一生旅行生活してえ

旅行とか写真とか。たまには自己研鑽。一生旅行生活してえ。

証券アナリスト用語集

証券アナリスト試験にむけた用語集をまとめてみたいと思う。普段勉強にあたってノートにまとめたり、単語カード等を用いた用語集を作ることはしないのだが、主に以下の理由より証券アナリスト二次試験に向けては整理していきたいと思う。

  • 二次試験においては用語の説明を問う記述式の設問が多くあるため
  • ものによっては内容が専門的すぎでググったり本を読んでも分かりづらく、自分なりに噛み砕いた用語集がほしいため
  • 手書きで書くのは作業負荷が高く、あとから修正・追記などをするにあたってはデジタル形式の方が容易なため
  • 数式をローカルでWordやExcelで編集するよりブログ上でTeX形式で編集したいため

基本的に自分の勉強のために整理したものを公開しているに過ぎず、網羅性や厳密性を担保したものではないのでそのあたりはご了承。また、試験に向けて適宜加筆をしていくので、不定期的に更新を入れていく予定。

用語説明のおおよそ8割以上を引用した場合は、参考サイトも合わせて提示する。

 

あ~

アセット・アロケーション

アセットは資産、アロケーションは配分を意味するので、その名の通り、ポートフォリオの資産配分のことを表す。資産運用において、その時の情勢やどういう運用をしていきたいかで資産の配分をどう変更していくかを決定する。とりわけ、中長期的な観点でどの資産にどれほど配分する投資政策のことをポリシーアセットアロケーションという。

イールドカーブの決定要因(利回りの期間構造)

イールドカーブの形を決定する要因として、主に以下の考えがある。

1.純粋期待仮説

長期金利は将来の(短期)期待金利で決定されるとする説。具体的に1年債と2年債があった場合に、「現時点の2年債の利回りは、現時点で1年債に投資し、さらに1年後に1年債に再投資した場合の平均利回りと等しくなる。」ここで、"1年後に再投資する1年債"の利回りは期待利回り(フォワードレート)である。数式で表すと以下の通り。

(1+r_{0,2})^2 =(1+r_{0,1})(1+f_{1,1}) \\ \Leftrightarrow r_{0,2} = \sqrt{(1+r_{0,1})(1+f_{1,1}) } -1

例えば、1年債のスポットレートが1%、1年後の1年フォワードレートが2%であれば、上記より幾何平均を算出すると、2年債スポットレートは約1.5%になる。つまり、イールドカーブは右上がりになる。 当然、1年後の1年フォワードレートが0.5%等、1年債のスポットレートより低ければ、その幾何平均である2年債スポットレートも1%より低くなるので、この場合はイールドカーブが右下がり(逆イールド)になる。この考えに基けばイールドカーブが右下がりになるのは高金利政策による金融引締が起きた時であろう。

※以下より引用・改変
債券取引の知識<第3版> (日経文庫)

2.流動性プレミアム仮説

上記純粋期待仮説に基づけば、景気循環に応じて交互に順イールドと逆イールドが発生するはずであるが、現実的には順イールドであることが圧倒的に多い。その説明としてこの流動性プレミアム仮説がある。

第1に、投資期間が長くなるほど、将来の金利の変動によるリスクは大きくなることから、長期債券は短期債券に比べて、価格変動リスクが大きくなる。第2に、長期債券は償還までの期間が長く、流動性リスクが大きくなる。長期債券を市場で売却することも可能であるが、買い手を見つけることが難しい場合や、不利な条件で取引を行わなければならない場合があるため、流動性を求める投資家は、このようなリスクを回避しようとする。流動性プレミアムとは、このような価格変動リスクや流動性リスクに対して発生するプレミアムのことである。

引用元:流動性プレミアム仮説 | みずほ証券 ファイナンス用語集

3.市場分断仮説

 単純に需要と供給の関係からイールドカーブが決まるという説。つまり短期債と長期債があるとき、短期債のほうが需要が高く、長期債のほうが需要が低ければ、必然的に順イールドになるであろう。(需要が高い→価格が高い→利回りが低い。需要が低い場合は逆。) 前提としては、短期債と長期債での裁定取引が発生しないことである。短期債運用者は短期債のみに投資、長期債運用者は長期債のみ投資することで、純粋な長短の需給が確定するため、この説の優位性が高まることになる。

一般的に、長期債のみを運用するような場合というのは、生命保険などその長期間の運用を前提とし、また資金調達側も長期に渡る債務を抱えることになるため、結果的に需要は低い傾向となるであろう。

4.特定期間選好仮説

 投資家が短期債を選好する場合、この投資家は長期債にかかわるリスクや取引コスト以上の十分なプレミアムを得られない限り、長期債には投資しない。この場合、イールド・カーブは順イールドとなる。反対に投資家が長期債を選好する場合、この投資家は短期債にかかわるリスクや取引コスト以上の十分なプレミアムを得られない限り、短期債には投資しない。この場合、イールド・カーブは逆イールドとなる。

この仮説は、純粋期待仮説と流動性プレミアム仮説、市場分断仮説を組み合わせた仮説である。

引用元:特定期間選好仮説 | みずほ証券 ファイナンス用語集

 

インデックスファンドの運用手法

以下、大きく3つの手法がある。

1.完全法

 ベンチマークと同等の銘柄の比率をファンド内で再現する。そのため、TOPIXのように銘柄数が多い(1700ほど)場合、ファンド内においても同様に1700銘柄相当を保有し、それに加え、TOPIXと同じ構成割合となるように買付を行う必要がある。(例えばTOPIXにおけるトヨタ自動車の構成割合が3.5%のとき、ファンドの運用資金が100億円であれば、3.5億分がトヨタ自動車銘柄となるように保有割合を調整する必要がある。)

 上記のため、ベンチマークとの連動性が極めて高い手法となるが、全銘柄を揃えるだけ資金力が必要なのと、売買頻度も高くなるため、運用コストが高くなってしまう欠点がある。

2.層化抽出法
 数多くある銘柄群をある基準に基づいていくつかのグループ分け(層化)を行い、各グループから銘柄を選定する方法。時価総額の大小や業種別などにグルーピングして、そのグループから銘柄をピックアップすることでベンチマークに沿った値動きをさせる。このため、完全法と異なり、すべての銘柄を保有する必要はなく、取引銘柄が少ない分売買コストも低く抑えられる。流動性の低い銘柄を無理に保有する必要もない。

3.最適化法
統計学的なアプローチにより、1つ1つの銘柄の標準偏差や期待リターン等をもとにトラッキングエラーが最小となるように構成比を調整する方法。層化抽出法と同じく、ベンチマークに組み入れられている全銘柄を購入することなくファンドを構成することが可能である。

インプリメンテーション・ショートフォール法(IS法)

株式売買執行におけるコストを以下の観点で分析する方法。

1.タイミングコスト

投資判断から注文執行までの時間経過に伴う価格変動コスト。
(買い注文:執行時株価-参照価格、売り注文:参照価格-執行時株価)
ファンドマネージャーが発注指示を出すにあたって、即売買が成立するわけではなく、トレーダーへの指示、コンプライアンスチェック、セルサイドトレーダー(証券会社)への発注指示、セルサイドの注文執行、といったフローを通じて執行に至る。ここに至るまでに価格が変動することで生じるコストがタイミングコストとなる。

2.スプレッドコスト

執行時の株価と最良気配値(成約可能な価格)の格差。
(買い注文:最良売気配値-執行時株価、売り注文:執行時株価ー最良買気配値)
最良の気配値で都合よく約定が成立するとは限らないので、その差額分で発生するコストがスプレッドコスト。

3.マーケットインパク

最良気配で執行可能な株数よりも多い成行注文を自ら出すことによって、実際の約定価格が最良気配よりも不利な水準となること。
(買い注文:平均約定価格-最良売気配値、売り注文:裁量買気配値-平均約定価格)
運用会社における売買執行は個人の売買とは比べ物にならない量の取引が発生する。そのため、一気に売買を執行することで市場価格の形成に大きな影響が出てしまい、その結果不利な買付価格(売付価格)で約定することで生じるコスト。例えば大量の株を一気に売ると過剰供給になって価格が下がり、それにより売付価格も下がってしまうので、平均売付単価は下がる(不利になる)。
※セルサイドトレーダーにて量や執行タイミングを分割して発注するような工夫をして、なるべつ市場へのインパクトを極小化するようにしてはいる。

