそうな感触を掴んで終了としました。さらっと書いているものの、なんやかんやで5時間くらいは勉強していましたが…。

また、会場の下見や前泊などはせず、大人しく家にいました。

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トータルの勉強量

勉強時間

以上を踏まえた勉強時間について、事例4と事例1~3で分けて記録をしていました。結論でいうと以下のとおりです。

総勉強時間:271時間
 ┗事例1~3:88時間
 ┗事例4:183時間

結果的に当初費やそうとしていた250時間を超えた投入となりました。そしてそのうち3分の2は事例4に投入したという結果となりました。巷にて「事例4は事例1~3の2倍くらいやらないといけない」と言われたりしていますが、結果的に自分も同じような時間の費やし方になりました。

ちなみに、過去に受けた証券アナリストの二次試験やFP1級の学科試験では160時間ほどだったので、今回事例4だけでそれ以上に勉強したことになります。(去年分も含めればもっと多くなるでしょう…)

また、ちょっとした隙間時間での調べ物や電車で知識整理記事を読み返した時間などは逐一カウントしてないので、そういったものも含めれば300時間くらい費やしているかもしれません。

以下がStudyingでの記録です。

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解いた事例数

40事例・74回分でした。これに加えて事例4は苦手分野や何度か間違った問題を個別に追加で解いたりもしております。これらは以下のようなシートを作って管理していました。

すでに去年に解いたことがある事例が多いのと、ふぞろいベースの激甘採点なので点数は高めに出ています。なのであんまり点数そのものにはこだわっていません。

また、あれこれ模試などの初見問題を解くことより、過去問を確実にできるようにする、ということを意識して取り組んでいました。(逆に初見問題に取り組んだのは9月に受けたLECのファイナル模試のみです。)また、上記の通り点数そのものの高低のこだわりは無いのですが、点数が低い=拾うべき観点が抜けている状態と言えるので、その拾えるべき観点が拾えていたかをざっと確認するにあたり点数を指標とし、各事例においてふぞろい採点で80点取るのを目標値としています。

過去問をやりすぎると、過去問に過剰に適合して初見問題の対応力が養われないという懸念があるかもしれません。これについて自分としては、過去問ですらできない状態において、本番の初見ではそりゃできないよね、という観点で、きちんと過去問を仕上げることに注力しました。

また、事例4については以下もやっております。

スッキリわかる日商簿記1級III、IV:最大5週(簡単な問題は2~3回やってざっと復習した程度。苦手な問題、難しい問題は4~5回くらいやっていました。)

30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集:最大7週(同上で、苦手な問題、難しい問題は7回くらいやっていました。)

意思決定会計講義ノート:最大3週(同上で、苦手な問題、難しい問題を3回くらいやっていました。)

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試験当日

試験会場までは自宅から1時間強かかるものの、試験開始時間を鑑みれば普段仕事で家を出る時間とほぼ変わらないため、いつもどおりに起きていつも通りに家を出ました。危うく電卓を忘れるというヒヤリハットがありましたが、予定通り9時すぎに試験会場に到着しました。

以下、事例1~4を解いていく中での心境を書いていますが、設問ごとにおける回答根拠や心境は以下を参照ください。

 中小企業診断士二次試験 再現答案 - 一生旅行生活してえ (hatenablog.com) 

事例1

与件文が長めで圧倒されましたが、与件を読みながら、なるほどA社の弱みをX社の買収によって補っていく狙いなのかなぁ、という大きなストーリーを把握することができました。去年の自分では目先の与件文読解に必死で、俯瞰して与件を読み解くことができていませんでした。

また、この買収に関する話については事前に整理した知識においてM&A・買収に関する内容を整理していたので、これを元に回答を記載していきました。

時間についてはちょっと足りず、残り3分で一部の回答を書き直そうとしましたが、リスクが高いのでこれはそのままにすることに。

昨年度は事例1が終わった時点でもう1つの意味でも終わった…と思いましたが、少なくとも今年は粘れている感触で、悪くない手応えでした。

事例2

開始して設問を読んだ時に「女子野球で人を増やしたい」という内容が目に入り、一体どんな与件なんだ…と思いました。与件の内容自体は今までの事例2とは趣向がやや違うものの、これもきちんと与件に沿ってやっていけば大丈夫そうな感触でした。

最新のプライシングについても、「割賦販売は除く」という注釈のおかげで?サブスクリプション(自分は文字数削減のため"月額定額制"と書きました)を思いつくことができました。「割賦販売がダメでもサブスクならOKだよね?」という発想です。この注釈が無かったら思い浮かばなかったかもしれません。

事例1~2が終わった時点で自分なりにはそこそこの感触を掴んでいました。少なくともボロボロだった昨年度よりはできている見込みでした。

事例3

これが曲者でした。例年と異なる趣旨の与件文で、設問も癖があり。ただ、LEC模試でも事例3が超曲者で苦戦した経験を踏まえると、まぁこういうこともあるのか、という気持ちになれました。ありがとうLEC模試。

ただ、そういう気持ちになれたからといって試験ができているかは別問題。とりあえず自分なりには埋めましたが正直自信はありません。ただ、二次試験は相対評価であるため、まわりの受験者もできていないでしょう。LEC模試も事例3がボロボロでしたが、結局他の受験生もボロボロだったため、結果的に平均点は上回っておりました。今回もそんな感じになるんだろうなだと思ったため、精神的には落ち着いていられました。

