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【事例IV】非支配株主持分についてわかりやすく整理

非支配株主持分について整理をする。連結会計そのものの詳細についてまで述べると膨大となるため、非支配株主持分に絞った内容で情報を整理する。

連結会計における利益の扱い

ある会社が株式を一定数取得した際、50%より多くの株式を保有する側が親会社、保有された側が子会社となる。これはつまり議決権を過半数保有することになり、親側が実質上の経営権を握れることになるため、親が子を支配している状態になっている。

また、連結会計において、親子間での損益は相殺して計上する必要があり、その際にはこの持分を考慮する必要がある。つまり、子会社が100万円の利益を出して、親会社が子会社株式を70%保有していた場合、親会社の連結会計として計上できる利益は70万円となり、30万円は残りの30%分の株主の割当となる。

この30万円をBS/PL上で表現するにあたって利用する考えが非支配株主持分となる。なお、逆に70万円については親会社株主に帰属する当期純利益となる。

貸借対照表上の記載

親会社の連結財務諸表において、資本であるため純資産科目に計上することになる。例えば以下のような感じ。

資本金 200
資本剰余金 100
利益剰余金 140
非支配株主持分 30
純資産合計 470

貸借対照表はあくまでストック情報として資産全体で何を持っているのか、を示すので、他の株主の保有分だからといって控除はしない。ただし、気をつけないといけないのは財務諸表を算出するときである。自己資本比率や負債比率を求める際にはこの非支配株主持分は控除する必要がある。例えば、負債合計が300とした場合の自己資本比率と負債比率は以下の通り。

自己資本比率=(470-30)÷(470+300)=420/770≒55%

負債比率=300÷(470-30)=300/440≒68%

補足だが、非支配株主持分だけではなく、新株予約権もあればそれも控除対象となる。新株予約権はあくまで予約権であり、まだ株式として実現していない状態のためである。

ちなみに東証が開示している決算短信の作成要項には以下の記載がある。

・総 資 産 = 資産合計
自己資本 = 純資産合計-株式引受権-新株予約権-非支配株主持分
自己資本比率 = (自己資本/総資産)×100 

https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/format/summary/tvdivq0000004wuh-att/nlsgeu0000029afq.pdf

損益計算書上の記載

貸借対照表とは異なり損益計算上では控除する必要がある。つまり、当期における利益というフロー情報においては、その利益が事実上どこに属するのかを明示化して、その会社としての正しい利益を算出する必要があるためである。例えば、法人税率を30%として、子会社の当期利益が100、親会社側の株式保有割合が70%とした場合、子会社利益の30%は他人分となるので、

売上 1,000
各種費用 950
税引前利益 50
支払い法人税 15
非支配株主利益 30 →控除対象★
当期純利益 5

ちなみに上記の例において、かろうじて当期純利益が5で黒字となっているが、先述の通り子会社利益のうち70を親会社分として合算しているため、もし連結会計でなければ△65の赤字となる。

 

参考サイト:

非支配株主に帰属する当期純利益とは?わかりやすく解説! | クラウド会計ソフト マネーフォワード