4.機会コスト

予定数量を約定できなかったことによって発注するコスト。
(買い注文:評価時点株価-執行時株価、売り注文:執行時株価ー評価時点株価)
注文をしてもそれが都合よくすべて約上に至るとは限らない。そのため、約定できず残存してしまった株をまた後日売買するとなったときに、その時点での価格が当初より不利な価格になった場合のコストが機会コスト。

エージェンシー問題

株式会社においては所有と経営の分離の原則のもと、所有者(投資家・株主)と経営者が分離している。プリンシパル(依頼人)が株主で、エージェンシー(代理人)が経営者であり、その会社の所有者である株主からの依頼で経営者は企業経営を行う。

これによる、所有者と経営者それぞれの立場での利害が対立することをエージェンシー問題といい、このエージェンシー問題が発生することで生じる損失をエージェンシーコストという。具体的には株主は企業が生み出した利益を配当として受け取る権利を有するが、経営者は必ずしも企業利益に結びつかない投資(例えば自社ビルを必要以上に豪華にしてしまうなど)を行うことで、株主への還元につながらない投資活動をしてしまうことなどである。その逆で、変に株主に気を使うあまり、必要以上に配当を出してしまうことも企業側から見たエージェンシーコストであろう。

これを解消するために、株主と企業が直接的であれ間接的(株主総会や議決権行使等)であれ建設的な対話(エンゲージメントという)を行い、企業の中長期的成長や企業価値向上を目指していくべきである。

また、このエンゲージメントを通じて、中長期的な投資リターンを拡大していく責任を果たすことを「スチュワードシップ責任」と言う。そして会社の所有者である株主の利益を最大限に実現できているかどうかを管理監督するシステムのことを「コーポレート・ガバナンス」という。

オプション価格の変動要因

まとめると以下の通り。イベントについて、下落であれば当然コール価格・プット価格は記載の反対の動きとなる。(ボラティリティの下落であれば、コール・プット価格は下落)

項番 イベント コール価格 プット価格
1 原資産価格の上昇 上昇 下落
2 ボラティリティの上昇 上昇 上昇
3 金利水準の上昇 上昇 下落
4 時間の経過 下落 下落

 

これらはブラック・ショールズ方程式から導かれる、デルタやベガといった概念に対応している。

1について、コールオプションの場合、原資産価格が上昇するとそのコールオプションに対する本質的価値が高くなるので、コールオプションの価格は高くなる。

2については、元来、価格変動のリスクヘッジとしての役割であるオプションの性質を鑑みれば、ボラティリティの上昇はそのリスクヘッジとしての有用性が高まるので、コールであれプットであれ価格は上昇する。

3については、たとえば、資金を借りて原資産を買うことを考えた場合、同じ価格であれば現時点で買うより将来買う方が金利分だけ有利となる。(現在価値に割り引いた結果で同じ価格なら将来のほうが金利分だけ有利である。) この前提において、金利が上がれば将来買う方がさらに有利となるため、コールオプション(将来買う権利)の価格は高くなる。(逆を言うと、金利が高い時はなるべく早く現金化したほうが金利分有利になるため、プットオプション(将来売る権利)の価格は安くなる。)

4については、時間が経過=満期までの期間が短い状態となるため、時間的価値が低くなることとなる。そのためコール・プットともに価格は下落する。

 

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か~

確実性等価係数

信用リスクのあるキャッシュフローが、信用リスクのないキャッシュフローの何倍に当たるかを示す係数。具体的には以下の通り。

確実性等価係数=信用リスクのあるCF÷信用リスクのないCF

※期待効用理論における"確実性等価"とはおそらく別概念

株価平均型株価指数

組入銘柄の株価合計を銘柄数で除算することで株価の平均として算出する。株価が100円の銘柄も数万円の銘柄も等しく平均化される事から、価格が高い一部の銘柄の価格変動に左右されやすい性質がある。時価総額加重平均(TOPIXなど)に比べて、一部の値がさ株にひっぱられる影響が強い。代表的な指数としては日経225がある。

株主資本コスト

要は期待株価収益率。これを企業から見れば、株主に対して払わないといけないコストの扱いになる。算出方法としては、CAPMに基づいて株価収益率を計算すれば良い。

機会費用

複数ある選択肢の内、同一期間中に最大利益を生む選択肢とそれ以外の選択肢との利益の差のこと。最大利益を生む選択肢以外を選択する場合、その本来あり得た利益差の分を取り損ねていることになるので、その潜在的な損失分を他の選択肢を選ぶ上での費用(cost)と表現している。

引用元:機会費用 - Wikipedia

キャリー効果

 債券投資のリターンは、債券の利子収入より得られるインカム・ゲインと債券の価格変動により得られるキャピタル・ゲイン(ロス)に分かれる。
市場の状態(金利水準やイールドカーブ)に変化がないという前提で、一定期間内にその投資対象から得られるインカム・ゲインをキャリーといい、その投資対象を保有している期間でどの程度のリターンを得ることができるかを示すもの。

引用元:年金用語集(キャリー):三菱UFJ信託銀行

これにおける利回りを算出する簡便法として、証券アナリスト試験においては以下の式を用いる。

キャリー効果 = (y(T)-r)*\Delta t*100 \cdots (1)

r短期金利
100:額面価額にするための乗数
y(T):T時点の利回り

これをD(T)*100で割った修正デュレーションあたりのキャリー効果は以下となる。

キャリー効果 = (y(T)-r)*\Delta t*\cfrac {1}{D(T)} \cdots (2)

この式の意味するところとしては、まず、イールドカーブが不変であることを前提とした場合、所有期間利回りは最終利回りy(T)に一致するはずであり、保有資産における実質上の利回りは投資金額におけるrを差っ引いたものとなるだろう。これに対して、期間と乗数100をかけることでクーポン金額が算出される。これが(1)式である。ただ、この状態だと金額ベースでの算出となるため、これを利回りベースで表したい。そこで(2)式を用いることになる。

金利平価

一般的な計算式で書くとめちゃくちゃ難しそうに見えるのだが、具体例ベースで考えると難しくない。ここでは日本円と米ドルを例にして考える。

日本の金利が1%、米国金利が3%として、ある時点の為替レートが100円/ドルとする。ここで、100円を1年間運用すると、金利がついて1年後は101円になっているはずだ。他方、1ドルを1年間運用すると、こちらは1.03ドルとなるはずである。

もし、1年後も為替レートが100円/ドルとした場合、100円をそのまま円で運用するより、はじめからドルに交換してドルで運用したほうが高い利息がついてお得になる…のだが、実態はそうならず、この1年後の101円と1.03ドルが等価となるよう調整されたレートが1年後のレート(フォワードレート)となる。

これを数式にすると以下の通り。1年後の為替レートをR_{1}とする。

100円(1+1\% ) = R_{1}(1+3\% )

 上記をR_{1}について解くとR_{1}=98.058252となる。単純化するために端数処理をすると98円/ドルが1年後の為替レートとなるであろう。(正確に言えば、将来のレートなので"期待"為替レートというのが正しい。) 検算として98円/ドルのレートで1.03ドルを円転すると、100.94円≒101円となる。なお、これが先物カバー付きの金利平価になると、期待為替レートではなく、確定した為替レートになるという違いになるが、基本的な考え方は同じ。  

なお、これを一般化した式で書くと以下の通り。

R_{0}(1+i_{J} ) = R_{1}(1+i_{U})

R_{0}: 当初のドル円レート
i_{J}: 日本円の金利
R_{1}: 1年後のドル円レート
i_{U}: 米国ドルの金利

 これをもとに近似式を導出すると以下の通り。

 \cfrac{ R_{1} - R_{0} } { R_{0} } = i_{J}- i_{U} 

つまり、為替レートの予想減価率=自国の利子率-外国の利子率(内外金利格差)となる。先程の例でいうと、左辺は(98-100)/100=-2%、右辺は1%-3%=-2%でドンピシャである。この近似式の算出は以下参照。

http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~iwamoto/cgi-bin/wp/wp-content/uploads/2014/02/kokukin201303rev.pdf

