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令和5年 ITストラテジスト試験 合格答案公開

先日、令和5年度のITストラテジスト試験に合格しました。その際に所定の手続きを行えば自分の回答をIPAから取り寄せることができるという話を聞き、早速請求手続きを行いました。手元に届くまでなんやかんや1ヶ月くらいかかって無事到着したので、ここにて、令和5年ITストラテジスト試験における自分の合格答案を公開したいと思います。

午前はマークシートということもあって開示請求せず、午後1、午後2のみ開示請求をしました。午後1は88点と(かなり思いの外)高得点で、午後2はAの中でどのレベルなのかはわかりませんが、合格論文として今後の受験生の参考にしてもらえたらと思います。

なお、午後1について自分の解答がそれぞれ何点分の配点であったかは非公表となるため、以下のように黒塗りされております。

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また、合格に至るまでどういう勉強したかなどは以下に記載しています。

s-tkmt.hatenablog.com

問題文・過去問は以下ご参照ください。

問題冊子・配点割合・解答例・採点講評(2023年度、令和5年度) | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

午後1

午後1は問1と問3を選択しております。

問1

設問1 [A社が抱える課題〕 について, MAU 伸び率の鈍化によって影響を受ける IT 戦略の前提とは何か。 40字以内で答えよ。

会員との互恵関係を強化していくことで、A社経済圏を拡大していくという前提。(37文字)

設問2 [新しいポイント付与システム〕 について, A 社は, 新しいポイント付与システムでどのような仕組み上の課題に対処しようとしたか。 40字以内で答えよ。

所定の条件を満たせばA社サービス共通で使えるポイントを迅速に付与すること。(37文字)

※補足:課題について答える設問なので、記述は"問題"ではなく"課題"として記載。もしこれがITストラテジストでなければ"問題"を記載していたと思いますが、中小企業診断士の勉強を活用し、コンサル系資格という前提に立ち"課題"として記載しました。なお、問題と課題の違いについては以下参照。

《総論》「問題」と「課題」の違い│中小企業診断士 consul-circle

ちなみにIPA模範解答は"課題"ではなく"問題"として記載していました。問題と課題をわざわざ使い分けるのは中小企業診断士の二次試験だけにするのが良さそうです…。

https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/ps6vr70000010d6y-att/2023r05h_st_pm1_ans.pdf

設問3 [信頼度スコアによる監視の仕組み〕 について, A 社は,会員が安心して SNS を楽しめるようにするために, 信頼度スコアの仕組みと監視の仕組みとを連携させた,どのような仕組みを提供しようと考えたか。 35字以内で答えよ。

ガイドラインを遵守している会員に対して、信頼度スコアを高くする仕組み。(35文字)

設問4 [マーケットプレイスの構築〕 について答えよ。
(1) A 社は,本文中の下線 1の仕組みを活用することで, 会員のどのようなニーズに応えることを狙ったのか。 35字以内で答えよ。

貢献活動に対してさらに充実した特典を獲得できるニーズ。(27文字)

(2) A社は,本文中の下線 1の仕組みを用いて, 会員間の取引や、会員への特 典提供以外のどのような仕組みにも活用しようと計画しているか。 35字以内 で答えよ。

二次流通においても著作者に収益の一部が自動的に還元される仕組み。(32文字)

(3) A社は,可視化した趣味し好の傾向のデータを, 提携企業へのどのような 事業で生かそうと考えたか。 30字以内で答えよ。

マーケティングに関するデータ提供サービス事業(22文字)

問3

設問 1 [会員アンケートの結果〕 について, M社が新たなビジネスプロセスを構築す
ることによって,どのような目的を達成しようとしたか。 15字以内で答えよ。

M社の経営状況を改善すること。(15文字)

設問2 [新たなビジネスプロセスと実現策〕 について, 新たなビジネスプロセスを実 現するために活用すべき M社の強みを, 商品開発面と生産面からそれぞれ 30字 以内で答えよ。

商品開発:
若手デザイナーが流行を的確に捉えた商品を開発できること。(28文字)

生産:
短納期で多品種少量生産に対応が可能であること。(24文字)

