一生旅行生活してえ

最近は主に資格取得関連のメモとか勉強法とかを整理

ITストラテジストに受かったので勉強法など振り返る

情報処理技術者試験ITストラテジストに合格しました。久しぶりの情報処理ということもありましたが、なんとか無事合格できて良かったです。

振り返りを兼ねて、どういう勉強をしてきたかなど書いていきたいと思います。

今回は勉強時間は午前I対策込みで50時間ほどでした。

はじめに

2023年の1月、中小企業診断士の二次試験に落ちてしまったことうけ、次年度に向けてリベンジ…と言いたいところであったのですが、さすがに1年も間が空くと中だるみしてしまいそうなので、間に手頃な試験を挟むことにしました。

対象としたのはITストラテジスト情報処理技術者試験の中でも最も難しいと言われており、これが手頃な試験なのかというのはありますが、とはいえ、中小企業診断士ほどガッツリやらないと受からないという資格ではなく、かつ中小企業診断士とも学習内容が被るということもあるので、これをターゲットとすることとしました。

ところで、資格偏差値みたいなサイトだと高度情報処理技術者試験のレベルがやたら高かったりしますが、ITストラテジストにせよ過去に自分が受けたプロジェクトマネージャーにせよ、論述系の高度情報は知識とか計算よりも国語力が問われることになるので、一定の社会人経験があって国語力があればそこまで勉強をしなくても取ることが可能だと思っています。なんならITが本職じゃない人でも取れると思います。

例えば士業だと数百時間~数千時間のレベルで勉強が必要だったりしますが、この手の高度情報処理技術者試験は数十時間のオーダーで可能です。そういった意味では難易度はマシで、中小企業診断士と比べれば手頃な試験と言えるでしょう…。

計画

試験は2023年4月となります。過去の経験から、3ヶ月くらいあればいけるかなということで、ざっくり以下のようなスケジュール感で進めることとしました。

1月:午前I、午前IIの過去問を確認。軽く解きつつ、ざっくりどれくらい取れそうか予め見極めをつける。

2月:午後I、午後IIの過去問演習に着手。週次で土日のどちらかで午後I、午後IIを解くペース。

3~4月:引き続き午後I、午後IIの過去問演習。最後の方では午後IIを手書きで解くリハーサルを2回ほど実施。空いた時間や移動時間などで午前問題を過去問サイトでちまちま解いたり、用語などを調べたりして知識を補充。

なお、情報処理技術者試験自体が久しぶりで午前I免除の期限が切れているため、今回は午前Iから受けることになります。

参考書・活用サイト

参考書

使った参考書はいつもの以下です。過去問解説が10年分ほどあるため、過去問からアプローチして傾向と対策をつかむスタイルの自分にはこれが一番です。午後Iと午後IIはひたすらこれをベースに演習しました。

また、午前Iの知識思い出しとして中古で応用情報の参考書も買ったりはしたのですが、午前Iレベルの知識であればネットの検索で十分だったため、結局ほぼ読まずに終わりました。さよならブックオフで費やした500円。

活用サイト

午前I、午前IIの勉強においては、以下の過去問サイトを活用しています。

午前I:過去問道場

応用情報技術者過去問道場|応用情報技術者試験.com

FP試験で超お世話になった過去問道場ですが、この度午前Iの勉強においても活用させていただきました。午前Iの問題は応用情報試験の午前問題から抜粋されるため、ここである程度過去問を回して知識を補えば十分です。

午前II:情報処理技術者試験の勉強(過去問題)をやり直し

情報処理技術者試験の勉強(過去問題)をやり直し −ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者、応用情報技術者、情報処理安全確保支援士・高度試験の過去問題の解説−

自分がかつて若かりし頃、過去問道場が無かった頃はよくこのサイトで情報処理試験の過去問演習をやっていました。今回、午前IIについては過去問道場が無いのでこのサイトで過去問演習です。誤字が多いしスマホだと見づらいのですが贅沢は言えません。