 

繰延税金資産

 繰延税金資産は、将来支払う税金が減る可能性があるという点に資産価値があるとするもの。具体的には引当金の損金算入限度超過額、その他有価証券の評価差額(評価損)、及び繰越欠損金などがある。

例えば貸し倒れ引当金を例にすると、ある売掛金に対してどれほどの引当金を計上するかというのは企業によって異なる。ある企業は売掛金のうちの10%、ある企業は20%と違っていれば、その分だけ決算時の利益にも差額が生じるはずである。(※貸し倒れ引当金繰入額は費用勘定) ここで、法人税は利益に対して法人税率を乗じることで算出するが、このような企業毎のさじ加減で利益操作ができてしまうと法人税を取りはぐれることになるため、税会計ではこのような引当金は無いものとして扱う。

例えば1,000円の売掛金、貸し倒れ引当金売掛金の10%、法人税率が30%とすると、売掛金の計上・貸し倒れ引当金の計上は以下の仕訳となるだろう。(これをA社とする)

売掛金 1,000 |売上 1,000
貸倒引当金繰入 100 |貸倒引当金 100

→前期利益:900円

その後、翌期を迎えて追加で1,000円分の売上を立てたのに加え、前期からの売掛金に対して900円までは回収できたものの見事100円分が貸し倒れしたとすると、以下のようになる。

売掛金 1,000 | 売上 1,000 
現金 1,000 | 売掛金 1,000
→翌期の売上とその入金

 

現金 900 | 売掛金 900
貸倒引当金 100| 売掛金 100
→前期の入金と回収できなかった分

→翌期利益:1,000円

貸し倒れた分については引当金を計上しているのでそこから補填する。つまり、翌期に損計上は発生しない。これをまとめると、利益は以下の通りになる。他方、入金された現金額としては売掛金の回収で手に入れた1,900円であろう。

これについて、貸し倒れ引当金売掛金の20%で計上する企業(B社とする)について同じ仕訳を切ると、利益は以下の通りになる。

前期:800
翌期:1,000円 

上記の通り前期の利益が100円少ない、しかし入金される現金額はやはり売掛金の回収で手に入れる1,900円で前者の企業と一致するのである。同じ現金を保有しているはずなのに、企業会計をベースにした利益で法人税率を乗じてしまうと、B社に対しては少ない法人税しか取り立てることができない。

これを回避するため、税会計上は貸し倒れ引当金は無いもの(損金を不算入)として扱う。つまり以下のような仕訳になり、利益としては以下のようになるだろう。

前期:利益1,000円

売掛金 1,000 |売上 1,000

翌期:利益900円

売掛金 1,000 |売上 1,000
現金 1,000 |売掛金 1,000

 

現金 900 |売掛金 900
貸倒損失 100|売掛金 100
引当金がないので損失計上

法人税率を30%とすると、税会計上は前期に300円、翌期に270円の法人税を徴収すべきという計算になる。ここでようやっと本題の繰延税金資産が登場する。

A社を例にすると、前期の決算にて以下のように仕訳を計上する。

繰延税金資産 30 |法人税等調整額 30

つまり、調整するのはあくまで法人税額部分のみ。法人税として支払った金額は利益1,000円に対する30%なので300円、しかし、A社の会計上は900円の利益をベースにして法人税は270円しか払ってないようにして税引き後利益を報告したい。そのため、その差額である30円分をPL上の益計上することで調整を行う。この時、法人税等調整額(益)の相手方として計上するのが繰延税金資産である。

翌期の決算においては、これの逆仕訳が発生する。つまり、税会計上は900円の利益、270円の法人税支払いだが、A社の会計上は1,000円の利益、300円の法人税支払いとして報告したいので、この繰延税金資産を取り崩して前期に計上した益を落として損としたい。当然仕訳は以下の通りとなる。

法人税等調整額 30 |繰延税金資産 30

 このように、前期からみると、繰延税金資産とは、このように何かしらの理由で将来支払うべき税金が減る可能性がある場合、その「支払う税金が減る」というところに資産価値を見出し計上する資産のことをいう。今回でいうと、企業会計上は翌期は300円の法人税を支払うつもりだったが、税会計上は270円で済んでいる。それを前払いする形で先んじて前期のうちに300円払ったことで、将来の払うべき税金が30円分減ったことで、資産計上をしたことになる。

ここで、もし翌期の売上が立たず、利益が0円であった場合、そもそも法人税を払うことすら発生しない。そうなると、将来の支払いの前払いである繰延税金資産として計上してももはや意味がないことになる。そのため、将来の回収見込みがたたないと判断された場合にはこの繰延税金資産を取り崩して損計上をする必要がある。今回の例のような貸し倒れ引当金でこの例が発生することは稀だろうが、固定資産の減価償却など、長期的に発生する一時差異については、こういった事象が発生しうる。

購買力平価

2国間の物価差異により為替レートが決定される考え方。例えば同じハンバーガーが日本では1個100円、アメリカでは1個1ドルとした場合、100円/ドルという為替レートが導かれるであろう。ここで、日本でデフレが発生し1個50円、アメリカでインフレが発生し1個2ドルとなった場合、もし100円/ドルのレートのままだと、2ドルを出せばアメリカでは1個しか買えないが、日本では4個も買えてしまうことになる。

現実にはこうならないよう、25円/ドルほどのレートに落ち着く。これであればアメリカは2ドルでハンバーガーが1個買え、日本では2ドルで50円となるので同じくハンバーガーが1個買えることになる。なお、この考え方は絶対的購買力平価という。

これに対して、相対的購買力平価説は為替レートは2国間の物価上昇率の比で決定されるという説であり、具体的には、ある国の物価上昇率が他の国より相対的に高い場合(インフレをしている場合)、その国の通貨価値は減価するため、為替レートは下落するという考え方となる。これをもとにした計算式は以下の通り。

q=E \times \cfrac{P_{A国}}{P_{A国以外}}

A国の相対的購買力平価=基準時点の為替レート×A国の物価指数÷A国外の物価指数

 仮に先程のハンバーガーの値段を物価指数とした場合で当てはめる。A国=日本、A国外=アメリカとすると、日本のハンバーガーは100円→50円にさがったので、指数としては0.5、アメリカは1ドル→2ドルに上がったので、指数としては2になるであろう。その結果

購買力平価=100円/ドル × 0.5 ÷ 2 = 25円/ドル となる。

コーラブル債

繰上償還が可能な債券。「期限前償還条項付債券」とも言う。
callableの名の通り、コールができる→「発行体が投資家から債券を買い取る」ということを表わしている。そのため、債権者からすると当初よりも早く償還されるリスクがあるため、その分だけのプレミアムとして一般的に同条件の通常利付債券(ノンコーラブル債)より利率が高い。債券価格の関係としては以下のようになる。

コーラブル債価格=ノンコーラブル債価格-コールオプションの価値

つまり、コーラブル債はコールオプションを含んでいる分、ノンコーラブル債より価格は低くなり、その分だけ利回りは高くなる。なお、コーラブル債も債券なので金利が下がれば価格は上昇する。しかし、金利が下がるほど、発行体はコールオプションを実行(低い金利への借り換え→早期償還)をする旨味がでることになり、コールオプションの価値が上昇するため、コーラブル債価格の上昇は鈍くなる。

固定資本減耗

端的に言うと減価償却のマクロ経済版。将来的に予想される故障や損失を予め計上しておくこと。これを加味せず元の金額でグロス計上することもあれば、これを加味して減額させてネット計上することもある。

コンベクシティ

 デュレーションテイラー展開による債券価格の一次式(直線)近似となるのに対してコンベクシティは二次式(曲線)近似となる。つまりデュレーションだけで表すより、デュレーション+コンベクシティで近似したほうが精度が高い近似となる。

コンベクシティ単体で扱う場合、コンベクシティが大きいほど価格変化が有利な債券となる。コンベクシティが大→グラフの凸形状がより鋭い→金利が下がった時の価格上昇が大きい&金利が上がったときの価格下落が小さい、という関係のためである。