設問3 [デジタル活用施策の概要〕 について答えよ。
(1) 候補デザインに対して, より多くの投票や感想を集めるための施策を30字
以内で答えよ。

投票や感想の提供を行った会員にはポイントを付与する施策(28文字)

(2) データ分析基盤において, 本文中の下線アの機能を実装した目的を35字以 内で答えよ。

他人と異なるファッションに魅力を感じるというニーズに応えるため。(27文字)

設問4 [CTOからのコメント〕 について答えよ。
(1) Y氏の指摘 1について, Y氏が, “施策をある期間実施して投資効果の検証 を行うこと。” と指摘した理由を 20字以内で答えよ。

M社にとって大きな投資となるため。(17文字)

(2) Y氏の指摘 2について, X氏が, モバイルアプリに機能を追加することによ って応えられると考えた会員のニーズは何か。 35 字以内で答えよ。

ECサイト上で購入する商品が想像したイメージ通りかを確認するニーズ。(34文字)

(3) Y氏の指摘2について, 買い物カゴの利用方法に関連して, 会員にどのよ うなメッセージを通知するべきか。 30字以内で答えよ。

在庫データを元に、品切れしそうな商品の情報を通知する。(27文字)

午後2

午後2は問1を選択しました。名称は「証券売買受発注システムの電子データ連携構想の策定」です。

問1-設問ア

設問ア あなたが携わった IT システムの改修要望の分析において、 事業概要, 分析の 対象となる業務と IT システム,利用部門からの改修要望, 利用部門の問題認識 について, 事業特性とともに800字以内で述べよ。

第一章 自分が携わったITシステムの改修要望分析における、事業概要、分析対象の業務とITシステム、利用部門からの改修要望と問題認識及び事業特性について

1-1 事業概要と事業特性について

 A社は中堅の証券会社であり、従業員数を150名ほど抱えている。昨今、マネーロンダリングに関する規制や、監査の強化にあたり、A社内での経理処理の正確性や堅ろう性がますます重要視されている。A社経理処理では、株式などの売買情報や、それにかかわる手数料などの入出金情報をシステムに登録している。事業特性としては、これらの取引情報が適切であるか、厳密なチェックが入る対象となるため、入力の取りこぼしや金額のずれが許されない、極めて確実性が問われることとなる業務となっている。

1-2 分析対象の業務とITシステム、及び利用部門からの改修要望と問題意識について

 今回、改修要望が上がっているのは法人顧客B社からの売買注文を登録する取引入力システムである。このシステムを用いてB社からFAXで送られてくる売買情報をA社経理部にて読み取り、手入力で取引入力システムへ登録している。しかし、この手入力の負荷が高く、また誤入力をしてしまった時には大きな手戻りとなり、フォローのために大幅に残業を強いられるという問題があった。このため、利用部門からはFAXをOCRで読み取り、データ化した上で取引入力システムに登録できるよう、改善要望が上がることとなった。A社のITストラテジストである私は、この改修要望を踏まえて、当該システムのあるべき姿を見直すこととした。(662文字)

問1-設問イ

問イ設問アで述べた改修要望に対して, あなたはどのような情報を収集し,どのよ うに分析し,どのような問題の真因を特定したか。 工夫したこととともに,800 字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

第二章 改修要望に対して収集した情報、及びそれをどのように分析し、どのような問題の真因を特定したか

2-1 収集した情報について

 私は改修要望の対応をするにあたり、現状の業務フローにおける課題点を洗い出すため、当該業務を実施している現場担当者一人一人にヒアリングをおこなった。特に注意して確認したポイントとしては、誤入力などのイレギュラーケースについて、どういった事例が過去に発生したか、そのときはどのようにフォローをしたのか、なぜそのような誤入力をしてしまったのか、といった原因について、事細かに確認をした。確認した内容についてはそれぞれ分類でカテゴリを整理し、どういったカテゴリにおいてイレギュラーケースが頻発するかをABC分析した。また、これに加えて、私自身が現場に入り込み、当該業務を目視で観察することで、入力に当たり具合的にどれほどの工数を費やしているのか、特にイレギュラーケースが発生した際のフォローではどういうことをしていて、どの程度の工数負荷がかかっているのかを実地で調査を行った。その他、工夫した点としては、法人顧客であるB社側にも運用改善できる余地があると考え、B社の現場担当者やIT担当者にもヒアリング調査を実施した。