戦略

とりあえず軽く過去問をやった感触から以下のように戦略を検討しました。

午前I

まず案外これが強敵でした。というのも情報処理試験が超久しぶりでなおかつアルゴリズムとかハードウェアの話は実務でほとんど触れないので、すっかり知識が抜け落ちていました。メモリインタリーブってなんだっけ・・・ページングってどういう仕組みだっけ・・・16進数の変換ってどうやるんだっけ・・・

とりあえず過去問を初見で解いて60%はなんとか超えたのですが、前半のこの手の基礎理論的な分野がボロボロで、後半のDBやマネジメント等の業務で触れているor国語の問題で解ける分野でカバーしている感じだったので結構リスキーでした。そのため、前半で出題される部分を中心に復習することとしました。

午前II

これは中小企業診断士をもう少し簡単にした感じなので6割は確実に取れそうでした。情報処理試験あるあるの過去問使いまわしもそれなりにあるので、忘れない程度に数年分の過去問を回せば大丈夫そうな感触でした。

午後I

これはなぜか平成と令和で問題の難易度がガラっと変わっている印象を受けました。令和は比較的に簡単というか、きちんと問題文を読み解けば答えにたどり着けるのですが、平成時代の問題は問題文から読み解きづらかったり、一癖があったりする感じでした。引き続き令和のレベルであれば普通に解けそうですが、油断はできないので数年分過去問まわしていくこととしました。

あと、理由は不明ですが、例年問2だけが難しいという謎現象に見舞われたので、本番では問2は避ける方針としました。

午後II

これはもうネタを用意して書いていくしか無いので、PMの時と同じように何本か過去問をやってそれを読み込んでネタをストックして本番に望む作戦としました。

経過

1月

中小企業診断士の二次試験の合格発表があり見事不合格。

「はじめに」で述べた通りこれのリベンジは1年後となってしまうため、適度に中小企業診断士と関わりのあるITストラテジストを受けることで、ある程度の試験の感覚を維持することにしました。

とりあえず午前I、午前IIの午前の過去問から軽く取り組み感触を確認。両方とも初見でも60%は取れそうなので油断しなければ大丈夫かなという感じでした。ただ、午前Iについては案外基礎理論系の分野からの出題が多く、このあたりをすっかり忘れてしまった自分にとっては油断していると足元をすくわれてしまうおそれがあったので、そこだけは用心するようにしました。

2月

午後I、午後IIに着手し始めます。とりあえず時間を気にせず解くようにしていったのですが、午後Iが案外簡単で拍子抜け。やはり中小企業診断士の二次試験はキツイ試験だったなぁとしみじみ思うなど。

午後IIはとりあえず書けそうな過去問からやってみました。自分のオジリナルのストーリーをベースにしつつも、参考書の模範解答も見ながら肉付けすることでサンプル論文をかきあげました。書きあげたサンプル論文は電車の移動中などで読み返したりして、論述の方向性やネタの定着化を図りました。

ざっくりこの頃は土日のどちらかで午後I、午後IIを取り組むような進め方で取り組んでいました。平日は通勤の電車移動で午前問題の用語確認くらいで、帰宅後にガッツリ午後の問題を解くということはしていませんでした。

また、この時期であればまだ焦るときでもないので、久しぶりの海外旅行でリフレッシュ!最高ですな~

34歳会社員 久しぶりの海外旅行1日目~台湾に戻ってきたけど台湾は戻ってきてない件~ - 一生旅行生活してえ

3月

試験まで1ヶ月ほどとなったため、本腰を入れ始めます。といっても特に変わったことはせず、午前は過去問演習に加えて用語や知識の整理、午後Iは過去問演習、午後IIは論文ストックの作成です。

午前対策の知識整理については、ブログでも軽くまとめ記事を作って電車で読んだりしました。すごいボリュームに見えるかもしれませんが、ほとんど他のサイトのコピペなので、作成に費やした工数は2~3時間くらいです。

情報処理用語集整理 - 一生旅行生活してえ

ただ、後半戦になると用語集に記載するのもめんどくさくなってきたので、不明用語だけピックアップしてGoogle Keepにメモしておいて、通勤電車の中で1つ1つググって調べる方式にしました。ちなみに最終的にGoogle Keepにメモった用語は全部で140個ほど。1つ1つの用語についてきちんと説明できる必要はなく、選択問題が解ければいいレベルなので「ふ~ん」って感じで調べています。