このあたりについての詳細は以下の補足を参照。
デュレーションとコンベクシティの考え方 - 一生旅行生活してえ

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さ~

最小分散ポートフォリオ

効率的フロンティア上において、最も分散値が最小となるポートフォリオ。要は効率的フロンティア上において一番左端の凸部分に来るポートフォリオ。分散値が最小なので一番リスクを抑制できるポートフォリオとなる。

裁定取引

ある同一の商品について、何らかの理由で発生した価格差を元にキャピタルゲインを得る取引。一物一価の法則に基づけば同一商品であれば同一価格になるが、現実として取引される市場ごとの需給バランスにより必ずしも同一になるとは限らない。これを利用してある資産を割安な市場で購入・割高な市場で同時に売却すれば利益を確定できる。例えばこのように市場による価格差を利用したものは市場間スプレッド取引といい、タイミング(限月)による価格差を利用したものを限月間スプレッド取引と言う。

市場が効率的であれば裁定取引が行われる前提で、割安な銘柄と割高な銘柄があれば、それぞれの売買により最終的に均衡状態に価格は落ち着くはずである。しかし、現実では割安・割高な状態が確実に保証されるものではない(例えばファンダメンタルズ的には割高な銘柄だったとしても、不祥事など不測の事態により株価が急落し、一気に割安になったり。)また、ノイズトレーダーの存在により、例えば割高な銘柄に対してさらなる買いが入りより高騰する可能性もある。

債務担保証券CDOCollateralized Debt Obligation

貸付金銭債権などの資産を裏付けとして発行される資産担保証券。主に以下のような種類がある。

CBO(Collateralized Bond Obligation):債券を裏付け資産とする
・CLO(Collateralized Load Obligation):ローンを裏付け資産とする
RMBS(Residential Mortgage Backed Securities):住宅ローンを裏付け資産とする
・CMBS(Commercial Mortgage Backed Securities):商業用の不動産を裏付け資産とする
・ABS(Asset Backed Securities):上記に当てはまらない債券を裏付け資産とする。もしくは、一般的な資産担保証券全般のことを指す。

資産担保証券の仕組みとしては、以下の役割で運営される。

オリジネーター:住宅ローンや貸付金のプールを保有する会社。要は住宅金融会社や銀行。
サービサー:債権の管理・回収を行う会社。オリジネーターが兼ねることも多い。要はローンや貸付金を返済するよう取り立てる人たち。
・アレンジャー:証券発行や投資家への販売を行う。要は証券会社。
・SPC(特別目的会社):オリジネーターと投資家の間を取り持つ。オリジネーターが倒産した際の資産分配などが適切に投資家に行き渡るよう、調整を行う。

残余利益モデル

定義でいうと以下の通り。

残余利益=当期純利益−必要収益
=期首自己資本×ROE−期首自己資本×要求収益率
=期首自己資本×(ROE−要求収益率)

必要収益というのは会社から見れば株主に対して払うコストとなる。それは株主からの投資金額(=自己資本)に対して、どれほどの割合か(要求収益率)で算出する。なお、要求収益率は株主資本コストとも言う。詳細は以下と株主資本コストの章参照。

残余利益の考え方 - 一生旅行生活してえ

直直差額と直先差額

外貨建取引において取引に付随する為替予約を締結する場合、そのレートは先物レートを使うことになるため、直物レートとの差額が発生する。それを為替差損益として計上するにあたり、以下の2つに分解することができる。

直直差額=取引発生時と為替予約時の直物為替相場の変動による差額
直先差額=為替予約時の直物為替相場先物為替相場との差額

外貨建取引等会計処理基準においては、振当処理を採用する場合、直直差額については予約日の属する期の損益として処理し、直先差額については日数又は月数による期間を基準として各期へ配分することが求められている。直先差額は理論的には2通貨間の金利差から生じるものであることから、金利調整差額として予約時から決済時までの期間に応じ各期に配分することを原則としている。

具体例を示すと、以下の通り。

1.1月31日に30ドル分の掛け仕入れを実施。掛けの支払いは5月31日予定となっている。この日の直物レートは100円/ドルであった。この時の仕訳は円換算をして以下の通り。

仕入 3,000円 |買掛金 3,000円

2.2月28日に上記取引に対する為替予約取引(ドル買い・円売り)を実施。この時の先物レートは107円/ドルであり、直物レートは103円/ドルであった。この時の仕訳は以下の通りとなる。

為替差損益 90円 |買掛金 210円 ※直々差額
前払費用 120円          ※直先差額

つまり、直々差額は当初の直物レート(100円/ドル)と、為替予約を締結したタイミングにおける直物レート(103円/ドル)の差額である。そして直先差額は為替予約を締結したタイミングにおける時期モノレート(103円/ドル)と、先物レート(108円/ドル)との差額である。

前者は単に直物為替のレート変動による差額なので、為替予約をしようとしまいが発生している損益である。そして後者は為替予約をすることで発生する損益である。そのためこの2つを区別して計上を行う。

3.その後、3月31日に決算を迎えた。この日のレート106円/ドルであった。

為替差損益 40円 |前払費用 40円

為替予約を計上しているので、決算日のレートは何も関係ない。ポイントは直先差額で計上した前払費用120円を期間按分しているということだ。つまり、為替予約を締結した2月28日から決算日の3月31日までの1ヶ月と、決算日の3月31日から為替予約の満期日5月31日までの2ヶ月を分け、前払費用120円のうち前者の1ヶ月分だけを今期の損益として計上するのである。

時価総額加重平均型株価指数

例えばTOPIXは、1968年1月4日の時価総額を100とした場合、求めたい基準日の時価総額はどれくらいか、というのを表した指数となっているが、時価総額ベースで計算を行うため、時価総額が大きい会社ほど指数として反映される割合も多くなる。つまり、株価がどんどん上がって人気が出ている銘柄が多く反映され、そうでない会社は少なく反映されるという、市場ポートフォリオの様相を表している。欠点としては、その銘柄に対して過剰な売買が発生し、適切な株価が付かない場合等において、歪んた構成割合となってしまう点である。当然これをベンチマークとした場合にはそれに引きずられることになる。

これに対して、構成銘柄すべて同じ割合となる株価指数は株価平均型株価指数となる。 

シグナリング効果

情報の非対称性が存在する時、情報を多く有する立場から情報を発信し、情報不利な立場へと知らしめること。企業経営においては投資家(株主・債権者)より企業側のほうが企業の経営状況については把握している。そのため、企業側の配当政策などが企業からの情報伝達となり、それが最終的に株価へ影響する。

例えば事業内容に変化がないのに増配をした場合には、経営側は今後将来的に期待収益を上回る収益の予想を立てていると投資家側で感知し、これをうけて市場では株価が上昇していく。

逆に情報の非対称性において情報不利な立場が情報有利な立場から情報を引き出そうとすることをスクリーニングという。

質への逃避

先行きに対する不安が著しく高まった時、リスクを避けるために「より安全性(信用度)・流動性(換金性)の高い投資対象」を投資家が求めることをいう。相対的にリスクが低く流動性が高い投資対象への動きがある。

引用元:質への逃避|証券用語解説集|野村證券

指名委員会等設置会社

 経営の監督と業務執行を明確に分離し、監督機能の強化と経営の適法性を図る目的で導入された制度。指名委員会等設置会社には、取締役会の内部機関として指名委員会、監査委員会、および報酬委員会の3つの委員会を必ず設置しなければならない。取締役は業務執行を行わず、代わりに業務執行を行う執行役が置かれる。各委員会は3名以上・過半数社外取締役である必要がある。

取締役会の内部機関である3委員会の主な役割は以下の通り。

指名委員会

取締役会に提出する取締役の選任や解任に関する議案の内容を決定する。 

報酬委員会
取締役と執行役が受け取る個人別の報酬の内容や方針を決定する。

監査委員会
取締役および執行役の職務が適正かどうかを監査し、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任・不再任に関する内容を決定する。