2-2 情報の分析結果について

 まず、ヒアリング結果を元にしたABC分析の結果として、最も多かった誤入力等のイレギュラーケースの要因としては、FAXの文字つぶれによる誤認で全体の38%、次が担当者の操作ミスで全体の27%、その次が、B社側のミスによる手戻りで全体の20%であった。また、入力に際しての負荷については、通常時は1日あたり0.5人日ほどの工数となっていたが、イレギュラーケースが発生したときは、約2人日ほど費やしてしまうことが判明した。また、イレギュラーケースは月3回ほど定常的に発生しており、頻度は決して低くはなかった。合わせて、B社においてもイレギュラーケース発生時は大きな工数を割いており、改善していきたいという状況であることが判明した。

2-3 特定した問題の真因について

 以上を踏まえて、今回の問題点としてはB社とA社で電子的なデータ連携が行えていないことと考えた。ABC分析結果での「FAXでの文字つぶれ」や「B社側のミス」についてはOCRを用いた改修では根本解決に至らず、またB社含めた業務全体で見たときの最適解とするには、そもそもFAXを用いた運用をから見直すべきだと考えたためである。(1025文字)

問1-設問ウ

設問ウ 設問イで述べた問題の真因について, あなたは利用部門や関係部門とともに, どのように協議し,どのような対応方針を立案したか。 600字以上1,200字以内 で具体的に述べよ。

第三章 問題の真因について利用部門や関係部門とどのように協議をし、どのような対応方針を立案したか

3-1 利用部門や関係部門との協議について

 私は今回の分析結果をふまえて、A社とB者での売買受発注における電子データ連携システムの構想と、A社利用部門、IT部門、そしてB社利用部門、B社IT部門と協議した。協議にあたっては、FAXを前提とした運用では改善に限界があること、A社B社双方においてメリットを見いだせる案とすべきことを主張し、分析結果をグラフで図示することで、わかりやすく提示する工夫をした。また、投資効果として、現在の運用で投下している実工数が削減されること、B社にもメリットがある話なので開発コストはA社と折半することを前提とした場合、システム化後約3年で投資回収ができることを、中期計画の経営会議において、経営陣へと説明した。

3-2 立案した対応方針について

 売買受発注における電子データ連携システムの実現においては、A社、B社双方にてシステム開発が発生するため、A社とB社での合同プロジェクトとして計画を進めることとした。A社、B社それぞれで当プロジェクトのメンバをアサインし、実装方式や、互いのシステムで連携するテスト方針などを協議し、プロジェクトのマスタスケジュールに落とし込み、両者で共有することとした。スケジュールの作成にあたっては、両者間での要件をすり合わせ、必要となる機能を洗い出し、それぞれの機能追加における必要工数を見積もった上で反映することで精緻化を行った。このプロジェクト計画に基づき、売買受発注における電子データ連携システムの開発を進めていくこととなった。(696文字)

開示請求の方法

開示請求の方法については以下のサイトを参考にしました。

情報処理技術者試験の答案を開示請求してコピーをもらう方法 | wktk's blog

情報処理技術者試験の開示請求をしてみた話 - 徒然

基本的には上記サイトを元に手続きを行えば問題ないのですが、1点だけ注意事項があります。書類の送付先が当時と変わった?ようで、自分は以下の宛先に送付して対応しました。

独立行政法人情報処理推進機構 
総務部個人情報保護グループ

〒113-6591
東京都文京区本駒込 2-28-8
文京グリーンコートセンターオフィス

上記宛先は以下に記載があります。

https://www.ipa.go.jp/privacy/hjuojm000000f2fl-att/000001367.pdf

※もしくは以下ページの「個人情報ファイル簿(PDF:170 KB)」を参照

個人情報に関する開示請求 | 個人情報保護について | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構