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【2020年】8月14日:イスラエル・UAEの国交樹立ってなんやねんという人へ

久しぶりの中東情勢ネタ。

 

イスラエルUAEの国交樹立、中東の構造転換映す

www.nikkei.com

最近中東情勢や中東関連のインプットをしていないので少々このあたりの記憶が曖昧になってきている。以下、記憶違いがあるかもしれないのはご了承。

歴史的なことを言えば、第一次世界大戦終了後にいわゆるイギリスの三枚舌外交によりシオニズム運動が起こって世界中のユダヤ人がイスラエルに集結してきたわけだが、それにより、もともとそのあたり(パレスチナ)に住んでいたアラブ系の人たちが追い出されることになってしまった。その後度重なる中東戦争においては、周りのアラブ諸国からすればイスラエルは敵対勢力となるので、イスラエルVS周辺のアラブ諸国という構図となり、イスラエルが不利な戦いになるかと思いきやむしろバカ勝ちしてしまい領土を広げるくらいに勢力を拡大してしまったりもした。そして今ではオスロ合意により、ヨルダン川西岸を境目としてイスラエルパレスチナを隔てているが、ここにはアメリカ・メキシコとの国境じゃないが、バカ高い壁を設置して国境を区切っている。今でもこのあたりの情勢は不安定で、銃撃音や爆撃音が聞こえてくるらしい。

そしてイスラエルは伝統的に親米、いや、アメリカが親イスラエルというべきか?まぁそこはどっちでも良いのだが、アメリカとイスラエルは密接な関係を従来から持っている。諸説あるのだが、よく言われているのがアメリカにおけるユダヤ人の影響力の大きさである。ユダヤ人の最も抱えている国は、イスラエルではなくアメリカであり、また金融業を始めとして主要な業界に対しての重要なポストを占めている人も多いため、必然的に、シオニズムを掲げるイスラエルを贔屓することになる。

ということなので、反米的な思想を持っている周辺国からするとなおのこと、イスラエルに対しても敵対心を抱く状況となっている。ただ、このあたりはやはりかなり複雑で、たとえばサウジアラビアなんかは軍事ではアメリカに頼っている部分もあるため、反米のイメージがあるものの実際はアメリカには頭が上がらない。この状況に不満を抱いてサウジアラビアを捨ててアフガニスタンを拠点として9.11の同時多発テロを引き起こしたのがあのウサマ・ビンラディンである。

今回、国交正常化のきっかけとしては共通敵としてイランがターゲットになったためということである。日本にいるとイランと言われても全くピンと来ない人が多いし、なんならイラクとイランと何が違うんだと思う人も多いだろうが、中東においてイランという国は他国に対してかなり特徴が際立っている。アケメネス朝ペルシャからの古い文化・伝統を持っており、話している言葉はアラビア語ではなくペルシャ語イスラム教だけどほとんどはシーア派、そして7000万人を超える人口と日本の4倍以上の面積を持つ国土。当然石油資源も持っているという、地政学的に考えればかなり強い力を持つ国だ。ちなみにサウジアラビアは同じくらいの面積であるものの人口は2000万人ほどしかおらず、移民も多い。先述の通り軍事も弱いのでアメリカに頼るし、石油はあるものの、それ以外の金になるような資源や輸出産業はろくにない。一部の凄まじい金持ち王族と、メッカ・メディナといったイスラム教における2大聖地を抱えていることで保っているようなもんである。

話はそれたが、そんなこんなでイランというのは中東エリアにおいてはかなりの大国で、中東エリアにおけるイニシアティブを取ろうとしており、そんでもって核開発だのなんだの推進していることもあって、はっきり言って周辺諸国からすれば完全なる驚異である。

そういった利害関係の中で、ペルシャではなく"アラブ"として協業していくために、イスラエルとの国交を正常化し、イランに立ち向かおうとしているようだ。そして敵の敵は味方というべきか、イランとアメリカはイラン革命を機に歴史的に仲が悪く、アラブ周辺国がある程度反米的な態度があるにせよ、共通敵イランをターゲットとするのであればアメリカの力を借りるのはやぶさかではないのだろう。なので、アメリカが仲介する形での国交正常化となっている。と思う。それが今回のニュース。

これまでイスラエルとアラブ周辺国の関係が修復することはかなり難しい状況であったものの、それを覆すほどイランの勢力が増してきたということなのだろうか。