修正ディーツ法

時間加重収益率を 簡易的に算出するための方法。時間荷重収益率では日々の時価総額(NAV)を把握していないといけないが、ファンド運用においてそれを行おうとするのはかなり手間がある。(バックオフィスでの経理処理を一通りこなさないと、NAVは算出できない。)そこで、簡易的に計算するための方法として用いる。定義式は以下の通り。

修正ディーツ法=\cfrac{当月末時価総額-前月末時価総額-月中キャッシュフローの合計}{前月末時価総額+\sum(キャッシュフロー*\cfrac{キャッシュフロー発生日から月末日までの日数}{月日数})}

分子は時価総額の変動に対して、外部キャッシュフローは運用成績によって生み出された増減ではないので、その分を差し引く必要がある。 (キャッシュフローがマイナスであれば、マイナス*マイナスでプラスになる。)

分母は前月末の時価総額に対して、キャッシュフローを足し込む。その際には、発生したキャッシュフローに対して、そのキャッシュフロー存在した日数分だけ足し込んだもので加重平均をするという考慮をすることで、簡易化を図っている。

信用リスクモデル

以下の2つのモデルがある。

構造型モデル:

信用リスクモデルにおいて、企業価値が負債額面を下回る状態をデフォルト(債務超過)と定義することで、リスクを測るモデル。ここで、株式と債券はオプションと考えている。ここでいう企業価値とは「資産-負債」つまり、純資産である。

株式企業価値を原資産、負債額面を権利行使価格、負債満期を残存期間とするヨーロピアンタイプのコールオプションの買い
債券企業価値を原資産、負債額面を権利行使価格、負債満期を残存期間とするヨーロピアンタイプのプットオプションの売り

つまり、株式においては企業価値が負債額面を越えた分が残余財産となるため、そこが株主における受け取り分となるであろう。そしてこの利益幅は理屈上無限に発生するため、コールオプションの買いと解釈できる。また、債券においては、企業価値が負債額面を上回っても、償還される金額は負債額面が上限であり、仮に企業価値が負債額面を下回ればデフォルト状態となり負債額面を下回る償還額となる。そのため、プットオプションの売りと解釈できる。

誘導型モデル:

デフォルト確率や回収率などのパタメータを外生的に与えて信用リスクのある資産の価値を試算し、信用リスクを測るモデル。 

スマートベータ戦略

一般的に投資信託の運用においては、あるベンチーマークに対してそれと連動させたパフォーマンスを生み出すインデックス運用と、そのベンチマークのパフォーマンスを超過することを目的として運用するアクティブ運用がある。そのときにはTOPIXなどの市場全体の値動きが反映される指数を用いるが、スマートベータ戦略においては、財務指標などをもとに、より高いパフォーマンスが出せる銘柄を選定した指数を用いたベンチマークを用いる。具体的には、自己資本利益率ROE)の高さなどに着目し400銘柄で構成された「JPX日経インデックス400」(JPX日経400)などがある。

 

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た~

退職給付会計

 

テイラールール

英字を駆使した一般式で読み解こうとすると混乱するので、日本語で記述する。式は以下の通り。

政策金利=均衡実質金利+α 1×(インフレ率ー目標インフレ率)+α 2× 需給ギャップ

・均衡実質金利=景気への影響が緩和的でも引き締め的でもない、景気に中立的な実質利子率
需給ギャップ=経済全体の総需要と総供給力の差。経済全体の供給力(潜在GDP)と実際の需要(実質GDP)との乖離を示し、「(実質GDP-潜在GDP)÷潜在GDP」で計算される。

例えばインフレ率と目標インフレ率が同一で、需給ギャップが無い、という場合には政策金利=均衡実質金利となる。ここをスタート地点として、例えばインフレ率が4%、目標インフレ率が1%であれば、差分の3%×α1分政策金利を引き上げる必要がある。現在の日銀政策においては、2019年のインフレ率が0.48%、それに対して目標インフレ率が2%なので、右辺第二項はマイナスとなり、政策金利は引下がることになる。

デュレーション

・マコーレーデュレーション
債券の残存期間を加重平均したもの(平均回収期間)。定義としては、債券価格式の各項目に年数をかけ、債券価格で割ることで、加重平均を算出する。

D_{mac} = \cfrac{1}{P} \left [ \displaystyle \sum_{t=1}^{n} \cfrac{tC}{(1+y)^t} + \frac{nF}{(1+y)^n} \right ]

・修正デュレーション:一定の利回り変化に対応する債券の価格変化率の大きさを示す値。計算式だけの比較で言えば、マコーレーデュレーションに1/(1+y)を乗じたものだが、数学的には債券価格Pを利回りyで1回微分した直線近似(テイラー展開の一次式近似)となる。さらにこれを債券価格Pで割ることで価格変化率を算出する。式で表すと以下の通り。

D_{mod} = \cfrac{1}{P} \left [ \displaystyle \sum_{t=1}^{n} \cfrac{-tC}{(1+y)^{t+1}} + \frac{-nF}{(1+y)^{n+1}} \right ]

このあたりについての詳細は以下参照。
デュレーションとコンベクシティの考え方 - 一生旅行生活してえ

なお、デュレーションが長い→デュレーションの値が大きい→利回り変化に対する傾きが急→利率が下がった時大きく値上がりする という関係のため、金利が下がる傾向のときにはポートフォリオとしてのデュレーションを長くすることで、所有期間利回りの向上が見込める。もちろん、金利が上がるときはその逆となる。

ラッキングエラー

 ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンの差(アクティブリターン)の標準偏差で表される(下記式参照)。この値が大きいとポートフォリオベンチマークと異なる動きをしていることを示す。

TE_{i} = \sigma (R_{i} - R_{B})

※分散の公式から導くのであれば以下から算出する。

 TE^2_{i} = Var(R_{i}) + Var(R_{B}) - 2 Cov(R_{M} , R_{B} )

 パッシブ運用のようにベンチマークと連動した運用を目的としているときには、トラッキングエラーが小さくなることが評価される。トラッキングエラーはインフォメーションレシオの導出にも用いられる。

※以下より引用・一部改変

トラッキングエラー | みずほ証券 ファイナンス用語集

トレイナーの測度

 βに対する超過リターン。シャープレシオ標準偏差あたりの超過リターンであるのに対する。定義式は以下の通り。

T_{p} = \cfrac{R_{p}-R_{f}}{\beta_{p}}

なお、実績値ではなく期待値で算出するときは上記のR_{p}E(R_{p})となる。シャープレシオと同様に、この値が大きいほど効率的な投資をしていることになる。なお、CAPMが成立しているときは、その式が表すとおりマーケットリスクプレミアムそのものとなる。 

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な~

ノイズトレーダー

合理的な判断やファンダメンタルズに基づく行動とは無関係な売買を行うトレーダーのこと。

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は~

バーベル型運用

 債券の運用方法の1つ。短期債と長期債の両極端な債券で運用する。期間を横軸、保有量(保有金額)を縦軸に取った場合の形がバーベル(ダンベル)に似ていることが由来。基本的にコンベクシティが大きくなる傾向にあるため、利回りが大きく変化する局面にて、有利となる。

コンベクシティの大小に伴う利回り変化の考えは以下参照。
デュレーションとコンベクシティの考え方 - 一生旅行生活してえ

ヒストリカル・ボラティリティ

名前の通り、過去からの(Historical)価格変動(Volatility)である。つまり、ある資産のリターンに対する標準偏差を算出する際に、過去の実績データから導出し、将来予測として利用する。数学的にやっていることは標本分散(標準偏差)となる。日次リターンで算出した標準偏差を年率換算するために250日を乗算する。営業日で換算するので、365日ではなく250日となる。

HV=\sqrt{ \cfrac{1}{T-1} \displaystyle\sum_{t=1}^{T} (R_{t}-\overline{R})^2 *250}

HVヒストリカル・ボラティリティ
T:日数(不偏分散とするため、分母はT-1となる。)
R_{t}:日次リターン

 なお、年率換算において日数を乗じる理由としては、価格の変動はランダムウォークするという前提に基づいているためである。つまり価格変動(標準偏差)は時間が経てば立つほど大きくなっていき、それは時間の平方根に比例するというところからきている。ランダムウォークの数学的なところについては以下参照。

https://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~hara/lectures/03/agora03.pdf