事例4

そして最後の砦です。やはり最後の科目となるとかなり疲れも溜まってきており、問題を解きながら少し頭がぼーっとしてしまうときもありました。CVPがやたら細かい計算させられて時間を取られる上に、計算過程は書かせず答えしか書けない解答欄。NPVも記述欄が激狭いという不親切仕様。

記述については色々自分が1年かけて蓄積した知識を元に書くことができたのが良かったです。例えば売り上げに応じた費用按分の妥当性説明については「あーこれABCについて問われているんだなあ」と思いましたし、OEMに関する内容についても事前に整理した知識をベースにそれをそのまままとめる感じで記載することができました。単純に解答することができたという以上に、こういったところで脳内リソースを必要以上に投下せず、極力頭を疲れさせないようにできたのが良かったと思いました。

また、NPVは第1問だけ解いて第2問は減価償却の計算だけにとどめました。これは深入りするとドツボにはまる予感がしたため、それよりも見直しに費やしたほうが良いと判断したためです。

そしてNPVの2問目を諦めた時点で20~30分ほど時間が余り、あとはひたすら見直しです。特にCVPの計算ミスが怖かったのでここは3回くらい計算しなおしました。そのおかげで2箇所計算ミスや問題文の見落としを見つけることができ一安心…。NPVに時間を費やしていたら確実にアウトだったでしょう。NPVで少しでも加点を稼ぐより、本来取れるはずのところで失点するほうがもったいないです。

というわけで事例4はNPVの2~3問目はほぼ空欄で提出となりましたが、これについてもどうせ回りはできてないだろうという気持ちでした。そういう意味では必死にNPVの勉強しなくてもよかったなぁというのは正直ありますが、急遽NPVが簡単になる可能性もあることを見越して良しとします。

試験後

昨年度は事例1が終わった時、そして事例4が終わったときには「あーこりゃだめだな」という感触でしたが、今回は「自分なりにはやりきったかな」という感触で終えることができました。もちろん、後から振り返って「この観点書けてなかったなぁ」とか「ここはもっとこう書きたかったなぁ」といった点はちらほらあるものの、去年の失敗を受けて改善し、今出せる力は出し切ったため、これで落ちても後悔はしないと言えるところまでできたと思います。

なお、事例4終了後はTwitterが阿鼻叫喚。去年も中々の阿鼻叫喚でしたが今年も同様な状態でした。ただ自分は上記の通り、結果はどうであれ自分なりには出し切ったので、そんなに落ち込むこともなく前向きなメンタルでいられることができました。

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試験結果

以下の通りオールA(各事例60点以上)で、総点数が273点でした。

当初目標としていた「事例1~3:60点、事例4:70点、この合計で250点を目指す。」に対してそれぞれ上乗せされて、結果的に目標より大幅に高い点数へ伸ばすことができました。事例4にいたっては、前年の42点から74点と、32点アップさせることができました!

オールAで270点以上ということはもちろん嬉しいのですが、それよりも当初目標を達成するために計画を立てて取り組んだ結果、その狙い通りの点数の取り方(事例4を得意科目にして引き上げる)ができたということが何よりも嬉しかったポイントでした。つまり、自分の立てた計画や、やってきたことが間違っていなかったんだなぁと、LEC模試の結果を見て嬉しかったのと同じ気持ちです。

なお、1年目は210点という不合格者の中においても高いとは言えない点数でしたが、今思うとかえってそれが良かったと思います。もし中途半端に230点くらい取れていたとしたら、「もう10点くらい伸ばせばいいだけか」という感じで、きちんと自己分析や徹底的に基礎を理解することを追求せずに試験に臨んで、結果また不合格になっていたと思います。

おまけ(各得点に対する人数)

二次試験の得点が正規分布すると仮定して、どの点数帯にどれほど人がひしめき合っているのかを算出してみました。個人や予備校で集計している平均点や標準を参考にした上で、平均点230点、標準偏差を11.3とすると240点以上が18.81%(※R5年度の合格率は18.9%)となるので、これで計算してみると以下の通りのグラフとなりました。人数は今年の受験者数(8,266人)で算出しています。

合格点である240点を赤色にしています。要はここが合格ラインというわけですが…ボリュームゾーンである220点~239点の間に合計5,153人ほどがひしめきあっています。(全体の約2/3)特にあともう一歩である235点~239点に着目すると以下のような人数分布になります。

235点…265人
236点…253人
237点…241人
238点…227人
239点…213人
合計…1,199人

なので、例えば235点を取ったら「あと5点伸ばせればいいや」と思うかもしれませんが、そこには約1,200人の競合相手がいることになります。特に中小企業診断士の二次試験は相対評価ということもあり、単に何問当たればOK、というものではありません。235点を取ったとしても「5点伸ばす」ではなく「1,200人を追い抜かす」が必要になり、偏差値でいうとおよそ5上げる必要があります。

※協会から各点数とその人数の数値が公表されているわけではないので、上記はあくまで色々前提をおいた上で推定した値です。

今後に向けて

実務補習があるのでそれを受けつつ、余力の範囲内で本業に関係ある資格は取っていきたいと思います。中小企業診断士レベルの高難度資格までは受ける予定は今のところ無いので、引き続きまったりとマイペースでやっていきたいと思います。

実務補習そのものは、今年から8日間のコースができる過渡期になるのと、今すぐ診断士になりたい!というわけではないので、焦らずに少し様子見して夏くらいから受けようと思います。