午後Iの過去問演習にあたっては最新のものから(令和4年→令和3年→…)解いていったため、この時期には平成の頃の問題を解いていました…が、この平成時代の問題が難しい!令和になってからの問題は、本文中のどこかに必ずヒントや答えとなるキーワードがあり、答えとなる根拠が明確でした。が、平成時代の午後Iは本文から読み取れない、読み取れたとしても根拠が薄くかなり深読みしないと厳しいといった問題がザラでした。問題を解いている感触では6割いくかいかないか、という感じです。

午後IIについては引き続きストックを増やす作業です。週1くらいで論文書いていたので、3月の終わり頃には7~8本くらい溜まっていました。ここまでやらなくてもいいかなという感じではありますが…。これをこれまた電車の中で軽く読み返したりしていました。また、リハーサルとして、3月の終わり頃には手書きで午後IIを書き切る訓練もしておきました。

4月

試験間近になってきたので、ラストスパートです。といっても、そこまでガチガチに追い込んではなく、今までのペースより少しギアを上げたくらいです。具体的には平日は通勤電車の中での用語確認で今までとあんまり変わらず。土日で午後I、午後IIだけではなく、午前Iの基礎理論分野も(計算問題系を電車でやるのはキツイので…)きちんとやるようにしました。下手するとこの時期は午前Iに一番時間を費やしていたかもしれません。

そして試験前日の土曜日は、午後Iの過去問を2問解いて、午前Iの演習を1~2時間くらいやって、午後IIは今まで書いた論文のおさらいを軽くすると共に、論文の下書きを2本書きました。1本あたり30~40分くらいで、論文のストーリーの骨子を書ける感覚を最後につかんでおきました。ここで書いたネタはDXとかAIとかそんなのが全然出てこない平成29年頃のものでしたが、鉄板として用意していたのとは異なるネタで書け、これがまた使い勝手が良さそうな感じでストックができました。

以上、1月~4月にかけて費やした勉強時間は、Studyingで測った時間だとちょうど50時間ほどでした。おそらくこのうち20時間くらいは午前I対策でしょう…。

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試験当日

試験会場はわりと近場だったので行きやすかったです。午前Iからなので、朝から会場入りしました。教室内は30人くらい入る広さで、そのうち出席している人は15人ほど…。なるほど午前I免除でこのあと入ってくるのですねと思ったのですが、午前IIになってもこの人数は変わっていませんでした。ほとんどが午前Iからチャレンジというのも珍しいですね。

さて肝心の試験について、午前Iは油断せず復習してきたので、解けるべき問題はきちんと解けた印象でした。さすがに6割は超えているかなという感覚です。試験後の休憩時間でいくつか気になる問題を確認したところ、それなりに当たっていたので一安心。

午前IIについても同様で、6割はさすがに大丈夫かなという感覚。これもまた休憩時間にいくつか気になる問題を確認し、それなりに当たっていたので一安心。

次に迎えた午後I。とりあえず軽く問題を見た上で、問1,問3を選択しました。解いていくうちに確信していく試験の難易度…これは令和の難易度だ!というわけで、2~3問合っているか怪しい問題はあったものの、6割なら超えているんじゃないかなという感触を得ることができました。

そして最後は午後II…例年はAIだのDXだのこの手の話が1問定番として入っていました…が、今回はAIもDXもかすっていない!システム改修要望における分析と対応、個別システム化計画におけるシステムリスクの対応…なんか、ITストラテジストじゃなくても書けるような内容な気がするのですが、設問としてこう出されてしまっている以上やるしかありません。

まずどのストックのネタを使おうかというところからですが、ここで前日に下書きだけ書いてみたネタがちょうど使えそうだったので、これを利用することに!ちなみに軽くどんなネタかというと、「受発注業務をFAXでやっていて超非効率なので、電子的にやり取りできるようにしたい!」という感じの内容です。