ビルディングブロック法

資産のリターンをいくつかの構成要素に分解し、個々の要素について予測値を置き、それらの積み上げを行って将来のリターンを予測する推計方式をいう。

引用元:ビルディング・ブロック方式|用語集|企業年金連合会

ファクターモデル

ファクターモデル(Factor Model)とは、任意のリスク資産のリターンは、多くの資産に共通するいくつかの系統的な要因(ファクター)によって決まるというモデルである。
ファクターとしては、マーケット全体のリターンや企業の時価総額に応じたリターンなど市場の情報を集約したもの、金利GDP、物価、雇用率などのマクロ変数、産業属性に関わるものなどが考えられる。ファクターの数が1つの場合、シングルファクターモデルと呼ばれ、2つ以上の場合はマルチファクターモデルと呼ばれる。

※以下より引用・一部改変

ファクターモデル | みずほ証券 ファイナンス用語集

なお、シングルファクターモデルにおいて、その分散は以下で表せられる。

 Var(R_{i}) = Var(\beta_{i} R_{M}  + \epsilon_{i} )

(※  \alpha_{i}やリスクフリーレートは定数のため分散は0)

分散の和の公式よりこれを式変形すると

 Var(R_{i}) = \beta^2 Var(R_{M}) + Var( \epsilon_{i} ) + 2 \beta Cov(R_{M} , \epsilon_{i} ) \\ \hspace{20mm} = \underline { \beta^2 Var{R_{M}} } + \underline { \underline{ Var( \epsilon_{i} )}} 

(※マーケットモデルにおいて、R_{M} \epsilon_{i}の間に関係性が無いため、共分散は0になる。)

 上記式の下線部がシステマティックリスクであり、分散投資を行っても市場ポートフォリオに感応する項のため低減することができない。(例えばコロナショックのように市場全体が大きく下落するような時は引きずられて下落してしまう。) 二重下線部が非システマティックリスクとなり、こちらは分散投資により低減することができるリスクとなる。 

ファーマフレンチの3ファクターモデル

マルチファクターモデルの1つ。エクスポージャ(感応度)として、マーケットリスクプレミアムに加えて、SMB:企業規模(時価総額)に関するリスクファクター、HML:簿価時価比率に関するリスクファクターを用いて重回帰分析を行う。

ファーマ-フレンチの3ファクターモデル をわかりやすく整理してみた。 - 一生旅行生活してえ

ファンダメンタルファクターモデル 

ファクターモデルのうち、企業属性や財務指標(企業規模・PER・財務レバレッジ等)をファクターとしたもの。

フィッシャー効果

名目金利=実質金利+期待インフレ率」のこと。もしくは式を変形して「実質金利名目金利-期待インフレ率」となる。名目金利は期待インフレ率を加味した値となるため、人々の期待によるインフレが上昇して名目金利が上昇しても、実質的な金利は変わらないということ。

負債の節税効果

企業経営においては、資金提供社(投資家・債権者)に対するトータルの還元額は、有利子負債を借り入れた方が総額が大きくなる。ざっくり例だと以下の通り。有利子負債が無い企業をU社、ある企業をL社とする。法人税率は30%で、税引後利益はすべてCASHで全額配当する前提とすると

    U社 L社
i 売上高 100 100
ii 利息の支払い 0 20
iii 税引前利益 ( i - ii ) 100 80
iv 税引後利益 ( iii*0.7 ) 70 56
v 資金提供者への還元 ( ii + iv) 70 76

上記の通り、L社のほうが資金提供者への還元額が大きくなる。(ただし内訳としては、U者は70がそのまま全部株主への還元となるが、L社は株主の還元が56で、債権者への還元が20である。) これは負債の支払利息は法人税の対象とならない(損金として計上する)ためである。(もし、損金計上とならなければ、ivの結果が70となり、そこから20の利息支払いと残った50の配当となる。結果、還元額総計は70で、節税効果が出ない。)

U社とL社を比較すると、iiで20の利払いをしているのに対して、ivの税引後利益は14しか減っていない。この差が節税効果として現れる(税金を払わずに、資金提供者へ還元ができている。)

※なお、UはUnlevered、LはLeveredの略。leverはテコのこと。負債を借り入れることで自己資本よりも多くの資金を動かせることから由来だと思う。

数式的に言うと以下の通り。

(OP-r_{D}D)(1-T)+r_{D}D=OP(1-T)+\underline{r_{D}DT}

OP:営業利益
r_{D}:負債コスト(借り入れ利率)
D:負債金額
T法人税率 

左辺第一項は株主に対する還元(配当)、左辺第二項は債権者に対する還元(支払利息)となる。そしてその式を整理した結果、右辺の下線部分が還元額として増加する。そして企業として賄うべき負債コストは節税効果分浮くことになるので、(1-T)r_{D}DがWACCにおける負債コストとなる。 今回でいうと、実際に払った利息は20であるが、節税効果により最終的には14(0.7*20)しか払わずに済んでいるのと同じ状態とみなせる。

プッタブル債

コーラブル債の逆で、債券保有者が期限前償還を要求できる権利が付随する債券である。つまり、プットオプション付きの債券という見え方になる。その権利を保有できる分、利率は低めとなる。また、価格の式としては以下の通り。

プッタブル債の価格=ノンコーラブル債の価格+プットオプションの価値

つまり、債券価格としてはプットオプション分だけ高い価格となる。また、債券価格の値動きが金利の動きと逆行すること自体は通常債券と変わらないが、金利が上昇したときにはこれを早期償還して金利の高い債券に再投資できることから、プットオプションの価値があがることになり、その結果、金利が上昇するほどノンコーラブル債券よりも高い価格になる(価格差が広がる)ことになる。 

フリーキャッシュフロー

定義は以下の通り。有利子負債増加額については証券アナリスト2次レベルでは出てこず、また、税引後当期純利益についても営業利益と法人税率からNOPATを算出する必要がある場合が多い。

FCFE=税引後当期純利益減価償却費-設備投資額-運転資本増加額+有利子負債増加額
=税引後当期純利益-総投資額+有利子負債増加額
=NOPAT(営業利益×(1−税率))-総投資額 ※二次試験レベル

各項目についての詳細な説明は以下参照。

株主に帰属するフリーキャッシュフロー - 一生旅行生活してえ

ブレークイーブンインフレ率

英語表記(Break Even Inflation rate)を略して「BEI」とも呼ばれる。普通国債物価連動国債との利回りの差(国債利回り物価連動国債利回り)で算出される。国債利回り名目金利物価連動国債利回りは実質金利となるため、フィッシャーの方程式「名目金利-実質金利=期待インフレ率」より期待インフレ率を表す指標となる。

なお、通常の国債(利付債)は物価の上昇下落に関わらず名目上の一定の利金・償還額となるため、物価が上昇すればその分だけ実質的な価値は下がっていることになる。他方で、物価連動国債においては、消費者物価指数に応じて連動係数を乗じた値を額面として利金額や償還額を決定するため、たとえインフレが起きても実質的な価値は下がらない。そのため、前者は名目金利、後者は実質金利の扱いとなる。

ブレット型運用

 債券の運用方法の1つ。中期債券を中心に運用する。期間を横軸、保有量(保有金額)を縦軸に取った場合の形がbullet(弾丸)に似ていることが由来。初めてこの単語を見たときは「ブレッ」だと思い、てっきりフランスパンの形に似ていることが由来かと思っていた。ちなみにbulletは発音的にはバレットよりブレットに近い(はず)なので、カタカナ表記としてはこれで問題無さそう。

中期債のみ運用するため、コンベクシティが小さい傾向にある。そのため、利回り変化に伴う価格変動も小さいので、利回りが大きく動く局面では不利な運用となりやすい。その代わり、利回りがあまり変わらない局面では安定した収益が期待できる特徴がある。 

コンベクシティの大小に伴う利回り変化の考えは以下参照。
デュレーションとコンベクシティの考え方 - 一生旅行生活してえ

  

ペッキング・オーダー理論

企業における資金調達の優先順位を理論付けたもの。資金調達に当たるコストを鑑みた際に内部資金>銀行借入>債券>(転換社債)>普通株式の順番で有利>不利となること。ここでいうコストは、借り入れ時の利率や資本コストというより、情報の非対称性から生じるエージェンシーコストのことを指す。

まず最初に内部資金から着手するところは問題ないだろう。持ち金でどれだけいけるかというところが起点となり、この場合、情報の非対称性に伴うエージェンシーコストは発生しないはずだ。その次が銀行借入れである。金融機関からすれば融資先企業は絶えずモニタリングを行い、必要に応じて人員を派遣するなどして情報を入手することができるため、一般的に証券市場からの借り入れよりはエージェンシーコストは抑制できるはずである。その次の優先順位としては証券市場からの借り入れという意味で債券となるが、これについての考え方としては株式が一番情報の非対称性が発生しやすい(一番不利)というアプローチの方がわかりやすい。

株式の発行において、企業は自社内の財務情報を完全に把握しているので、現在付いている株価に対して、それが割高なのか割安なのかを確実に把握することができる。例えば市場に出回る株価が1000円だが、本来的には1200円の価値がある(つまり、市場価格は割安になっている)状態の時、ここで新株発行をしてしまうと、本来1200円で売れるべき株が1000円でしか売れないため十分な資金調達が行えない。割高の場合はその逆となり、企業は今がチャンスとばかりに新株発行をするであろう。

この状況を投資家から見ると、企業が新株発行をするということは、市場価格が割高になっていることを示唆するため、この株を買っても特にならないということを案に示す(逆選択が発生する)ことになり、やはり企業として十分な資金調達を行えないリスクを背負う(もしくはその解消のためにエージェンシーコストが発生する)ことになる。

そのため企業の資金調達の優先順位としては、株式が最も劣後することになる。

ヘッジファンドにおけるバイアス

生存者バイアス:一般的な意味では、ある事象を抽出する際、その過程において淘汰されてしまった要素は見過ごされ、最終的に生き残った集団からサンプリングをしてしまうことを言う。ヘッジファンドのインデックスの構成要素対象となるファンドは、淘汰された結果、一定の成績を残した良好なファンドのみで組成されるため、そのヘッジファンド(運用会社)のパフォーマンスが本来の実力以上の収益率を示すことになる。

遡及バイアス:あるインデックスについて、過去から遡る際に恣意的に最も収益率が高い期間のみを提供することで発生するバイアス。

自己選択バイアス:恣意的にあるファンドのデータをインデックスに組み込まないことで、パフォーマンスが上方・下方にずれるバイアス。

 

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ま~

埋没費用(サンクコスト)

既に投資した事業から撤退しても回収できないコストのこと。それまでに費やした労力やお金、時間などを惜しんで、それが今後の意思決定に影響を与えることを、サンクコスト効果と呼ぶ。

引用元:サンクコスト|証券用語解説集|野村證券

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や~

優先劣後構造

不動産証券化商品の信用を補完する方法の一つで、証券化商品を優先部分と劣後部分に分け、優先部分を保有する投資家は劣後部分を保有する投資家より優先的に配当等を受け取る権利を持つ仕組みのこと。

予測どおりに収益が生じなかった場合のリスクを劣後部分が吸収して、優先部分への配当等の確実性を高める。
結果的には優先部分は劣後部分に比べてリターンは低くなるものの、安定性が高く、劣後部分はハイリスク・ハイリターンとなる。

引用元:優先劣後構造|不動産ジャパン用語集

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ら~

ラダー型運用

 債券の運用方法の1つ。短期~長期債を均等に保有する。期間を横軸、保有量(保有金額)を縦軸に取った場合の形が、ラダー(はしご)型に似ていることが由来。短期債の満期が到来したら、その分だけ長期債を購入する。そのため、バーベル型・ブレット型の運用に対して中間的な性質を持つ。 

リスクオン

リスクが高い資産へ投資が傾くきっかけや傾向のこと。「リスク選好」「リスク志向」とも言う。この状況のときには株式を始めとして、コモディティやハイイールド債などリスクの高い資産へ資金が流入する。対義語はリスクオフ。

リスクプレミアム

証券の期待収益率と無リスク金利との差。同じ投資期間内において、あるリスク資産の期待収益率が、無リスク資産の収益率を上回る幅のこと。数式であらわすなら以下の通り。

リスクプレミアム=リスク資産の期待収益率-安全資産の利子率(リスクフリーレート)

レバードベータ・アンレバードベータ

レバードはLeveredで、レバー(てこ)から由来。負債を借り入れることで、自己資本以上の投資効果を生み出すところからきている(すなわち財務レバレッジのことでもあろう)。逆に、アンレバードベータはその否定形なので負債を借り入れない、無借金経営をしている前提の企業のベータを表す。

上場企業におけるβの算出は、実際の株価の動きから求めることが可能である。つまり、CAPMが成立する前提において、いつもの式から算出できるであろう。

E(R_{i}) = \beta_{i} [ E(R_{M})-R_{f} ] + R_{f}  

一般的な会社であればある程度負債も抱えているのが普通であり、上場企業であればその負債がある前提で株主は投資を行うはずである(つまり、株主から見た期待収益率は、一定の負債コストを企業が負担した残り分の利益を前提としているはずである。)。つまり、このCAPMでの式におけるβはある意味レバードベータを表すことになる。

さて、ここで問題は非上場企業である。株価が分からないので観測値をもとにしたベータの算出が行えない。そのため、なんらかの手段を用いてベータを計算するわけだが、そこでアンレバードベータを用いる。つまり、負債がないピュアな状態を前提としたベータを用いてそこから本来求めたいベータを算出するわけである。

というわけで、レバードベータとアンレバードベータとの関係式が必要になるわけだが、結論でいうと以下の式になる。

\beta_{L} = \beta_{U} + (1-t) \cfrac{D}{E} \beta_{U}

 \beta_{L}:レバードベータ
 \beta_{U}:アンレバードベータ
 t法人税
 D:負債額
 E自己資本

 この式をもとに上場企業におけるある業種分類でのアンレバードベータを算出し、その平均値などを対象の未上場のアンレバードベータとみなして、その後求めたいレバードベータを導出することができる。

 

ロールダウン効果

 債券投資のリターンは、債券の利子収入より得られるインカム・ゲインと債券の価格変動により得られるキャピタル・ゲイン(ロス)に分かれる。
 イールドカーブの形状に変化がないという前提で、一定期間内に得られるキャピタル・ゲインをロールダウンといい、時間経過によりイールドカーブの傾斜に沿って利回りが下がり、債券価格が上昇することを指す。利回りの低下は債券価格の上昇を意味するため、イールドカーブが右肩上がりの形状で傾きが急になればなるほど、ロールダウン効果が高くなることになる。

引用元:年金用語集(ロールダウン効果):三菱UFJ信託銀行

これにおける利回りを算出する簡便法として、証券アナリスト試験においては以下の式を用いる。

ロールダウン効果 = D(T)[y(T)-y(T-\Delta t)]*100 \cdots (1)

D(T):T時点のデュレーション
100:額面価額にするための乗数
y(T):T時点の利回り

これをD(T)*100で割った修正デュレーションあたりのロールダウン効果は以下となる。

ロールダウン効果 = y(T)-y(T-\Delta t) \cdots(2)

これでは全く意味がわからない。何を言いたいのかというと、まず、イールドカーブが不変である前提に立つと、ある時点Tから Δt年後における利回りはy(T-\Delta t)となるであろう。(Δt年後になるとその分だけ残存年数が少なくなるので、利回りとしてはT-Δt時点となる。) ここで、修正デュレーションは債券価格に対する接線近似であることから、逆に言えばこれは利回りに対する直線の傾きを表すことになる。(つまり債券価格はP=-Dur*y(t)*100という一次関数で近似できる。)ここにおいて、T時点の利回りからΔt年後における利回りにおける差分はy(T-\Delta t)- y(T)となるため、これを近似した一次式に代入することで(1)式となる。(±の符号に注意。) ただ、この状態だと金額ベースでの算出となるため、これを利回りベースで表したい。そこで(2)式を用いることになる。

 

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わ~

 