とりあえず論文に落とし込むために下書きをばーっと書きました。PMの時はほとんど下書きしなかったのですが、ストラテジストでは30分ほどかけてガッツリ下書きに費やしました。ちょっと時間費やしすぎましたね…。

汚い字ですが、ざっくり内容としては以下のとおりです。

第1章

会社概要:A社は証券会社で、バックオフィス業務として受発注の情報を自社システムに登録している。

事業特性:昨今の規制強化などで正確性が問われている業務で、1円たりともミスができない。

対象業務とシステム:法人顧客B社からの売買発注をFAXで受領しシステムへ手入力する業務。

問題意識と改善点:誤入力が発生すると大きな手戻りが発生。FAXの内容をOCRで読み取って登録できるようにしたい。

第2章

収集した情報:現場メンバにひたすらヒアリングして業務の問題点を確認。あわせて現場に入り込んで業務負荷として平常時の工数とイレギュラーが発生したときの手戻り工数を確認。合わせてB社サイドにもヒアリングを実施。

問題の真因:ヒアリング結果を分析したところ、そもそもB社側のミスによる手戻りも多かったりで、OCR導入では根本解決にならない。B社側もなんとかしたいと考えており、全体最適を考えるとそもそもFAXやめたほうがいいんじゃねっていう。

第3章

協議内容:分析結果を踏まえて、電子的に受発注データをやり取りするシステム構築したほうがいいんじゃねということをA社、B社の現場担当やIT担当交えて検討。協議にあたっては分析結果を共有して説得性をもたせる。あわせて経営層にはこのシステム構築においては工数削減とB社との開発費折半により3年でペイできることを説明。

対応方針:A社・B社合同プロジェクトとして推進。双方で要件を整理した結果をスケジュール・プロジェクト計画に落とし込んで推進することとした。

こんな感じのストーリーでなんとか所定の文字数を満たして書き切りました。試験時間ギリギリまで費やしています。

第2章の設問にて、「システム改修要望についてどのように情報収集し、どのように分析したか」ということを書くような指示があったのですが、これについては、イケてるシステムをつかってうまくカッコよくやるとかではなく、泥臭くヒアリング&現場で入って視察という現場主義を貫きました。でもこれがこの試験において、本業がITじゃなくても受かることができるという理由の1つでもあると思います。実際現場でもこういうのやるとき必要なのは、イケてるシステムを活用するより泥臭く動くことだったりするのではないかと。

また、今回の論文に記載した「そもそもFAXなんて使うのやめたほうがいいんじゃね」という発想も、別にIT詳しくなくても思いつくものかと思います。つまり、この試験で問われているのは別に最先端の技術やトリッキーな発想では無いということです。

第3章は字数確保が難しかったので、最後の方は取ってつけたようにプロジェクトの要件定義・プロジェクト計画の話まで盛り込んで字数を稼ぎました。もはやこの領域になるとITストラテジストというよりはPMやシステムアーキテクトな気がしますが…。(余談ですがここ最近まさにこの要件定義~プロジェクト計画の工程をやったばかりだったので、このときのことを思い出しながら加筆していきました。)

想定外の設問で、なおかつ自分が書ききった内容がどこまで評価されるのかはわかりませんが、苦しい中では善戦したと思って試験会場を後にしました。

結果

以下の通り無事合格しました!

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午後1が思ったよりかなり点数が高かったです。手応えは悪くなかったものの、ここまで伸びるとは…。逆に言うと、勉強時間減らしても大丈夫だったのでは?とも思ってしまいますが、受かればなんでも良いです。

また、情報開示請求をすることで、自分の書いた答案のコピーをもらえるということです。午後I、午後IIにおいてどういう回答をしたのか、今後、参考として掲載しようかと思います。

2023/08/19:追記

答案が届いたので、以下の記事にて公開しています。

s-tkmt.hatenablog.com

 

今後に向けて…

中小企業診断士の二次試験が10月26日に控えているので、それに向けて地道にやっていこうと思います。事例IVは合間を縫ってちょくちょくやっていたので、ここから本腰入れて推進していきます。仕事も今年度は大規模プロジェクトのPMを担当しているためそれなりに忙しいのですが、なんとか土日は確保して進めていきたいと思っています。