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A~

CAPM

Captal Asset Priceing Modelの略。効率的フロンティア上における接点ポートフォリオは、市場全体で見たときに市場ポートフォリオとなる。もし、市場が均衡状態であれば、需要と供給が完全一致した状態となるため、売れ残ったりせず、市場ポートフォリオそのものが最も効率的なポートフォリオとなるはずである。また、それにあたってはすべての資産の標準偏差やリターンはすべての投資家において同等の期待をもち、ある資産について人によって異なる標準偏差や期待リターンをもつであろう。これらの前提の元平均分散アプローチにより投資資産を決定する場合、以下の式で表せられる。

E(R_{i}) = \beta_{i} [ E(R_{M})-R_{f} ] + R_{f}

 つまり、ある資産(ないしはポートフォリオ)における期待リターンはマーケットリスクプレミアムに対してどれだけ感応するかということを表す。これを導出するにあたる式変形は自分の数学レベルが追いつかないので省略。

ESG投資

ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指す。特に、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという概念が普及し、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会(オポチュニティ)を評価するベンチマークとして、国連持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されている。

日本においても、投資にESGの視点を組み入れることなどを原則として掲げる国連責任投資原則(PRI)に、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年に署名したことを受け、ESG投資が広がっている。

※引用元:ESG投資(METI/経済産業省)

なお、効率的フロンティアの観点からは必ずしもESG投資が最適なポートフォリオになるとは限らず、投資家への利益最大化という観点で有用とは言い切れない可能性もある。

IRR法(内部収益率)

Internal Rate of Returnの略。プロジェクトへの投資を決定する際にその投資判断を行うための指標となるもの。計算は初期投資額がその投資によって生み出されるキャッシュフローの現在価値と一致する(つまりNPV=0となる)時の割引率(複利最終利回り)のこと。詳細は以下の通り。

CF_{0} = + \displaystyle\sum_{n=1}^{N} \cfrac{CF_{n}}{(1+IRR)^n}

 CF_{0}:初期投資額
CF_{n}:n年目のキャッシュフロー

 投資判断としては、IRR>WACCであれば、資本コスト(利払い・配当)を上回る収益率を生み出せるという考えで判断を行う。NPV法との違いは、最終的に算出される値は(具体的な金額ではなく)収益率になるということ。そのため、投資額が同額だとしてもIRRが大きいほうが、収益効率性が高いことを示す。

 

NOPAT

"Net Operating Profit After Tax"の略で、利息控除前税引後営業利益(税引後営業利益)のこと。以下2つの定義がある。

1.営業利益×(1−税率)
2.EBIT(経常利益+支払利息−受取利息)×(1−税率)

両方とも税引後利益を表すが、後者はEBIT(Earnings Before Interest and Tax)となり、米国では(IFRSでは)EBITを営業利益とみなす。証券アナリスト試験においては1の定義でいいはず。これを用いてフリーキャッシュフロー(CFC)は以下のように表す。

FCF=NOPAT+減価償却費-設備投資額-運転資本増加額

NPV法(正味現在価値法)

Net Present Value Methodの略。プロジェクトへの投資を決定する際にその投資判断を行うための指標となるもの。計算はその投資によって生み出されるキャッシュフローを現在価値に割り引く(DCF法)ことで算出する。詳細は以下の通り。

NPV=-CF_{0} + \displaystyle\sum_{n=1}^{N} \cfrac{CF_{n}}{(1+r)^n}

 CF_{0}:初期投資額(出費なのでマイナスのキャッシュフローとなる)
CF_{n}:n年目のキャッシュフロー
r:割引率(一般的にはWACCを用いる)

 投資判断としては、NPV>0であれば、初期投資額をペイできるという考えで判断を行う。IRR法との違いは、最終的に算出される値は(収益率ではなく)具体的な金額になるということ。そのため規模感を掴む上ではNPV法が適している。 ただし割引率の大小により数値に影響が出るため、WACCを精緻に算出する必要がある。

ROIC

Return On Invested Capitalの略称で和訳は投下資本利益率。企業が事業活動のために投じた資金を使って、どれだけ利益を生み出したかを示す指標。

ROEROAとの違いは以下の通り。

ROE当期純利益÷株主資本
ROA=EBIT(税引前・利払前利益)÷総資産 ※分子を当期純利益とする場合もあり
ROIC=営業利益(1-法人税率)÷(有利子負債+株主資本)

ROEは株主から見た投資の収益性を示すが、ROAは負債も含めた総資産から見た収益性を示す。これに対してROICはとりわけ分母について、総資産ではなく有利子負債+株主資本としている。逆に言うと事業負債(いわゆる買掛金とか未払費用など)は除くことで、DebtであれEquityであれ、資金提供者側から見ると純粋に「投資」した総額からのリターンを示すことができるという特徴をもつ。

SPAC(特別買収目的会社)

買収することだけを目的に上場するペーパーカンパニー。上場して投資家から調達した資金を元に将来有望な会社を買収する。買収後は買収された企業(事業を営む企業)を存続企業として上場する。スタートアップのようにこれから上場を控えている企業からすると、買収されることでスムーズに上場が可能となるというメリットがある。

他方、通常は取引所の審査などを通じて上場するべきところがSPACの運用者の裁量で上場できてしまうことから、必ずしも上場要件として適切な企業が上場するとは限らない。そのため、買収先企業が期待通りの成果が出なければどんどん株価が下がっていくことになるであろう。

t検定

 本来的には母平均・母分散を用いて区間推定をしたいが、現実的に母平均・母分散を算出するのが難しく、実運用上は標本を用いることで、仮説検定を行う。仮説検定においては、どんな母集団であっても、そこから抽出する標本の平均正規分布に従うという、中心極限定理を元に、標本データをもとに妥当性を検証する。標準正規分布を元に正規化するにあたってはz値を用いていたようなイメージで、t値を用いて標準化を行い、その値を元に検定を行う。t値自体の定義は以下で示される。

t=\cfrac{ \overline{X} - \mu }{SE}

\overline{X}:標本平均
\mu:母平均
SE:標準誤差(SE:standard error)※標準偏差ではないし、標本誤差でもない。標本平均標準偏差のことである。

なお、SEは以下の定義となる。

SE=\cfrac{s}{\sqrt{n}}

s:不偏分散
n:自由度

 

VaR

金融工学の世界において、通常「リスク」というときは利益も損失も合わせた偏差のことを表すが、VaRにおいては損失の方を指し示す。証券投資に限らず、事業投資などにおいては生み出される利益よりも、最大損失額を見積もっておきたい。というのも、その損失額がわかれば、その分だけの蓄えを準備しておけば資金ショートや倒産を免れるからである。

以上を踏まえて、VaRの定義は「ある一定期間において一定確率で発生する最大損失額」となる。もう少し数学的に言えば確率αでポートフォリオの価値がT日で下落する最大の下落幅である。確率αは有意水準として5%だったり1%が通常定められ、信頼区間としては95%だったり99%、つまり(1-α)となる。T日における損失額(下落幅)をL(T)とすると、数式でいうと以下となる。当然のことながらL(T)は確率変数である。

P(L(T)\geqq VaR ) = 1 - \alpha  

WACC 

Weighted Average Cost of Capitalの略。加重平均資本コスト。株式投資における投資家から見た収益は、企業から見ると投資家に対して還元すべき"コスト"となる。同様に債権者から見た収益も、企業から見ると債権者に対して還元すべき"コスト"となる。前者は株価収益率となるため、CAPMが成立している前提であれば、CAPM式から算出が可能である。後者は借り入れ利息がそのものとなる。

これより、企業から見たときには株式(Equity)と負債(Debt)をあわせて投資家・債権者に還元するコストを考える必要が生じるため、それぞれを加重平均することで算出する。具体的には以下の式になる。

WACC=r_{E} \times \cfrac{E}{E+D} + r_{D} (1-T) \times \cfrac{D}{E+D}

r_{E}:株価収益率
r_{D}:利率(利息)
E:株主資本(株式時価総額) ※簿価ではない
D:有利子負債額
T:実効税率

負債には節税効果があるため、(1-T)の項がある。詳細は負債の節税効果の章を参照。

キャッシュフローや利益を現在価値に割り引くにあたってこのWACCを用いることで、株式と負債の両方を考慮した割引計算が可能となる。

 

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